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2009年5月31日 (日)

マンガ好き・11 ~10年ぶりの恋人『企業戦士YAMAZAKI』・2:歩く名言集~

 昼からS君と、ちょっとどたばたやっていた。お天道様も味方についてくれたみたいで、我々が活動している間は、いい天気だった。そしてお決まりのアトミックに昼食を食べに入ってしばらくすると、ザーっ。通り雨である。どうりで引き上げてくるとき、西の空が暗いと思った。

 だんだん夏型の気候に変わっているので、そろそろ夏型に対応しておいた方がいい。これは生理学的にだけではなく、天気も同じである。さあ、明日から着替えを増やしておこう。夏は汗をかくのが当たり前だからね。

 ということで、今回はマンガ好きの11回目である。今回も私の人生の教科書、『企業戦士YAMAZAKI』からである。私がこの作品が大好きなのは、心が温まるだけではない。人生で誰もが持っている自分だけの悩みとかに対する態度を、とても明快に描いてくれているからである。

 基本的にこのマンガの作者、富沢順さんと私の考え方は似ているのではないかと思う。個人個人の悩みは、他人に相談しても答は出ない(相談することが悪いことではないと思うけど。なぜならば他人に喋ることで、自分の中で問題点がまとまってくることがよくあるから)。それぞれが抱えた問題は、当人が片付けていくしかない。冷たいようだけど、それが明確に描かれている。

 そしてそれを見守るYAMAZAKIにしても鹿島倫子にしても、自分が大きな悩みを抱えていながら、人を見る目が温かいということだ。自分の問題点を少しずつ明確にしていきながら、必死で前進しようとしている人を暖かく見守っている。きっとこれは作者の中に、そういった要素があるんだろうなと感じさせてくれる(最終12巻の巻末に記述がある)。

 とにかく名作だと私は思う。私にとって今の自分がこのようであるに至ったのは、中島みゆきさんの『伝われ、愛』(新潮社)と、この『企業戦士YAMAZAKI』の影響が少なからずあったのは疑うべくもない。

 ということで、第六巻の最終話、BUSINESS36、「ワタシの青い鳥」に登場する刺客、足立道郎がYAMAZAKIを形容して言う「歩く名言集」「魂の伝道師」「素顔のマスクマン」の中から「歩Photoく名言集」というのをいただき、YAMAZAKIの名言を集めてみよう。

 第四巻・BUSINESS19の「感情の入らぬビジネスなどやっつけ仕事にすぎん!」てのは、案外見落としてしまいそうになるけど、至言ですな。淡々と感情を入れないで仕事をこなしていくのを「いい仕事師」という考え方もあるんだけれど、人が持っている能力を、持っている以上にして発揮させるのは、ほかならぬ「感情」だからね。

 同じく第四巻のBUSINESS23の「人はいつだって 次回作こそが最高傑作のはず!」ってのもいい。というのは私も何冊か本を書いて世に価値を問うている人間だが、いつだって自分のベスト(最高パフォーマンスというわけではなく、伝えたいことを最高の形にして伝えようとする意味で)を書いたつもりなんだけど、出来上がったときには「これ以上のものは書けない」と思っているのに、翌日になればそれよりもいいものが出てきてしまうんですよね。

 それこそが自分が伸びている証かもしれないけど、いつでも「次こそ、もっともっといいものを!」という気持ちで一杯だ。これっていつも最高のものを発揮しようとしている者には共通したことかも知れないよね。ペース配分なんか考えたこともない。いつも自分のベストを、と考えて動いている人間は、「次回作こそが最高傑作」って思いはわかるんじゃないかな。

 同じくBUSINESS24でも飲み屋での会話「つまりアナタは他人をも肩書きでランク付けするというわけですか。その人が持っている優しさ 夢 理想 価値観 喜び 悲しみ そして苦悩や努力を見ようとせず 肩書だけで他人を判断する。そんな浅薄な人間が 自分の何に対して自尊心を抱くというのです」ってのもいいなあ。こんなヤツ、結構いるもんね。

 私の業種で、「管理職になれない人は負け組」などといった発言を、上層部で平気で口にする人がいたそうだ(私の耳にはちゃんと入っている)。「勝ち組」「負け組」なんてのは、それぞれの人間の価値観ですべてが異なるというのに、テメエの価値観だけでこんなことを口走るヤツがいたとしたら、そしてそういうヤツが管理職をしていたとしたら、そんな組織はすでに死んでいる。価値のあることはもう何一つとしてなしえないんじゃないかな。

「現状維持など退屈なだけ! 生命は危険を冒すためにある!」 その通り。今では私は争わなくなったけれど、それは安っぽい争いをしなくなっただけ。今でもやるときにはやりまっせ。そういった気持ちがなくなったら、それこそ生きていても仕方がないと思っているもん。 Photo_2

 第五巻でも名言は止まらない。BUSINESS25では「道というものはね 倫子さん いつもふたつに分かれているものなのですよ。どちらの道を選ぶかは その人が 何を重んじ 何を捨てるかで決まる」 その通りなんですよ。私なんかそれで、人が選ばない道を選んだだけでね。それだって別にひねくれたからではない。私的にはきっちりとした理由がありましたからね。もちろん、それは(たぶん)多くの人から見れば、大きな犠牲を払っての決断だと思うかも知れないですよ。

 ちなみに倫子さんはこれに対して「カンペキな道が一本だけあれば なんにも捨てずにすむじゃんよ」と応じますが、YAMAZAKIの答は「そんな道はありません なぜなら価値とは相対的なものだからです。つまり捨てるものが大きいほど得るものは大きくなる」と返ってくる。あっちにもこっちのもいい顔をしていたのでは、自分が本当に自分の価値を感じられるほどの仕事はできないんですよね。だから私の場合は、私であり続けようとしていますけど。

 そして絶望的な状況で「もうおしまいだ」とわめく若者に、「おしまい などという言葉は それなりの事をやってから使っていただきたい」と叱る。こういった叱りをくださる方が、今でも日本の社会にはたくさんおられるのだろうか? 自分の「受け」を気にして、見て見ぬふりをする人が増えてしまったんじゃないかなあ。「人間なんか皆石ころですよ 違いがあるとすれば ジッと動かないか、転がり続けるかです!」 その通り! だから私も転がり続けようとしています。

 BUSINESS26では「アナタと同じ 糸の切れたあやつり人形ですよ。しかし 魔法をかけてくれる人がいる限り 決して倒れはしない」 特にこのBUSINESS26 では、ハッピーエンドのように見せかけて、見事にほろ苦いエンディングになっている。だから心が温まるだけではないんだなあ。人間、誰しも、人生に一度や二度はしているかも知れない、あの甘く、切なく、ほろ苦い思いにつながっているようで、私はこのエンディングは大好きだよ。

 BUSINESS27では「敗北はしても 決して敗退はしない! 敗退こそ人生最大の堕落なり!」 ただの言葉遊びじゃないんだよね。敗北は勝負すれば必ずどちらかに現れる結果でしかない。あきらめてそれを続行する意欲を失ってしまうことが敗退だ。これは勝負をする人間すべてに必要な気概じゃあないかな。

 BUSINESS29では私の好みそうな言葉がありますな。「性急でなくて誰が感動する。人は感動によって動くのです。ならば人を動かそうと思えば、自分自身が感動的な存在になる以外ない。その時 初めて 徳 と徳は一致する」 う~ん、耳が痛い……

 BUSINESS30で敵の攻撃で手袋が破れて、自分の身体が機械でできていることを露出してしまったYAMAZAKIは、潔癖症で手袋をしている青年に言う。「いかがです 河合さん これでもアナタはワタクシと似ているでしょうか」 すると青年は大切なことに気づく。「そうか…! あなたのPhoto_3手袋は人を拒絶するためではなく… 人として生き続けるために…」

 第六巻には私が感じる名言がとても多い。BUSINESS31:「心を捨てても 魂までは捨てられまい」「心がどんなに傷つこうと 決して傷つくことのない ひとかけらの魂が アナタにもあるはず!」 そうですとも! 「命の名前を心という」と歌ったのは中島みゆきさんだが(「命の別名」。これも大変に感動的な歌)、私たちは決して譲れないナニモノかのために、いつだって自分であり続けるものなんですもんね!

 BUSINESS32:「利己主義など無人島で一人暮らすようなもの。人と人の絆もなしに どうして幸福が実感できる」 はい、その通りです。でも人は人との絆を見失ってしまいがちなものなんですけどね。それでも表向き社会生活は送れますから。ただし、より大きな全体の利益を考えて動いている人間を、そんな視野をもてない人たちが「利己主義!」と呼ぶことはありますが。こういう人たちの口先に左右されないで生きるには、人は強くあらねばなりません。

 BUSINESS33:「できないという結論など 人には存在しませんよ。 生きているうちは すべてが進行形なのですから」 もちろん、「できない」というのは途方もないことではなく、何らかの理由で自分で無理だと感じたことを、簡単にできないとしてしまわないことなんですな。

 BUSINESS34:「心の隙間は自分できっちり埋めるしかありますまい」「乾いてゆく心を社会や他人のせいにしてはいけない。どんな時代に生まれようと アナタはアナタのはず。ならば自分の感受性くらい 自分で守り抜いてはいかがです!」 うん。私もそんなことで悩んだ時期があったよ。何年どころか二十年くらいかかったけど、すべては自分で何とかしていく以外ないということも知った。そうして私は私の生き方を得た。私は私。私以外のものではない。その人になんと思われようと、私が生きたいように生きるしかないってね。もちろんその人のために私が何かをしたいと思えば、それも遠慮なく行うようになったし。迷いがなくなったというべきかな。

 OLの藤森の言葉もなかなかいい。「過去の重さはワタクシにはわかりません。ワタクシにわかるのは… 今の重さです!!」 YAMAZAKIもこれをフォローするような言葉を残しておりますな。「過去は老人のもの、しかし未来は若者のものですよ 倫子さん」 まだまだ… と思っている私は、まだ若者なんかなあ…?

