ちょっと変わった食性・39 ~最近なじみの広東料理~
食は広東にありというのだそうである。確かにいろいろな料理があって、これを憶えるだけで10年や20年かかりそうな感じがする。でも私のは、いいものは取り入れて、そうでないものは無視して、日本国内で再現できないものは、とりあえず感心するだけにして… まったく無理をするつもりがない。苦しみにしてしまったら意味がないからである。
このところ順徳一号という広東料理のお店に嵌っている。ここは珠海中心部から20㎞やそこいらは離れているので、足がなければなかなか行く機会もないのだが、幸いにも私には親しい友人が何人もいるので、よく連れてきてもらっている。途中、街から少し外れると、粗末な掘っ立て小屋のような(本当に小屋なのかも知れない、なにかの作業を行うときだけの建物ならば、そんなに丈夫に作る必要はないからだ。日本だって田舎に行けばちょくちょく見かけることがあるよね。でももしもここに人が住んでいたら、中国の田舎はきっと春秋戦国の頃から、あまり変わっていないのかも知れない)建物が多くなる。
私なんかは住むのは嫌でも、見るのは嫌いではない。そこに暮らす人の生活やものの考え方にも興味があるし。でも周囲はどこまでも続くバナナ畑だったりするから(映画『落葉帰根』にも似たような風景画ちらりと紹介されているけど)、さすがに日本とはだいぶ違うなと感じてしまう。
道はどこまでも真っ直ぐである。先日中国からの留学生を私の車に乗せてあ
げたら、車に酔いそうだという。理由を尋ねたら、日本の道はくねくねと曲がるばかりするからだそうだ。それはそうだろう。大平原にどかんと道を作った国と、山や谷の間を縫うようにして道を作った国とは、根本的になにかが違う。
本当はこの日は、今年の春から香港の日本人学校に赴任した友人を招いて、ここでどんちゃん騒ぎをするつもりだったのだが、ビザの関係でくることができず、やむなく男3人と半分(半分がなにを意味するかは不明)、女人少々で乱入した。友人には悪いが、力一杯旨いものを食べてやった。ごめんねMさん。次回はきっと連れていくからね!! みんな会いたがっていたもん。
順徳一号という名前だが、きっと一号がある以上は、二号、三号があるに違いない。だが我々がよく行くのは『天府』という名前の見せである。あれあれ、でもここは四川省じゃないんだよ(天府之国とは、四川省の美称)。でも山海の珍味に恵まれているから、天府という意味もわかるけどね。
店を入ってすぐのところに、商売の神様、関公(『三国志』で有名な関羽雲長)が祀ってあったので、記念写真。こちらへ来れば、関公の姿は普通に見かける。最初は珍しかったが、最近では当たり前になってしまっていた。でも私は関羽は嫌いではないので、ついつい写真を撮ってもらったりする。
『三国志』の登場人物で、死後一番有名になったのは諸葛孔明だか、劉備玄徳だか知らないが、神様の地位にまで上り詰めたのは、関羽だけである。彼の仁義を何よりも重んじる態度が、いかに中国の人たちに愛されたかということだ。それが商売の神様というのだから、なんとも面白い。
生簀を見ると、どこかで見たような魚が泳いでいる。なんとなんと、これって日本風に言えば雷魚(の仲間)じゃない? それも値段を見てひっくり返った。1匹なんと148元。この時の交換レートでいうと、
2072円くらい。もちろん日本円では大したことがないように思えるが、チョウザメなんかと比べたら、その高価さがよくわかるよ。
チョウザメは1匹38元(532円)。まあキャビアでなければ安いのだろうか。つい
でにワニの生簀を見たら、可愛そうに寂しく1匹(1m50くらいのサイズ)が瞑想していた。亀はほどんど食われてしまったのか(もちろん人間に!)、数も少なかった。いつもならスッポン、カミツキガメ、ケヅメリクガメなんてのが山盛りいるのだが。(ついでにこのではワシントン条約なんてものは通用しない。通用するのは人間の食欲だけである!!)