 35:「たとえ歴史が悲劇の連続だったとしても… 新しい歴史を突き動かすのは楽観しかない」。YAMAZAKIは自分はかつて過労死した会社で、かつて自分を育ててくれた人物・船戸に、その人から教わった言葉を返します。そして問題を解決して去っていくYAMAZAKIに船戸は「山崎さん 借りた傘は返せても… 雨に塗れずに済んだ恩は どうやって返せばいいのです」は問う。その答がなんともかっこいい。「笑顔ひとつで十分でしょう」 粋やなあ。

 36:ここでYAMAZAKIは当時社会問題でもあった『青い鳥症候群』の解説をする。「恵まれた家庭で 勉強勉強と 遊ぶ事を知らないまま枠にはめられて育った若者に多いストレス症です。彼らは思春期に複雑な人間関係の中で傷つきながら 忍耐力や社会性を養っていく訓練に欠けるため 社会生活に対応できない。おまけに幼児性が抜けないため 我慢がきかず 何事も他人に責任転嫁し 自分の足元を見つめずに 実体のない理想を追い続けて 職を転々としてしまうのです」 今でもいますかね?こんな人。

「美学は決して譲れないからこそ美学なのです」 でも世の中には、自分が好ましいというだけの理由で、自分の希望を押し付けてくる人が結構多い。そういった人にはどう対抗するか。簡単である。こちらも美学で応じるだけだ。「決して譲れない」というのがホンモノなら、こちらの美学が通る。

 そしてこれは最後の、「結局人の生きる道は2つしかないのです。境遇につくられるか、境遇を作っていくか。ワタクシはワタクシの総てを賭けて後者を選んだ!!」につながっていく。私も同じように生きておりますよ。青春時代に出会ったこの本のお陰でね。だからあえて「人生の教科書」と呼んでいるんだけどね。

 その本が小難しい哲学書なんかである必要はちっともない。著名な学者先生が書いたものでなくてもいい。私の心の琴線を振るわせることができて、そして私がそういう生き方をしてみようと思った瞬間から、この本は私の教科書になった。ランク付けで判断する社員を諭した心そのままに、漫画だからくだらないと切って捨てるわけにはいかなかった。値打ちがあるものは、漫画であろうが哲学書であろうが、私にとっては同じである。

 いやまったくこの人生、こういった本に出会えて幸せである。私もそう感じてもらえるような本を書いていきたいものだ。

 ということで、自分の本も宣伝しておかねば…(笑)Photo_4

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2009年5月30日 (土)

桃源郷 ~心の理想郷?~

 以前、本ブログに登場していただいた孫悟空K先生に、高校時代、漢文を教えていただいた。この方の授業はとても魅力的であったが、私が偶然であった『桃花源記』について質問したところ、丁寧に答えていただいた記憶がある。

 残念ながらその時何を尋ねたのか忘れてしまった。覚えているのは孫悟空K先生が、教科書にも関係ない内容を、丁寧に教えてくれたことであって、こういった方に出会えた私は、きっと幸せ者だったのだろうと思う。

 実際人間にはユートピアに対する憧れがある。ユートピアとは「ありえない場所」という意味なのだそうだが、ありえないくらい平和な場所ならば、一生のうちいくらかは住んでみたいような気がする。勿論、ず~っと住んだら、ボケちゃうんじゃないかと思うけれど。

 晋太元中Photo、武陵人捕魚為業。 縁渓行、忘路之遠近。忽逢桃花林。 挟岸数百歩、中無雑樹。…… で始まる『桃花源記』は陶淵明の作で、その生き生きとした形容は、高校生だった私の想像力を刺激するには十分だった。

 晋の太元年間のことだ。武陵の人で魚をとることを生業にしてい る人がいた。谷川にそって行っている間に、距離がわからなくなり、突然桃の林に行き当たった。川の岸数百歩に桃の樹意外に他の木はない。芳しい草が緑も鮮やかに、花びらもひらひらと散っている。漁師はこれを不思議に思って、桃林は尽きるところまで行ってみようと思った。

 桃林は水源で尽き、そこに一つの山があった。山に小さな洞穴があり、中からぼんやりとした光が見えた。そこで船を下りてその洞穴に入った。最初は大変狭く、人がやっとと折れるくらいだったが、それでも進んでいると数十歩で、突然目の前が開けた。

 土地は平らで広々とし、家は整然としている。良田や美しい池、桑や竹の類がある。畦が交わり、鶏や犬の鳴き声が聞こえてくる。その中を行き来する人々の衣服は、外界の人と同じようである。

 老人も子供もみな楽しそうだ。漁師を見ると大いに驚き、どうやってここに来たのかと尋ねた。漁師はそれに丁寧に答えた。すると家に来てほしいと、鶏を殺して酒を出し、食事を作ってくれた。村中の人々はこの人が来たのを聞いて、みな漁師のところに集まってきた。

 自ら言うには「先祖が秦代の戦乱を避け、家族や村人を連れてこの絶境に至り、二度とここから出なかったのです。外界との接触を断ってしまったのです」。そして問うた。「今は何の時代になっておりますか?」 ところが漢があったことを知らない。魏や晋のこともちっとも知らない。

 そこで漁師は自分が知っていることを一つ一つ話してやったが、皆驚いていた。他の人たちもそれぞれ自分の家に漁師を招き、皆酒食を出した。漁師は数日ここにとどまって帰ることにした。すると村人は「外界の人にいうには及びません」と言う。

 村を出た。自分の船を見つけて、やって来た道に沿って、ところどころに目印をつけた。郡下に及んで、太守にこのことを報告したところ、太守も興味を持って人にそこに行かせたが、漁師がたどった道は見つからず、そのまま迷って、道を見つけることはできなかった。

 南陽の劉子ji(馬へんに冀)は志の高い人で、これを聞いて率先していくことを決めた。まだそれができないでいるうちに病を得、死んでしまった。その後、そのままになってしまってそこを尋ねる人はいない。

 なんてPhoto_2大意ですな。今の中国でも、この『桃花源』の候補は3箇所くらいあるらしい。一つは湖南省武陵県で、ここには「客を歓迎して鶏を殺し、酒を飲む」風習があるということである。ここは苗族の住んでいるところで、生産力が低く、貧富の差が小さく、原始共産制のような暮らしをしていたらしい。

 二つ目は湖南省常徳市桃源県の南西、沅水のほとりで、桃源山と桃花湖がとても美しい風景を演出しているということだ。ここには山に小さな洞穴があり、おくが急に開けてという、陶淵明が書いたとおりの場所があるという。そして常徳市はもともとは武陵という地名だったということだ(1911年改名)。

 三つ目は安徽省歙県で、陶淵明の曽祖父、陶侃の出身地で、彼もその地を訪れたことがあるらしい。昔は歙県の南には武陵嶺があり、その麓に武陵村があって、そこの人は魚を捕らえるを生業にして暮らしているという。そして谷川があり、それに沿って上ると桃林があり、谷川が尽きるところに山があって洞穴(名前も桃源洞)もあるらしい。そしてそこをくぐりぬけると、山間の盆地に出、良田や美池、小さな橋、それに桑や竹も生えているし、人家も整然と建っているらしい。

 まあ陶淵明だって、そうそう新しい人じゃないし、陶淵明の『桃花源記』が先に あって、それらしいところが桃源郷だといわれただけなのかもしれないから、なんともいえないところだけど、箸墓古墳が卑弥呼の墓だとか騒がれている昨今、何があってもあまり驚きませんな。

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2009年5月29日 (金)

マンガ好き・10 ~10年ぶりの恋人『企業戦士YAMAZAKI』・1~

 21世紀になる直前、私の大好きなマンガ(というよりは、人生の教科書? 参考書?)があった。けれどもその頃の私は、毎日が「勝負!勝負」の生活を送っていたので、なんとコミックの第8巻を買い損ねてしまって、それでも残った11冊をあちこちに抱えて行って読んでいるうちに散逸してしまって、今や手元に7冊しかなくなってしまった『企業戦士YAMAZAKI』というマンガがある。富沢順さんの作品だ。当時はスーパージャンプに連載されていた。

 いやもうこのマンガには何回泣かされたか知れない。そして何回助けられたかわからない。畏友Iさんのお陰でこのたび、フルセット12冊と再会できたのは、天にも昇る喜びだ。そしてさっそく読みふけって、そうでなくても睡眠不足なのが、ますます睡眠不足になってしまうといった有様だ。

 青春時代の恋人と10年ぶりで再会した感じかなあ。それでどちらもまだ独身だったって感じかもしれない。で……? と聞かれても返答に困ってしまうけれど。あんまり嬉しいので、この作品だけはシリーズの紹介でなくて、もっと細かくやっちまいましょう!

 会社のミスを、関係ないのに一人責任をかぶせられ、過労死した尾崎達郎は、過労死認定の裁判に負けた妻と娘に、少しでも幸せになれる助けになればとお金を残すために、企業戦士YAMAZAKIとして蘇った。ところがこのYAMAZAKI、仕事に独特の哲学を持っていて、これが本当に私には素敵だった(影響受けたのかなあ? 今でも無意識のうちに同じようなことを言っているもん。やっぱりこのマンガは私の人生の教科書の一つだったのだ)。

 でも第一巻の第一話BUSINESS1;コンビニエンス・ウォーズだけは毛色が違うんだよね。でもこれも好きだったよ。自己紹介のときの「どーもなどというあいさつがこの世に存在するか」とか「やる気のないやつは去れ!生きる気のないヤツは死んでしまえ!!」なんて、第二話以降はないパターンだったけど、なかなか面白い。

 第一話ってのはキャラクターが確定しきっていないので、こういうのはよくあるんだよね。刑事コロンボシリーズだって、記念すべき第一作『殺人処方箋』では、コロンボが7・3分けのヘアースタイルで出てきたり、よれよれレインコートがなかったりするし、『美味しんぼ』なんかPhotoでも、副部長なんかが偉い迫力だったりしたもんね。

 でもすでにこの第一話ですでに、敵との戦いで傷ついたまま仕事をするYAMAZAKIが、「電子頭脳の一部に使われているワタクシ自身の脳細胞はあと一年足らずで腐敗を始めます。ならば一分一秒でも多く働き、妻と娘に少しでも多くのお金を残してやれればと……」語ると、職場の動かない花でいいといわれたOLの小出珠子が「な…なにかお手伝いさせてください、部長代理!…」 と。それを受けて「ありがとう。アナタのその一言で痛みがやわらいでゆくようです」といった会話が登場している。

 このハートウォーミングな心と会話が、私は実はこの『企業戦士YAMAZAKI』の最大の魅力だったと思っている(もちろん、作品中で出てきた製品の中に、現実に今の世には存在するものがいくつもあって、その先見性に驚かされているけど。まるでジュール・ベルヌだ)。

 BUSINESS2の最後の方のせりふもいいなあ。「過去のオトシマエをつけるために未来はあるのです」 その通りだねえ。今の私なんか、まさにそういった生き方をしているもん。このマンガを読んだときにはそれほど気にもしていなかったのに、知らない間にそういった生き方になっちゃっているもんね。これは素晴らしいことだ。

 BUSINESS3には助手の倫子さんが登場してくるが、倫子さんを諭す最初の言葉が「自由と怠惰をはきちがえてはいけません」 う~ん、その通り!「あらかじめ用意された居場所なんて誰にだってありませんよ。甘ったれてはいけません」 ごもっとも~っ!! 私もそんなことを言っていたよな~。このマンガと出合う前から(20年以上も前から。適性は作るものというのが私の口癖だった)。

 特にこのBUSINESS3では最後の方で倫子とYAMAZAKIの会話が面白かった。「彼女たちが新しい幸福をつかむせめてもの手助けとして少しでもお金を残したい。ワタクシはそのためだけに再生しました」というYAMAZAKIに、「ハ! バッカじゃねェのあんた!きっとむこうはむこうでテキトーに楽しくやってるに決まってらァ あんたのことなんかとっくに忘れてさ あんたなんかいなくなったって 今頃きっと新しい男を作って…楽しく…    そうじゃないよね… そんなはず…ないよね… ゴメンね」 倫子ってネーミングもなかなかだが、ここのせりふはいいなあ。

 BUSINESS5では「はるか彼方を見つめる者だけが正しい方向へ歩いていける。今はそう信じましょう」ってのがあるよ。これは私もよくつかっていた言葉だよ。私のは車の運転から導入したんだけどね。近くばかりを見ていると、車は真っ直ぐ走らないけど、遠くを見ていると真っ直ぐ走るからねえ。

 BUSINESS6では「不自由なものですね 誰もがみんな それでも一筋の光さえ見えれば、人は歩いていける」ってのがありますな。これは当時の私でしたな。まだ光は見えていなかったけど。今はあの頃よりは随分と気が楽ですよ、光が見えているから。ただ時間が足りないのPhoto_2が難点だけど。

 第二巻に入ってもYAMAZAKI節は衰えない。BUSINESS8の「現実を直視しそれを打ち破れない人間にどんな夢が持てるというのです! 自分をごまかしている限り、本物の夢はつかめない!」 BUSINESS10の「王などいらん!人はただ己に仕えるのみ!!」なんてまさに今の私の生き方そのものだし。BUSINESS12の「過ぎ去ったあれもこれも すべてのことが輝く未来のためにあったはず そう信じなくて人生に何の意味があるのでしょう 目指すべき自分の姿にたどりつくために今何をなすべきか。正面から過去を見つめる勇気を持つものだけが… その答を得るのです!」

 第三巻はBUSPhoto_3INESS17がいいですな(どの作品も面白いけど、台詞に限って言えば)。「山崎さん… 自由になるためにはどうすればいいんだろう」と途方に暮れる社長の御曹司に、「自由とはすなわちすべてのオトシマエを自分でつけることです。そのためにはまず自分で作り上げなければならないものがあるはずです」と答え、最後の〆には「何の努力もしない人間に限って運命などという言葉を使いたがる。生まれた時から答が出ているくらいなら、最初から老人として生まれてくればいい!!」 う~ん、他人の作ったフキダシみたいな気がしない。私が日ごろ喋っているような調子でどんどん言葉が出ている。だから好きなんだなあ。

 昨夜も懐かしい第十二巻の最後、一番YAMAZAKIの顔が優しくなる「ただいま 今かえったよ」のシーンを読み直して大泣きしてしまったが、また今夜も読むんだろうなあ(その分、「戦国の竜虎」が遅れていますけど)。でもいいマンガには心を清められるよ!!

 なかなか本屋では揃えられないのではないかと思いますが、マンガ喫茶などで見かけたら、ぜひおススメの作品でございます。

 というPhoto_4ことで、自分の本も宣伝しておかないと!

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Photo_5

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2009年5月28日 (木)

麒麟

 昔々、子供の頃、私はキリンという動物を、図鑑で知った。動物園で実物を見るのに、それからさほど長い時間を要さなかったと記憶しているが、小学生時代だったか、父が飲んでいるビールのラベルを見て、それとは全く異なったキリンを知った。動物園にいるキリンは、首がやたらと長く、口を横に動かして変なものの食べ方をする。そして血圧がいつも目茶高いんだそうである(あんな高いところにまで血液を送り届けなければならないので、嫌でも血圧が高くなるんだそうである)。

「これがキリンなわけないじゃん!」 某ビール会社のビール瓶のラベルと見て、子供心にそう思って、実物のキリンとは似ても似つかないキリンを、見ても気にしないことにした。まあビール会社もトレードマークなしに商品を売るのは、なにかとやりにくいだろうし。

 そしてそれが神獣・麒麟だと知ったのは、もうお酒を飲んでも構わないくらいにまで成長してからだった。なんと雄が麒、雌が麟、あわせて麒麟というのだそうである。これは古代中国では龍、鳳凰、亀とあわせて「四霊獣」と呼ばれ、獣の王とされたのだそうである。う~ん、私は獅子が王かと思っていたのだが…

 とりあえず麒麟は、古代中国の民間伝説では、吉祥の象徴とされ、孔子が生まれる前に、孔子の母が麒麟を見たという伝説から(こんなことを言うこと自体、意地でも孔子を聖人にしておきたい、しょうもない欲望が垣間見えてくるのだが)、聖人が現れる時に出現するといわPhotoれたり、麒麟は子供を連れてくるなどといった伝承ができていったようである。

 古代の書物によれば麒麟は、体長およそ20~30㎝(あら、可愛い。今うちの庭を滅茶苦茶にしてくれている子猫くらいか、それよりほんの一回り大きいだけ?)、体高20㎝ほどで、龍の頭に角を生やし、獣のように四足で、扇子のように開いた尻尾を持ち、全身が鱗で覆われているというものである(では爬虫類か? 私は当然そう疑った。もちろんこれは神獣さまに対して、大変な失礼かも知れないが)。

 しかも習性が面白い。水底の泥の中に、上唇と高い鼻と、目と二本のミミズと見まがうばかりの髭を出し、しばしばその髭を動かして小魚を誘い、近寄ってきたらパックリこと食べてしまうんだそうである。中でもドジョウがもの凄く好きだという(どうやらチョウチンアンコウの仲間??)。身体は小さいのだが、非常に動きが鋭く、しかも駆け回るのが大変速くて、水深くもぐるのも得意で、人間が捕らえようとしても、なかなか捕獲することができないという。う~ん…(獣の王んひしては可愛すぎるような気が…) 

 そんなこと言い勝ちなんだよね。「いるのなら捕まえてきて見せてみろ」と言われたときの言い訳で。いやもう、とにかくその速いのなんのって。鉄砲で撃ったって、鉄砲の弾を追い抜くくらい速Photo_2いんだって。なんだかほら男爵の冒険になってしまいそうである。

 昔の中国の役人の服の模様としてもよく用い られ、見たこともない麒麟の柄の服をきてお洒落をしていたらしい。もっと面白いのが明代の鄭和が西洋に負けじと大航海をして帰ってきたとき、彼は身体の両側に長い首の生えた鹿を連れ帰ったという(どこから排泄したのでしょう? いかに鹿の糞が小さくて丸いからといって、出すところがなければ死んでしまいます:お食事中の方、すみません)。それを当時の人は麒麟だと思ったそうである。 もう完全にミュンヒハウゼンになっておりますな!(『山海経』のお国ですから、仕方がない?)

 それでも実際にいもしない龍の彫刻を山のように作った国民性で、麒麟も作られたのでございます。民間信仰が篤いと、どうしても偶像が作られたりしますんですな。現在一番有名なのは、南京の中山門外にある巨大な石像で、名前を「辟邪(まさか辟易とするくらい邪な像なんじゃ?)」と言うんだそうですが、あまりにも威風堂々としていて、獅子か虎かと見間違えそうになるんだそうですが、こいつが麒麟だということでございます。

 ま、この麒麟という生き物は中国でのお話で、これが西洋に伝わっていくと、なんとロマンチックな一角獣(処女にしか懐かないと言われた)になったと、中国の人は語っております。なんのこっちゃあ?

 キリンシーグラムも中国で結構ビール会社を買い込んでいるみたいですが、残念なことに例のラベルは貼っておりませんですな。せっかくだから、ぜひキリンのラベルを、あちらでも広めてPhoto_3いただきたいもんだと思っておりますんですが、いかがでしょう?

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2009年5月27日 (水)

おっとびっくり! 人口の謎

 いやはや、くだらん仕事に忙殺されていたため、やっと本日のブログである。人生の無駄としか思えないことに時間を取られるのは、私にとってもの凄い苦痛だ。ましてやそういったことが他人から振られたら、最近だいぶ温厚になっていたのに、また昔の姿に戻ってしまいそうになる。え~かげんにせえよ、この野郎!(相手が男性とは限りませんが…)

 まあそんなことはどうでもいい。世の中には、私のブログでも楽しみに待っていてくださる方がいらっしゃると耳にしたことが何度かあるので、マイペースに戻しまする。アホの弊害は多いが、それは私のところで止めておいたほうがいいかも知れないから。

 先日訪中したときに、例によって本屋に寄ったんだけど(最近は本を仕入れてくるのも、楽しみの一つとなってしまった)、『中国未解之謎』という、豪華なカバーで、紙の質も立派な本が出ていた。日本にも「ナントカの謎」なんて本は出ているよね。でもたいていは安っぽい作りの場合が多い。にもかかわらず88元(高い!! すでに金銭感覚が、日本的でない?)という途方もない金額で、出ていたんだよね。歴史が長い国だから、思わずわくわくしてしまったよ。

 あちらにいる間にほとんど斜め読みをしていたので(重かったので、あちらから送っていたから、やっと昨日届いたのだ)、今読み返してみても、なかなか面白い。中でも私の好きな時代の話から紹介してみよう。

 春秋戦国Photo_2最末期といえば秦が天下を統一するところなのだが、ほとんど形勢が決まってしまった多戦の一つに「長平の戦い」がある。これは秦と趙との間で行われた戦いで、秦の猛将・白起に、趙は老将・廉po(皮へんに頁。日本では「れんぱ」と呼ばれる。「刎頚の友」の故事で有名な人物である)を当てて防がせていたのだが、「れんぱ」手ごわしと見た白起の謀略で、実戦経験のまったくない、机上の空論の得意だった趙括を守将に替えさせ、これを殲滅してしまった戦であって、この戦で白起は趙の降伏兵40万人を生き埋めにしたといわれている(司馬遷の『史記』などにはそうある)。

 この40万人という生き埋めにされた兵隊の数が、私は長らく不思議に思っていた。はたしてこんなに大勢の兵が趙くらいの国にいたのだろうか? やっぱり同じことを不思議に思う人が中国にもいたらしく、面白いことが書いてあったので紹介してみよう。

 歴史資料によれば秦は、長平の戦いの前に、魏・韓連合軍と戦っていて、その時の魏・韓連合軍は24万の兵力だったといわれている。これはうなずける数字である(とは言っても、1600年に関が原で行われた合戦の、東西両軍をあわせたよりも多い。2000年近く前によくもまあそんなに大勢の兵を養うだけの生産量があったものだと思うけど)。

 本ブログで紹介しているのが長平の合戦の100年くらい前だが、当時の総兵力は、韓が約8万、魏は30万くらいである。魏はそれから国力が落ちたとはいえ、韓とあわせれば24万というのはまんざら嘘ではないだろう(むしろ少ないくらいである)。そして長平の合戦に動員された秦側の兵力が、たかだか24万くらいではないかというのである。まあそんなものかも知れない。