日本でも汽水域に生息する、爪の長い蝦の仲間は大量にいるが、あまりに当たり前すぎて誰も振り向かない。でも1匹ずつの長さは20㎝ちかくあるんだよ。 チヌ(黒鯛)に似た魚もいたけど、これは日本のものと比べればだいぶ味は落ちる。身の締まりがまったく悪い。
アナゴは大層立派なのがたくさんいた。でも私が食べたかったのはタウナギで、探したけれど残念ながらいなかった。もう誰かの胃袋に納まっているのだろう。私はタウナギの食感が大層好きなのである。
こんな魚の生簀にハゼどんなんか入れたら、瞬間で餌にされてしまうので、わざわざ籠に入れて、強烈なエアーを吹き上げていた。ハゼどんは見た目は日本のと同じだったが、まあ外国に来てまで日本と同じものを食べる必要もなかろうと食べなかった。何か面白い料理に化けたかも知れないんだけどね。
そんなこんなでうろうろと生簀を見て回っているうちにも、先に来てくれていたZさん達が、ちゃっかりと部屋を押さえておいていてくれる。なにしろここの生簀はたくさんあり、周囲には大規模な養殖場があったりして(嵌ったら大事!!)、初めての人なら道に迷う危険があったりする。
で、我々が借り切った部屋に入ったが、それから鍋を注文したもんだから、来るまでまつのがたいぎい。左のような、本来鍋ものを漬けて食べるタレがあったりするのだが、これを肴にビールを飲み始めてしまった。ついでに莫ちゃんの息子(4歳と半分。私の親友。すでに中国語力では負けていると思う)など、暇をもてあましてしまっている。そこでツナギを頼んだ。
これが鶏のから揚げ(だと思う。一番近い味がしたから)である。これを食べながら、莫ちゃんの差し入れの赤ワインなどを飲んでいると、この日最大の出会いがあったの
である。
それはこれ。なんと牡蠣をカレー風味で上手に加熱している。これは大変旨かった。同時に、絶対に日本へ帰ったら再現してやろうと決心させるくらいの味だった。 本来私は牡蠣をかなり食べるほうであろう。でもこれだと際限もなく食べてしまいそうな
気がする。とにかく牡蠣を加熱したときに発生する若干の苦さがまったくない。ターメリックの香りの中で、見事なくらい消されていて、牡蠣のプリプリ感じもいいし、こりゃ日本で売り出しても、絶対に人気商品になると思うよ。
あ~いい勉強になった。これを食べただけで、この日一日が無駄にはならなかった気がするくらいだ。その他にも鮒の清蒸なんかも出てきたが、一番の収穫はこれだったよ。
だからその後出てきた鍋も相当に美味しいのだが、感動が足りなくなっていた。
いろいろ入っている。例によって正体不明の野鳥も入っているし、ワニだって入
っている。きっと残り少なかった亀も入っていただろう。正体不明の魚も入っていたに違いない。 当然、お約束のようにワニを食べる。ワニの肉は上品だから、誰にでも食べれるくらいだが、もう何回(十何回?)も食べたので、「ああ、ワニですか」程度の反応しかしなくなってしまった。まあここの勘定は私が支払ったので、ご馳走になったわけではないけれどね。
とにかく鍋を食っている最中も、牡蠣のカレー風味が忘れられない。これはいいものを食べたということと、もっともっと食べれるという気持ちしかわかない。本当に旨いものとぶつかったら、人間って案外そんなものかもしれない。
だから
私にとってはこの日の夕食は、見事なくらい医食同源だったね。帰りは来た道を逆に走ってもらったが、マカオの夜景が綺麗だった。あそこに金正男さんがいるんだってね。まあ賭け事をやらない(勝負だけで十分である。賭け事をやるような精神的スタミナは残っていない)私には、あまり縁がないんだけどね。
それにしても美味しかった。もう一つ嬉しかったのは、ホテルに帰 ってきたときには、お腹が少し減りかけていたことだ。いいものを食べるといい循環が起こる。 旅先でこういったいい循
環に入れるってのは、とても幸せなことだ。
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牡蠣・・・たしかに先生は大好きでした(笑)
職場で夜に食べたとき(美味しかった~懐かし~)朝まで臭いが残ってました!あの時「くさや」はどうしましたっけ?食べましたっけ?
ちなみに中国の臭いのきつい豆腐とどっちが・・・
投稿: みず | 2009年5月24日 (日) 22時05分
はい。くさやも食べたように記憶しております。たしか「くすかっちゃん」が下痢をしたとか…
臭豆腐の臭さは、くさやよりは軽いと思います、数年前だったかに、屋台で臭豆腐を売っている人が、臭さを出すために、人糞を使っていたのがばれたとかで、けっこうな騒ぎになりました。それで最近は臭豆腐は……
でもやっぱり食べていますよ。私が食べているのは、結構な大きなレストランなので。
くさやは、臭さではあまり負けていないように思いますが。例のアイスランドとかのイワツバメの缶詰は臭いそうですが…
一つ念のために。私は美味しいものが好きなわけで、臭いものや、ただ辛いだけのものは決して好きではありません。あしからず…
投稿: くさやのくささ | 2009年5月25日 (月) 14時19分