 では趙の側を考えてみよう。戦国時代の中国の人口は、全体で2000万ないし3000万だったのではないかと推測されている(この1000万の差はどうだ?と思ったりするが、戸籍の調査などもなかったろうから、だいたいのところであろう)。その中で戦国の七雄などと言われているが、趙は中くらいの人口の国であった。だから趙全体の人口が、まあ400万くらいだったのではないかと推測される。

 ただしこの中で兵になれる人口というと、随分限られてくる。400万の中には、女性もいれば老人や子供もいるからだ。だいたい当時は15歳くらいから徴兵されたりしていたらしいのだが、果たして趙という国に40万もの大軍をかき集めるだけの力があったかとなると、いささか怪しい。

 実際にこの本では、趙の総兵力は10万から20万の間だったのではないかとしている。それでも人口400万の国で20万の兵士を抱えていたら、凄い軍事国家だとは思うが。いったい誰がどうやって兵士を食べさせる食料を生産していたんだろうか(もちろん兵とはいっても、普段は農業に従事していたとは思うが)。

 ただし長平の合戦は、上党という町を救出するために起こされた戦である。上党という町はそれ以前に、魏・韓・趙でたびたび奪い合いをやっていたらしいから、経済的、軍事的要地であったのではないかと思われる。すると都市としてはまあまあの規模だったかも知れない。

 以上から考えると秦の白起が生き埋めにしたといわれる40万は、兵士だけではなかったのではないかと考えることができる。きっと上党の市民も、抵抗したか何かの理由で生き埋めにされたんだろう。

 後に白起は自殺させられるのだが、ここで捕虜にした40万を生き埋めにした罪であると言ったらしい。兵隊は戦争で殺し合いするものだから、罪の意識も薄かったかも知れないが、もし一般市民とか非戦闘員を生き埋めにしていたとしたら、後味が悪かっただろうね。自殺しなければならない理由の一つに数えた気持ちもわかります。

 というこPhotoとで久々に、歴史の裏づけ的な内容でございました。おそまつ!!

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2009年5月26日 (火)

ほんとに効くの? ~タツノオトシゴと蝦のお粥~

 練習のせいか血糖値が下がっているのだろう、頭の中には何もアイデアが出てこない。妄想すら湧かない。ひたすら酒飲んで、寝てしまいたい気分である。いや、機嫌が悪いんじゃないよ、身体が睡眠を欲しているだけ。

 で仕方がないから、先日試してみた、ちょいと変わりネタのお粥を紹介しておこう。あちら名は「海馬鮮蝦粥」という。海馬はタツノオトシゴのこと、ちなみに海龍というのがいるが、これはヨウジウオのことである。両方とも強精作用のある漢方とされている。

 先日京都PhotoのIさんと話をしていたら、とても効果があって、ちょっと困ったくらいだったと仰っていたので、若干ビビリ気味での挑戦であった。だいたいタツノオトシゴなんてどこ食うの? ということで材料の紹介ね。

 剥き蝦と生姜と葱、それからタツノオトシゴ。できたら黄酒。これをお米と一緒にことこと煮込む。我が家ではもう毎晩お粥なんで、いい加減システマティックに作る。私が帰宅したあとはもう習慣的に厨房でお粥を作っている。習慣というものは恐ろしい。半分寝てPhoto_2いるような状態でも、なんとなく作っているから面白い。しかもそこそこ食える味だから不思議だ。

 黄酒は近所の中華食材店に行ってもなかったので、仕方がないから5年もお酒につけていたタツノオトシゴを引っ張り出して使うことにした。お酒は改めていれたりはしない。だいたい面倒い。

 できるのを待っている間は、当然酒盛りである。お粥を煮込む時間など、こまごまとテキストには書いてあるけれど、最近の我が家はお酒を飲んでいる間が、自動的に炊き込む時間になっている。だからあまり細かいことは気にしない。味は塩味で、隠し味として少量の醤油を入れる。Photo_3

 で知らない間にこんな風に出来上がっているわけ。食べたら私の作る、普通のお粥の味だった。(タツノオトシゴはどこを食べていいのかわからなかったので、食べなかった)とくに身体に変わったことも起こらなかったし。まあ私の身体はマムシ(毒蛇)を食べようがコブラ(毒蛇)を食べようが、ニシキヘビを食べようが、何の変化も起こらないんだけどね。

 そんなに頻繁に作って食べるお粥でもなさそうだ。Photo_4

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2009年5月25日 (月)

鵜の真似をする烏はいない

 やっと花粉症(? 今年のは長すぎたぞ)が一きりついたので、外に出てみる気になった。面白くないこともあったからだ。私は気分の切り替えや、考えがまとまらないときには、野山を歩き回ることがある。別に野や山が答えを出してくれるわけではないけれど、なんとなく考えがまとまることがあるんだなあ。

 久しぶりだったので、風景も変わってしまっていた部分があった。すぐに工事が始まって、ほんの数ヶ月前とはまったく風景が変わってしまっていることがある。紙の上で計画を立てている人には、そこで生きている生物の都合なんてわからないんだろうけど。

 でもそとを歩く習慣がある人間には、昨年と同じ場所に、昨年と同じ花をみつけると、旧友に遭ったような気がするんだよ。とても懐かしい。そしてなんとなく気分が落ち着くんだな。嫌なことがあっても、また来年も花は咲くんじゃないかってね。彼らは雨の日も晴れの日も、雪の日も、風の日も、ただそこに立ち尽くして、それでも生きている。そんな姿を見ていると、なんとなく元気が出てくる。Photo

 こんな可憐な花が咲いていた。確か去年も見た。しかも同じ場所でである。ミヤコグサという。去年とは何もかもが変わっても、ミヤコグサはちゃんと同じ場所で咲いていた。この花の花言葉は言わない方がいいかも知れない。可憐なイメージとは違いすぎるから。 Photo_3

 こんな花もあちこちで見かけるよね、最近は。これはコバンソウという。花言葉も「お金持ち」とめでたいので、紹介しておこう。これは明治時代にヨーロッパ(原産地は地中海沿岸)からやってきた帰化植物だ。最初は観賞用だったらしい。動物も植物も、観賞用から野生化したものが結構あるよね。

 いつも変わらぬ風情で、マイペースな生活ぶりを見せてくれるのが鳥たちである。Photo_4 こんな感じで、シラサギが餌を探していた。鳥が餌を探す姿をみると、私はなぜだかかつて地球上を支配した恐竜たちもこうだったのではないかと想像してしまう。生活がかかっているから、かなり真剣な作業をしているはずなのに、のんびり見えてしまうのはPhoto_2なぜ?

 これはカモと烏(左奥)。川鵜も見かけたんだけど、川鵜はカメラに超敏感で、撮影させてもらえなかった。これは毎度のことである。でも確かにいえることは、川鵜と烏の共通点は、色が黒いことぐらいではないかな。絶対にカラスは鵜のように水にもぐらないもの。

 これは烏が自分の身の程をよくわきまえているからなんだと思うね。カラスは妄想を持たない。とても現実的な鳥だと思う。もしかしたら人間よりも、はるかに現実的で、賢いのかもしれない。まあ、自然界で妄想なんかしていたら、生命がいくつあっても足りないんだけどね。Photo_6

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2009年5月24日 (日)

初挑戦!砂糖味のお粥 ~龍眼蓮子粥~

 あちらでは時々とんでもない味の料理に出くわすことがある。今回の訪中では、砂糖味のお豆腐「豆腐花」には、ちょっと参ったが、実はお粥でも砂糖味のものが結構あったりする。そういえば市販のペットボトル入りのお茶も砂糖入りだった。後口がさっぱりしないことが多く、私などは日本からティーバッグを持ち込んで、わざわざ日本茶のペットボトルを作って飲んだりする。

 お粥もまさにしかりで、今回はあちらで食べたお粥の中で美味しいと感じたのはたった1つ。美味しいのはあたりまえで、蟹でダシをとったものしかなかった。蟹でダシをとれば、あとはとんでもないお米と調味料さえつかわなければ、美味しいお粥になって当然である。

 たくさんの人の中には、甘党もいれば辛党もいる。だからあらかじめ味つけをしないで作り、食べる時にお好みで塩を加えたり、砂糖をくわえたりすることが多い(その他の調味料もたくさんある)。でも調味料を加えて調理するのと、後から調味料を加えるのとでは、味はかなり違ってくる。だから私は砂糖を使うお粥は、今まで作らなかった。砂糖入りのお粥なんて、スイカに砂糖をまぶして食べるよりおぞましい(我が家はスイカには塩である)。

 けれどPhotoもいつまでも同じことしかしなかったら、新しい発見はない。これは間違いない。そこで清水の舞台から飛び降りたつもりで、「竜眼蓮子粥」を作ってみることにした。原材料は次のようなものである。もちろん日本国内では入手できないものもあったので、中国から仕入れてきたものもある。

 左から竜眼肉(新鮮な竜眼は 夏が美味しいですな! でも当然、普通の旅行者は国内に持ち込み禁止です。植物検疫にかかるので)、芯を取り除いた蓮の実、それから紅棗(種は取り除き、乾燥させています)でございますな。もしかしたら食材店よりも漢方薬局の方が入手しやすいものがあるかも知れませぬ。

 一応、Photo_2もち米は50gということで、それに相当する各種材料の量は、左の写真くらいでございます。 左から竜眼肉(皮を剥いて、乾燥させた竜眼)15個前後、蓮子20個弱、紅棗3つというところである。そして一番恐ろしいのは、砂糖が大匙2杯!! ということだった。私はあまりの恐怖に、小匙半分に減らしたけど。

Photo_3  それでこんな風に炊き込みます。テキストにはもち米は水にかしておけとは書いていなかったので、もち米も一緒に、最初からとろ火でとろとろと。入れる竜眼にしても蓮子にしても、紅棗にしても、すべてが乾燥させておりますので、最初から一緒に入れて炊くのです(教科書にもそう書いてあった)。これで砂糖味が食べれたら、私のお粥の守備範囲も広がる。不安と、期待Photo_4が入り混じった不思議な感じ。夕食を作るたびにこんな感動があるなんて、なんて幸せ者だろう。

 これくらいになると、あと一息でございますな。その時「今晩は」という声。おおそうだ、今夜は近藤さんが来ることになっていると、母から聞いていた。近藤さんにも食べていただこうではないか(彼は「南瓜百合粥」のときもタイミンPhoto_5グよく来ていただいたので、味見をしていただいたことがある)。

 そうして出したのがこれ。 量は僅かだったが(これは出来上がった量が少なかったことと、自信がなかったため)、食べていただいた。近藤さんの感想は「薬じゃな、これは」。う~ん、随分気遣ってもらった感想みたいだ。後私はこれを食べたが、確信した。やはり砂糖はお粥には合わないと。

 近藤さん、ごめんね。実はあの時は、もし出来が悪かったら、口直しにと、自信のあるお粥も平行して作っていたんだよ。近藤さんがいたときは完成していなかったので、出せなかっただけなんだけど。味見役(毒見役?)をさせてごめんなさいね。

 甘ければ商品価値が高いというのは、すでに大昔の貧しかった頃の価値観ではないかと思う。Photo_6やっぱりお粥は、食欲増進のためにも、やや塩味系が無難かも知れない。

←大好評!発売中!! いろんな実験をした成果が満載でございます 。そして効果があるものを紹介しました。

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2009年5月23日 (土)

『読むだけであなたは身を守れる』近日中に発売されます!!

 そろそろ五月も終わろうとしていますが、私の新刊が、近日中に発売されます。

 今回は今までとは趣を変え、まったく身体運用などに興味がない、それどころか軽いスポーツでさえするのも気が進まない人にでも有効な、現実の場で使える、身を守ることについて書きました。(世間一般では「護身術」と呼ばれていますが、私のは「護身術」ではなくて、ただの「護身」です。「護身術」と「護身」とは大きな違いがあります)

 世の中を騒がす凶悪事件は、年々増加しているような気がします。そういった社の中で、自分の人生を全うするには、被害者になってはなりません(もちろん、加害者もですよ!)。被害者にならないためにはどうしたらいいのかを、多角的に捉え、述べてみました。

 幸いなことに以前は、警察の方とも親しくつきあっていた頃もありますし、実際にいろいろな場面に出会ったり、対応した経験がありますので、そういったことをもとに、被害者にならないためのノウハウを、科学的な分析を行い載せています。

 一番大切なのは、格闘技や武道・武術を行っている人たちには、あらためて護身術を学ぶ必要はないと思います。けれども、そういった闘争のための技術をまったく知らない人の方が、はるかに護身についての知識や技術が必要なのではないかということです。

 本書では、いわゆる護身術は、原理的なものしか紹介していません。それよりも重きを置いているのは、護身術が必要でないような生き方、つまり危険な目に遭わないような生き方です。闘争には闘争という現象が成り立つ条件があります。それを科学的に分析し、闘争が成り立たないようにすれば、護身術は必要ありません。

 もちろん、どうしても逃げられない状況はあります。そういうときに通用するのは、いわゆる術ではありません。その時、自分が出来ること、自分が利用できるものの中に、護身上大層有効なものがあるのです。そんなものの使い方は、実例をあげて紹介しています。

 このような「現実に使えるものの紹介」を通じて、護身を考え直し、可能な限り護身術がいらない、どうしても護身術が必要な場合も、テクニックに走るのではなく、状況にあわせた動き方をするだけで身を守ることを大々的に述べています。

 護身術は「術」ですから、練習しなければ上達しません。でも普通の人には、いつあるか、もしかしたら一生ないかも知れない護身術の実践のために、わざわざ時間と労力を割いて練習する時間も労力もないのではないでしょうか。でも本書は、読むだけで発想が変わります。発想の転換には練習はいりません。でもちゃんと自分の身を守る上で役立ちます。きっと護身のための技術を満載しているよりも、はるかに実際には有効だと思います。

 私の今まで出した本は、すべて身体運用の本でした。今回は身体運用はまったく関係がありません。むしろ高度な身体運用ができない人にでもできることを主体に書きました(身体運用が高いレベルの人なら、凄いことになるのかも知れませんが)。

 特筆すべきは、年代別の護身、痴漢やストーカー対策、幼児や小さい子供さんの護身などにも触れている点で、「護身とは、体力自慢、技自慢ではない」という考え方のもとに、新しい発想を紹介してあります。だから若い女性、お子さんをお持ちのお母さん方にもぜひ読んでいただきたい本です。

 すでに幾つかの書店では予約受付をしているようです。絶対に読んで損はない本です。今日、私のところに出版社から送られてまいりましたので、さっそく紹介させていただきました。みなさん、どPhoto_2うぞよろしく !!

書名:『読むだけであなたは身を守れる ~テクニックのいらない護身術~

著者:小森 君美(本ブログを一人で打ち続けている人です)

出版社:スキージャーナル株式会社

定価:1470円

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※身体運用関連の本との共通点:実際に効果があるものだけを紹介しています。科学的分析に基づき、使えない技や、難しい哲学・術理の紹介はしていません。「実際に使えてなんぼ」という本です。

 なお、既刊Photo_3『あなPhoto_4たにもで314192591きる 超人の動き ~動きのエネルギー革命~』、『動き革命 ~最大能力を引き出す整体動作~』(いずれもスキージャーナル社刊)、『ナンバの効用 ~整体動作がカラダを変える~』( 徳間文庫)もよろしくお願いいたします!!

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裁判員制度

 裁判員制度というのがスタートしたのだそうな。母に聞いたところでは、もうだいぶ前から、こういった考え方はあったのだそうな。最近はテレビなんかをつけると、よく「裁判員制度がどうの…」という番組を見かける。う~ん… もしも私が裁判員なんかに選ばれたら、やっぱり悩むんじゃないかなあ。

 第一私は、他人様のことをどうこう言えるほど偉い人間じゃないし、自分の確かさにも自信がないし、自分がかならず社会正義だって思ったこともないし… だれだって他人を裁かなければならなくなったら、日ごろはあまり考えてもいないことでも、考え込んでしまうんじゃないかな。

 本ブログなんかであれこれ言うのは、あくまでタイトルにある通り「言いたい放題」なわけで、いろいろと批判的なことを書くこともあるけど、それも自分が絶対的に正しいと思って書いてあるわけじゃないし。だってたいていの場合、私の希望を書いているもんね。「私(私たち)はもっと幸せに生きたいんだ」なんて具合に。

 どうして法律の専門家の間に、一般人が入らなきゃいけないのだろうか。それが不思議だ。先日テレビの番組を見ていたら、何とかいう名前の判事さんが出演していた。そして「私たちでも難しいんですよ。だからこそ一般の方々に入っていただきたい」などという、まったく訳のわからない発言をしていた。

 いいですか? 専門的に勉強した人でも判断が難しいって、この人は言っているわけでしょ? そこへ専門的知識を持っていない人が参加してどうするの? 専門家がわからないことが、素人にわかるはずがないじゃないの。時々こういったわけのわからないことを言い出す人がいるんだよね。

 他の発想が必要だとか、一般人の発想が必要だとか。不思議だと思う。もちろんそういう場合だってあるに違いない。現実にスポーツの現場なんかでは、そういったこともあったし、大成功した場合だってなくはない(所謂「古武術をスポーツに応用する」というのではありませんよ、私が言っているのは。私は様々なスポーツ間で、さまざまな技術の交流があったことを知っているし、見てもいるし、自分もやってきたもん)。でもねえ、相手は法律なんだわ。

 現行法律の難しさは、大抵の人がご存知ではないかと思う。それを専門家がわからないようなことを、素人に押し付けるってのはねえ… もし専門家の人が判断に困ったら、時々屋台とか、居酒屋で飲んでみてよ。いろんな人がいろんな立場で、その時の体調や気分に多分に影響された意見を、自由に吐いているから。

 そういったリラックスした状態でなければ、素人は自分の思っていることを存分に述べたりできないもんなんだよ。責任が重く肩にのしかかってきたら、そりゃあもう、プレッシャーで潰れてしまうほうが多いんだから。裁判なんだからね、一時の感情でものごとを決めるわけにはいかないんだし。

 だいたいもし一般人を入れなければ、普通の社会人の意見が反映できないとしたら、すでに現在裁判をしている人の判断は、一般社会人の判断ができなくなっていると認めているようなものじゃないの? 少なくとも法律のプロとしては寂しくないかい? いままでそんな人に裁かれてきた人が気の毒ってことにならないかなあ。

 なんでも新しい発想を入れればいいというわけではない。古武術をスポーツに応用するなんて大きなブームがあったけど、どれだけ成果が上がったのでしょう。大々的に、古武術を応用した動きで活躍したとテレビなんかで紹介されたチームなんかでも、今は普通のトレーニングに戻しているところが少なくないんじゃないかな(私のところにはそういった情報がたくさん入っている)。同じなんじゃないかなあ。大騒ぎしたわりには、大して成果が上がらなかったり、逆に何年分も逆戻りしたりしてね。

 必要なのは、その時にタイムリーな発想だ。制度化すると、タイムリーなものもそうでないものも一緒に入ってくるよ。そして参加を余儀なくされた一般市民の蒙る害は(害が発生するような気が強くしている。それは仕事の時間を取られたなどという、生やさしいレベルでなく)、誰が保証するんでしょうねえ。

 私は裁判員を制度化するよりは、希望者は参加できるけど、そうでない一般人まで強制的に参加させるのは「?」が、100以上つくくらいの疑問だ。法律の世界で生活している人は、自分達で選択した道なんだろうけど、半強制的に参加させられる人にとっては、自分で選んだ職業をしているわけではないんだからね。だいたい義務化するって発想が、私なんかには嫌で嫌でたまりませんな。

 ま、どうなるかは、やってみなけりゃわからないわけだけど、私が考えていることが、杞憂に終わることを祈っておりますよ。でないと、気が進まないのに、裁判員をさせられた一般の人たちがPhoto気の毒だもん。

←大好評!発売中!! これだって、もう何十年間もの経験や、凄いレベルの人たちの動きを、二十年以上もかけて、科学的に分析した結果ですもん。

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2009年5月22日 (金)

ろうせん

 ろうせんPhoto

 という名前の武器が存在していたことを私が知ったのは、皇甫江先生の『中国刀剣』という本によってであった。

 これは倭寇の被害が大きかった頃、倭寇退治で名を挙げた、戚継光将軍(1528年~1587年)が採用した武器だったのである。 Photo_3 Photo_2戚継光については本ブログ、『中国の鋼鉄刀剣』シリーズ、明代のところで翻訳したので、それを参考にしていただくとして、この異形の、そしてそれなりに威力のありそうな武器が、どうして現代まで伝えられなかったなどをご紹介してみたいと思う。

 1522年、倭寇によって中国の東南海沿岸部が襲われ、大変な被害が出た。これについての一端も、本ブログですでに紹介しているので、そちらを参照していただきたい。晩期の倭寇には日本人がいなかったなどなどが言われているが、戚継光将軍が倭寇の基地を攻め落とし、そこで手に入れたのは紛Photo_4れもなく日本の『陰流』の伝書であり(1561年)、それを参考にして、倭刀とともに明軍に導入した辛酉刀法は、北方遊牧民族を討伐する際には大変な効果をあげたのは事実である(これは倭刀と陰流の優越性を何よりも雄弁に物語っている)。

 戚継光が倭寇討伐に当たったのは28歳ころからではないかと思われるが(ずいぶん早い出世だ)、そのとき彼は、鬼神のように恐れられ、無敵の強さを誇っていた倭寇を相手にするために軍議を開いた。そのときに一人の老兵が検索したのだそうである。

 かつてこの老兵は、鉱夫たちが反乱を起こしたのを鎮圧したことがあった。そのとき鉱夫たちの中に、竹を使った武器を使う」ものがいて、手こずった経験を持っていた。それを武器として採用してはどうかと提案したのである。

 戚継光はその案を採用した。ついでにその武器を研究し、改良を加えたのである。 左に載せたのは、『中国刀剣』に載せられていたものだが、原典は『練兵実紀』という明代の書に記録されたものだが、一目見たら、厄介な武器に見える。これをたくみに使われたら、いったいどう戦うの?これは現代でも、突然暴漢などに襲われたときでも、十分効果的だよ。ただ使いこなすには、かなりの技術が必要だと思えるけど。

 戚継光がPhoto_5加えた改良は、竹の先に金属製の槍の穂先をつけ、枝を10本程度残して、まっすぐにして先を尖らせたり、鉤形にしたりし、さらに桐油につけた後、毒を塗ったというのである。まったく始末の悪い武器にしたものだ。ちょうど実物の写真が手に入ったので、ついでのことに掲載しておこう。 ああ、怖ぁ~。

 竹という植物の属性として、硬いけど大変しなやかである。これがえらい効果を表したのだ。なんと凶暴無比な倭刀が(なんと、明国の兵隊を一刀両断にするほどであったらしい)叩き切ろうとしても、しなって切断できなかったのだ。しかも弓矢の矢さえも斜めにはじいて、多少は盾の役もしたらしい。さらに小枝に挟まると、脱出もすぐにはできないで困ったという。

 そこへ持ってきて「鴛鴦の陣」という新型の、11人による小型の陣を作って、一人二人の倭寇に対したのである。この作戦によって、戚継光は対倭寇戦に、ただの一度も敗戦していない。それ以後もこの武器は少しは進歩したらしい。Photo_6 先端にはやりの穂先をつけ、枝を4,5本残しておいた「せんそう(せんの字は竹かんむりに先、そうの字は槍である)」というものに発展したらしいが、次第に時代の中で消えていく。

 それはなぜかというと、一般的な「ろうせん」は、長さが4mくらいだった。それよりも長くすると、重くて操りにくかったらしいのである。さらにもともと不規則な形状の武器なので、操るのがとても面倒だったということだ。

 実際に戚継光は32歳の時に、自らが徴募した戚家軍という部隊を作りあげ、厳しい訓練によって、大変な強い軍に育て上げていたらしいが、厳しい訓練をさせるには、将軍の側にもそれなりの力量が要求されるので、そういった武器を操れる兵を作れなかったのもあるかも知れない。

 それでも面白い。中国の古代の武器で日本に伝わっていなかったり、伝わったとしてもごくわずかだったりといったものは少なくないが(私は今にいたるも、方天戟の使い方がわからない。いったいどうやって、あのスケート靴のエッジみたいな部分を使ったのだろうか? 道具があったということは、それを使い得る身体の使い方があったはずである。私は身体運用の面から、純粋に知りたい)、この「ろうせん」もその中の一つであった。

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2009年5月21日 (木)

パワードスーツ

 私はスーツというやつが嫌いである。間違いなくスーツは、私の寿命を縮める衣服だと思っている。だからといって社会人であれば、スーツを着ないわけにはいかないときもある(日本人の正装は「紋付袴」だと思っているけれど)。こういう時は、「俺だって、スーツくらい持ってるんだぞ~っ!」なんて、ちょっと自慢げな顔をして着ている(普通の人にとっては当たり前のことなんだけどね)。でも寿命を縮めるスーツは、用が済むや否や脱ぎ捨てられる。我慢して身につけるものではないからだ。

 水泳で世界記録が認定されそうにないんだそうな。それは水着が認められていないからだという。北京オリンピックの時には、S社の水着のことであれこれ論争があったではないか。でもS社のものを認めたのなら、D社のも認めなければならないんじゃない? 所詮、記録が出やすい、パワードスーツなんでしょ。それとも日本人が世界記録を出したから? そうそう水泳界には、世界記録を出した日本選手が泳法違反だったとか、いろいろ悶着がつけられたことがあったよね。

 企業は記録が出せるようなグッズを開発しているんだからね。もちろん、競技スポーツなんだから、どんな選手でも、可能な限り平等な条件で行うべきなんだけどね。それはその企業が「日本人選手にしか売らない」とか言い出したら不平等なんだけどさ。でもS社にならって、世界中の誰にでも売りますよといったら、もう止めようはないんじゃない?

 いや、パワードスーツって観点から見たら、私なんかにはただのスーツだって十分、パワードスーツなんだよ。あれパリっと着こなしていたら、なんとなく信用できそうに見えるもんね。昔は詐欺師なんて、よく着こなしていたんじゃない? いかにも怪しそうな人間では誰も相手にしてくれないものね。ただのスーツは信用・信頼面でのパワードスーツと考えられないかな。

 陸上競技なんかでも、ランニング シャツとランニングパンツになったら、明らかに走りやすいよ。これだって陸上競技のためのパワードスーツの一種だし、今はもっともっと進化している。スパイクシューズだって、あきらかに今のグラウンドで走りやすいように作られているから、パワードシューズだよね。

 そんなこといったら、若い女性なんかがファッションに拘るんだって、明らかに自分の魅力のためのパワードスーツを探しているんだよね。究極のパワードスーツが「勝負○○」だったりして。

 目的が違うだけで、パワードスーツのありようが変わる。昔の騎士とか武士とかだったら、鎧だったりしたものが、今のビジネスという世界では、感じのいいスーツだったりするし、若い女性なんかだったら、自分を可愛くみせる服ってことになる。

 パワードスーツの定義なんかこんなもんでしょ。自分の目的を達成しやすくなる衣服なんだからね。だから世界記録として認定しないなんて、ケツのあなの小さなことを言わないで、じゃんじゃんみんな使えばいいんだよ、きっと。もちろん、着用によって健康上の問題などがPhoto起こったらダメだけどね。私にとっての、ただのスーツみたいに。

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2009年5月20日 (水)

タイショーデモクラシイ

 忙しいとその時にやっていることから集中力がなくなるのは、実によくあることですが、最近やたらと多いのが私の物忘れ。

 だいたい昔から、自分がその時に興味あるものばかりに集中する、子猫みたいな性格をしていたのだが、これは歳をくっても治らない。きっと死ぬまで治らないんじゃないかと思う。もう諦めたほうがいいかも。

 メモをつける習慣もつけたことがある。でもメモをなくすことが得意なわたしにとって、それが無意味な行為だと知るには、時間はかからなかった。さらにメモしたことすら忘れていたりして、ここまで来ればビョーキかなあ、なんて。

 忙しいと、家に帰ってからすることは、生命維持に必要なことに限られてくる。つまり食事と睡眠だ。これも魚がたくさんいるから、水換えだってしてやらなければならない。飼っている魚にとっては、水を換えることは、立派な生命維持のための行為だからである。

 肉体的な生命維持行為をしたなら、次は精神的な生命維持行為である。心が死んでしまったら、ただの抜け殻になってしまう。そんなことでは生きている甲斐がないから、心にも栄養補給をしてやらなければならない。我が家のは放っておいても開花する花が多いが、あれは人間の側の欲求である。

 今から十数年前、勝負勝負に明け暮れたいた頃、ふと気がついたら心が乾いてしまっていたので、ある年に一念発起して、庭中花だらけにしたことがある。これは今から考えると、けっこう効果があったと感じている。何しろ門から玄関まで、ずうっと花が咲き誇っている状態にしたのだ。

 だから外出するときは花に囲まれた道を通って出かけ、帰宅したときは花が出迎えてくれ、花の中を通って家に入る。これは大層気に入っていた。おかげで命が助かったのでは、と思うようなこともあった。残念ながら帰宅する頃には、たいていとっぷりと日が暮れていたので、花を楽しむ余裕はなかったが。

 この花狂いは数年続いた。並んでいる花の後ろに朝顔げ生垣を作ったこともある。夏に太陽が昇ってから起き出してみると、もうかんかん照りで暑くてたまらなくなった庭で、見事な朝顔が咲き誇っていたのを見て、「あちい~… きれ~…」なんて感心したこともある。

 その頃植えていた花の中に、種を落とし、我が家の庭に市民権を得た植物がいた。今咲いてくれているのは、そういった植物の子孫と、もう一つは、私が野や山から移植した野生植物だ。まだある。母が植えたのもかなりあるなあ。

 だからバーベナの花の間から、ノビルの花が遠慮なく伸びていることがあったりする。いかにも雑草然とした生え方をしたトラノオがあったりする。家の周りにはびこっているジュウニヒトエは、今は亡きOさんからいただいたものだ。彼女は若くしてこの世を去ってしまった。けれどもジュウニヒトエの季節になると、決まって彼女のことを思い出す。忙しくても思い出すのだから、彼女の印象はジュウニヒトエと一体化してしまっているのだろう。

 オダマキも勝手に咲いていた。黄色は確かに遺伝的に劣勢らしく、今ではすべて紫に変わってしまった。アッツザクラもいまでは完全に雑草化していて、バーベナやノビルやジュウニヒトエの陰で、それでもしっかりと咲いている。

 草花って本当に強いと思う。毎年時期がくると、必ず忘れないように咲くもの。ところが私の記憶ときたら最低。もう3歩歩いたら忘れている。鶏である。コッコっコですべてのメモリーが消去されてしまうのである。

 実は先ほどまで大騒ぎをしていた。車で走り回って探しものをしていたのだ。岡山市外まで探しに行っていた。実は携帯電話が見えなくなっていたのだ。そして携帯電話の記憶をたどると、あるところまででぷっつり切れてしまっている。こうなるともう、自分の足取りをたどるほかない。

 車で走り回っていると、カーステレオが井上陽水の『夢の中へ』という、とても古い歌を流し始めたので、腹を立てて、岡村孝子に替える。じょーだんじゃない!「探し物は何ですか? まだまだ探す気ですか? それより僕と踊りませんか?…」 バカヤローっ!! 昔、人生行路師匠がボヤキで取り上げていたけれど、確かにこの歌は、探し物をしている時に耳にすると、確実に爆発する歌だ。ジャカアシイっ!! って怒鳴ってしまう。

 でも岡村孝子から大好きな中島みゆきさんに変わっていくと、変に大人しく聞いてしまったりする。忙しいときの私なんてこんなんもの。っと、思い出した、思い出した。仕事場でトイレに入る時、トイレの前に置いたんだっけ。突然記憶が蘇ってきたので、一安心。でもあまりに長時間悩み続けたので、蘇った記憶にすら疑いをかけてしまう私であった。

 もし蘇った記憶が間違っていたら、これは妄想になっているんだからね。ああ、恐ろしい。でもいつでも目に見えるようにと気をつかっておいたはずのところが、ちっとも見えていなかったんだ。忙しいって恐ろしい!!

 こういう時は、よく「大正デモクラシー」って言っていた。いや、正しくは「灯台もと暗し」なんだけどさ。それじゃあんまり当たり前すぎるんで、わざと言い換えていたんだけど、ここまで焦Photoっていたら、こんなつまらないギャグだと、よけい腹が立ってくるね。ホント!!

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2009年5月19日 (火)

清水の舞台から、お粥…!!

 いやあ、昼は暑うございますな!! そのわりには朝晩が涼しかったりして、実に風邪を引きやすい気候でございます。でも今は風邪よりも新型インフルエンザの方が大騒ぎですな。皆さんも抵抗力を落とさないように気をつけましょうね。

 それにしても我が家では、ここまで気温が上がっても相変わらず、毎晩お粥である。帰宅する→手を洗ってうがいをする→台所にいって冷蔵庫を覗き込み、お粥の材料を物色する→料理にとりかかる(もちろん、お粥である)。これも習慣になってしまえば、眠くて仕方がなくても、案外できるもんだね。

 でもそろそろ味が一定化してきたようで、これは失敗がない代わりに、新しい味の発見がないので、時々は変わったのを作らなければならない。私は思っている、お粥は完全食になる可能性があると。お陰で歯を悪くした母も、立派に食べていける。私の体重も、なんとかコントロールできる。いいことだらけである。Photo

 こんなのが出ていた。「芹菜山楂粥」という名前だが、芹菜はセロリで代用するとして山楂が手に入らない。だいたい山楂って何?って思っていたら、Lさんが手に入れてきてくださった。日本ではサンザシというんだそうである。ちなみに私はまだ食べたことがなかった。

 Lさんによれば、生のものを食べると酸っぱいのだそうである。そこで一般的には甘い汁で漬けた状態で、瓶詰めなんかにして売っているんだそうだ。甘いので、瓶詰めのものの方が食べやすいという。

Photo_2  こんPhoto_3な感じの材料である。左から山楂の瓶詰め、お塩、それからセロリである。これをこんな具合にする。 セロリは母ように薄く刻み、山楂はそのまま。重さを測ったら、たった二つぶんでしかなかった。さあて、どんなお味になりますんでしょうか。わくわく、どきどき…

10 と、まあ、いくら胸をときめかせても、所詮お粥はお粥。それ以上でもそれ以下でもない。だいたいここまで来たら、あと10分程度、弱火で煮込むだけである。 

 当然、とうの昔に缶ビールをプシュっ!! それも終わって日本酒に移行している。Photo_4だいたい私のところでは、いつまで炊くかなんてほとんど気にしていない。お酒が終わったときが、食べる時なのである。大変いい加減である。

 ここまで来れば、さあ後は食うべし! なんとなくイメージ的には、白粥に梅干を乗せたように見えるが、食べてみるとまったく味が異なる。甘いんだなあこれが。やはり日本のお粥を食べ続けたものには、若干違和感があるお粥だった。

Photo_5  お次はこれ。「番茄山薬粥」といいます。何かというとトマトと山芋のお粥なんですな。私は初めてこれを本でみたとき、「へっ? トマトのお粥?」とわが目を疑った。トマトなんてお粥になりそうなイメージがない。少なくとも私に関するかぎりは、トマトはお粥には使わないだろう?って感じだった。山芋はお粥にはとてもよく合う。でもトマトと山芋以外に、やっぱり山楂を使うんですな。

 上のおPhoto_6粥で、どうも山楂は(私的には)お粥に合わないのでは?と感じていたが、いちいちやってみないと納得できないのが私の性格。で、作ってみましたよ、うん。

 使ったのは左のようなもの。トマト(これも名のあるトマト農家から仕入れたものだそうな)、山楂、山芋、お米にお塩、あまり入れたくはなかったんだけど、化学調味料。Photo_7

 こんな感じで準備しておきまする。トマトもあまり大きくはカットいたしません。山楂も今回はカットしておきます。山芋はあまり入れませんが、これも短冊に切っておきます。もちろんこの間にお米は炊いておりますし、当然、ビールもプシュっ! ぐびぐびでございます。Photo_8

 できあがりはこんなもんですな。でもトマトが以外に酸っぱく感じるんだよね。ついでに山楂も、その酸っぱさが際立った感じ。私的には、やっぱりお粥には合っていないような気がしますな。

 結論、やっぱり山楂なるものは、私的にはお粥には向いていない。でも本を読むだけではわからなかった微妙な味までわかってよかった(朝、残ったお粥を片付けてくれている…もちろん食べるのである…母の感想はどんなもんだろうか。毎回、「食べれる」とは言ってくれているけど。そりゃあ、口あけて流し込みゃ、食べられますからね)。すべては実体験であPhoto_9る!

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2009年5月18日 (月)

言葉

 毎度おつきあいいただいて、ありがとうございます。お陰さまで、今回を持ちまして、当初の「とにかく1001回は頑張ってみる」という、1001回目に到達いたしました。その間、ネタのないのに悶え苦しむ日もあったり、いくらでもネタが湧き出る日があったり、超忙しくて「時間がない」とか「今日中に打ち終えることができるのか?」といった日もございました。

 でもまあ、どうやら1001回目を迎えることができて、一安心でございます。もちろん、1001回で終わるつもりはさらさらなく、今後も今までとあまり違わないペースで打ち続けることと思います。今まで同様、よろしくお願いいたします。

 でもこのブログを始めて、一番勉強をしたのは、実は私自身だったというのが真実でしょう。ものを書くという行為は、まず自分の中で考えをまとめることが必要になります(そのわりには、一体この男、何がいいたい?といった文章も少なくないのですが)。すると少なくとも、自分の考えをまとめるといった能力はトレーニングされるわけですよね。

 人間、自然に生きていればいいのですが、人とコミュニケーションを図ろうとすると、自分としては当たり前のことが、当たり前でなくなることがあります。それは相手が自分ではないからですね。持って生まれたももが違いますし、経験も違います。育てられ方も違えば、ものの感じさせられ方(これだって、いろんな人の影響を受けますから)も違います。すると同じものを見ても、同じことを感じていないんですよね。

 同じものを見ても、同じような感じ方をしない人に、自分の感覚を伝えるのは、ほぼ不可能だと思います。でも「言葉」を媒体にして意思を伝えようと思えば、なんとか工夫しなければなりません。もちろん本ブログは私の「言いたい放題」ですから、必ずしも人のことを考えてはいないんですけども。

 我々は言葉によって自分の意思を伝える生き物ですから、言葉を使うことは、意思を伝えるトレーニングにほかなりません。外国語なんかを習うと特によくわかりますが、使わないとちっとも自分の意思を伝えることができるようになりません。その言葉で人に話しかけることが、一番いいトレーニングになっているんだと思ったのは、自分がそういう苦労をした、そしてもしかしたら今でもしているからかも知れません。

 使い慣れた日本語でも、お互い日本語を喋っているはずなのに、全然伝えたいことが伝わっていないことがよくあります。これも人それぞれが、それぞれの言葉に関して持っているイメージや、理解のしかたが異なるからでしょう。そこまで深く考えないで言葉を使うと、意外なところで人を傷つけていたり、立腹させていたりすることもなくはありません。

 だから私は日常生活ではあまり喋らないほうだと思います。これも「うっそ~っ!!」と言う友人がいるはずです。なぜかというと、私は友人の前ではけっこうお喋りですから。たくさん語り始めたら、その人を私が友人とみなしたことになると考えても、大きな間違いはないと思います。

 だから今でもなかなか細かい感情を伝えられない、中国の友人の莫ちゃんなんか、中国語と英語のチャンポンで、午前4時まで大議論したことがあります。彼は国は違いますが、今では私の本当の友人だと思っています。それは言葉がよく通じないのに、そんなに長く話をしようとしたことからみても確かです。

 日本の友人は、私が決して寡黙ではないことを知っていると思います。それどころか饒舌でしょう。でも物理的に私の近くにいても、精神的に遠い人は、「あの人はあまり言葉を喋らない」と思っているでしょうね。時に「大人しいひと」と思っている人だっているかも知れません(最近そのうちの10人ほどが、私が決して大人しい人ではなかったことに気づいたかも知れませんが…何があったんでしょう? へへへ、内緒です)。

 自分の意思を表示せず、過激な動きをしなければ、現代人はそれだけで「大人しい人」というイメージを持ってしまうことがよくあるらしいですから。私は大人しくはありません。自分の情報を与える人と与えない人を分けているだけです。分けてもいいと思ったら、どんどん喋ります。時々実演したりします。大変なサービス精神だと思います。でもそれは友人として私が認定したらの話です(自分でも、どこからが友人なのかはよくわからないのですが、自然に私が饒舌になっていたら、きっとその人は私の友人になってしまっているのでしょう。不思議なものですね、自分でも意識の上ではわかっていないのに、勝手に行動してしまうんですから)。

 昔からあまりたくさん友人を作る気はなかったのですが、さすがに何十年も生きてくると、いい友人たちに恵まれてきました。幸せ者だと自分で感謝しています。どうしてこんないい人たちと出会うことができたのか、不思議です。きっといろんなところで、自分にできるベストを尽くして来たからかなあ? 神様が褒美に、いい友人達と巡り会わせてくれたんでしょうね、きっと。

 友人達とのコミュニケーションも、やはり言葉で行う場合がほとんどです(当たり前か)。でも同じ言葉を何度も聞いてくれているので、誤解がほとんどなくて助かります。言葉を使うことで、こちらの言葉を使う能力も向上しますが、その言葉をやりとりする人間の間では、言葉自身も複雑な意味を伝えることができるように成長するみたいです。友人達と語る言葉は、きっと生き物なんですね。まあ「言霊」って言葉があるくらいですから、少々のことが起こっても不思議はないんですけどね。

 でも記念すべき1001回を、こうしていつもながらの言葉を使って打っていることに、不思議な感動があります。これからもきっとこうやって、言葉をつむいでいくのだろうと思います。そして友人を作ろうとさえ思わなかった私の周囲に、今やたくさんの信頼するに足りる友人がいるように、言葉を通じて多くの人たちと関わっていくことになると思います。

 今日は、とりあえずの目標に到達した記念日です。ありがとうございました。そしてこれからもよPhotoろしくお願いいたします。

←大好評!発売中!! やっぱり本は言葉で書くものですが 、動きとなると映像が必要ですね。でも本当のことを言うと、2日間の撮影でへとへとになりました(だって緊張するもん!)。真相をばらすと、最初の私の挨拶は、一番最後の、疲れ切ってよれよれの状態でございます。だから上手く喋れていない? だって私はせりふなんか覚えられませんもん。俳優さんや女優さんは、本気で凄いと思います!

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2009年5月17日 (日)

舍本逐末

民主党の新しい代表が、昨日決まったのだそうである。それはそれで結構なことだ。私は、我々国民が、幸せで充実した生活ができるなら、誰が何をしようと、あまり気にする人間ではないから、まあ頑張ってという程度の感覚しかない。

 でも人間は、自分が何かの立場に置かれると、自分のことしか考えなくなることが少なくない。昔から「大人」は、他人のことも思いやれる人たちのことを呼んだのではないかと思うが、先日来私の周囲では、「これで大人?」なんてことが多すぎた。

 まるで自分が、多くのことを人様の前で喋りさえすれば、それで有能とみてもらえると勘違いしているのではないかと思えるような、年齢面だけでの大人が増えすぎ、そのまま無修正で生きていたものだから、どんどん薄っぺらな人間が増えているように思えてしかたがない。

 人前で発表できる人間の育成というのは、私がほんの小さな子供(幼児?)だった頃に、教育界でよく唱えられていたスローガンらしい。その結果、人前で声高に喋ることだけに秀でた人間が増えたような気がしているのだが、これは私の思い過ごしなんだろうか?

 私は求められない限り喋らない。本ブログでは「言いたい放題」というタイトルなので、なんでも好き勝手に喋っているが、一人のときは物静かな人生を歩むのが望みだ。今は自分が喋ることばかりに熱心な人が多く、従って私に発言させるような人間は少なくなった。従って本ブログを覗いたりしていない人は、私のものの考え方や、将来どう動くかはほとんどわからないのではないだろうか。

 実は物静かに見えても、そういった「発言大好き人間」を観察しているんだよね。観察は科学の基本中の基本だからね。そして静かに評価している。そんな評価は、求められない限り人に語ることはないし、私がそれによって生き方を変えたりはしない。私は私の人生を生きている。口数だけが多い人間の、口数なんかには影響されない。

 私は発言しないだけで、私が思ったように生きていく。私の主人は私の意志だ。それ以外のものが、私に何かを命令するのは認めない。そして発言するときは、公の形をとる。その場その場での思い付きを、深く考えないで、すぐに垂れ流すような真似はしたくない。垂れ流したほうは気づいていないんだろうけど、垂れ流された人間は害を蒙ることが多いから。

 身体運用でも似たようなことは多々あった。ただの思い付きをすぐに公開する。それが本当に有効かどうか、どんな場合に通用するのか、どの程度まで有効か…などなどの検証をしないでである。設定された状況下でしか通用しないものは、その状況の設定のしかたまで知らなければ、実際には使えない。

 それが使えるかどうかは検証しないで、それに飛びついて失敗した人も少なくないのではないだろうか。「使える」かどうかは、当人が調べるもの、と言う人もいるだろう。それは確かに正論だ。でも正論だからといって放置しておくのは、若干不親切かも知れない。まあ、研究をどんどん進めていくには、時間が惜しいから、いちいちそういったことに取り合っているわけにもいかないのかも知れないけどね。

 そんなことを考えながら、ぺらぺらと本をめくっていたら、『舍本逐末』という言葉が目にとまったので、ちょいと紹介しておこう。例によって、随分昔のお話である。日本ではまだ卑弥呼も生まれていない頃、弥生時代だった頃のお話……

 春秋戦国の頃は、中国には数多くの諸侯がおり、勢力争いをしていた。そのためある時は敵対し、ある時は同盟を結びといったことが頻繁に行われていたので、嫌でも外交というものが重視され、外交技術が発達していったのである。私などは日本の外交が、どうも空回りさせられているような感じを覚えてしまうのだが、やはりこういった時代を経ていないからではないかと思う(それでも勉強しようと思ったら、できないことはないんだけどね)。

 そんな中であるとき(戦国末期)、斉の王がある家臣に、趙の威后のご機嫌伺いに派遣した。この家臣は夢想癖のあった男らしく、「趙の威后は非常に賢く徳のある方だという噂である。それに趙の国は美しく、堀の水は澄み渡り、町は活気にあふれ… きっと皇后は自分に、任務の褒美に、素敵な贈り物をくださるに違いない」などと考えて、これはなんとも美味しい任務だと、趙都・邯鄲へ向かった。

 邯鄲に着くとすぐに王宮に向かい、そこから後宮へと案内された。すでに威后は彼を待っていた。噂どおりの美しい皇后で、その顔には徳がにじみ出ていた。使者は早速、斉王の親書を手渡したが、皇后はそれを開くよりも先に、彼に問うた。

「どうじゃ、今年の斉の収穫は豊かでございましたか?」

「はい」 使者は答えた。するとまたも威后は問う。

「斉の民は豊かに暮らしておりますか?」

「はい。皆も豊かに暮らしておりまする」 

「では斉王は、元気にお暮らしでしょうか?」

「はい。お元気でございます」 答えながらも使者はなんとなく落ち着かなかった。そして彼は思ったことを口に出してしまう人間だった。「恐れながら申し上げます。私は大王の命で、皇后さまのご機嫌を伺いに参りました。にもかかわらず、大王のことは後回しにされ、民百姓のことを先にお尋ねになられました。どうしてこのようなことをされましたのでしょうか」 だが威后は穏やかに答えた。

「妾には妾の考えがあってのこと。国が豊かなれば、民百姓も豊かに暮らしましょう。民百姓が豊かなれば、斉王とて豊かに暮らしておられるはず。私が尋ねたは、そういうことでございます」

 この言葉に斉の使者は頭を抱えた。邯鄲の美しい風景も目に入らなかった。そうして帰途、彼は、期待していた褒美を貰っていないことに気がついた。しかし彼は暫く考えて、あの皇后の言葉そのものが、素晴らしい贈り物であったことを理解した。

 それは国の本は民百姓であり、民百姓が豊かな暮らしをすることはそのまま国の繁栄につながる。国王が力を持つのはただの結果であって、その為には国政を良くすることが肝心だということを意味していたのである。斉の使者を務めた男は、さすがに趙の威后は噂どおり、賢く、徳の高い女性だと感心したのであった。

 これとほぼ同時代(ちょっと前か?)に孟子がいるが、彼も「民為貴、社稷次之、君為軽」と言っており、民が国の基本だという考え方は、すでにこの時代にもちゃんと存在していた(今から2300年Photo 前である)。

←※戦国時代・趙の国都・邯鄲の「武霊叢台」。武霊王(在位BC325~BC299)の頃、集団の舞(きっとマスゲームのようなことをしていたのだろう)や軍事演習を見るために作ったもの。

※ 民百姓:中国では百姓は農業従事者のことだけをさすのではなく、市民一般を意味します。性が百あるという意味から転じて、多くの市民をさす言葉となっています。

 というこPhoto_2とで誰が総理大臣になってもいいから、国や国民を豊かにしておくれよね!!

←大好評!発売中!! 全体が動いてくれれば、素晴らしい 動きになります。でも一部しか動いていなければ、なかなか結果が出ません。身体運用でも社会的な活動でも同じことですね。大切なのは、全体に「動け!」と命令するのではなく、全体が動ける状態を作ることです。これを身体運用では「自然体」と言いますけどねっ!!

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2009年5月16日 (土)

外来種

 やっと土曜日である。私の上にも毎週土曜日は来ているはずなのだが、どうにも土曜日らしい暮らしというやつができない。なんやかやと忙しく、気がついたら平日よりも多忙かもしれない土曜日が終わっていたりする。そういえば私が土曜日を実感するのは、年に何回あるだろう?

 現役だったころには「月月火水木金金」だった。これは当たり前だと思っていた。1週間なんて人間が勝手に決めたものだから、社会生活をするうえで仕方なく最小限人に合わせていただけだ。自分は自分の道を行くというライフスタイルは、もうはるかな子供時代からなので、それであまり不都合は感じていない。

 現役を引退して初めて、「ああ、一週間って、曜日があるんだ」と感じたくらいだ。指導者になったら、土曜日曜は休むための日でなく、試合や合同練習のための曜日だということになったが。それでも曜日が出来たことには間違いない。

 まあそんなわけで、やっと土曜日を実感できた。いつもより寝坊したわけではない。ちょっと朝のうち、自宅の庭を見ることができただけだ。せっかくいろんな植物を植えているのに、最近はそれを見ることができない。ど~してなんだよっ!?

 自宅といっても表は見えやすいけど、裏は見るチャンスがなかなかもてない。今日は久々に裏が見えたんだよね。そうしたら、グロッソスティグマの花が満開だった。「なにそれ? グロッ…なんとかいうの?」 と仰る方もおられるかも知れない。グロッソスティグマというのは、もう10年ほど前になるかなあ、水草レイアウト水槽の前景を彩る水草として登場した、小さなハート形の葉が可愛い植物なのである。

 だが私の水草レイアウト水槽は、次第に正道を踏み外して邪道(?)の世界に入っていった。水草は花を咲かせてなんぼ、という世界に入り込んでしまったのである。そこでグロッソスティグマも水槽の中よりも光が強い屋外に出してしまった。すると大繁殖する。これはこれはということで、そのまま裏庭にグロッソスティグマ用の水溜りを作ったのが、ますます道を踏み外すもとになった。Photo

 大繁殖した上、冬も屋外でかるがると越えたのである。そうしてこの植物は、我が家の庭での生息権を得てしまった(そとの水域とはまったくつながらないようにしているので、外部に進出して、特定外来種にされる心配はなPhoto_2いが)。そして我が家の庭で、四季おりおりの姿を見せてくれる(肝心の私に、見る時間がないだけである)。

 写真の中に、ちょっと白っぽいものが見えるでしょ? これがグロッソステグマの花。上半分がすっぱりと緑で、花が咲いていないのは、実はこの上にものが倒れて陰になっていたから。だから水面より上に出して、まあまあの強さの光が当たれば、ちゃんと花は咲くんだよ。

 ただ、最近ランナーを伸ばしたセリがここに侵入を試みており、そうなるとやばいなあと感じている。セリの強さは尋常じゃないからね。なにしろ水さえあれば、節という節から根が出て、ちゃんと着いてしまうからね。気がついたころには、セリの叢になっていたりして。

 まあ春だから、花が咲いても不思議ではないわけで。グロッソスティグマにも花を咲かせる権利は当然ございます。植えたのが私だから、誰に責任を持っていきようもない(そんなに困っていないけど。基本的に水生植物は水がなかったらよそへ勝手に進出することもないし)。

 それに今年で何年目かなあ。ホテイアオイが新芽を出していた。もちろん冬の間、霜に当たらないように気を使ってやったりはしない。放置、放置の放置プレイである。これのもとを下さった近藤さんのところでは、めでたく枯れたということなので、今年は私が持っていってあげよう。

 人にものをあげておくと、自分のところで何かの拍子に全滅しても、また回ってくることもあるから。そうそう、そういえばアマゾンフロッグピットという南米産の大型浮き草であるが、こいつもあまりの多忙に冬の間も屋外でほっぽらかしていた。確かに量は激減したけど、ちゃんと生き残ったよ。

 ということは、これも条件にさえあえば日本でも冬を越える可能性があるわけだ(バッタくんが大好きみたいで、夏になると齧りまくってくれるけど)。こうしてみていくと、特定外来種に指定されそうなものは、けっこうあるよね。そうなると入れた人間が、いかに外界に進出させないように飼育できるかだ。簡単だけど、人によっては案外難しいみたい。

 ちょうど豚インフルエンザみたいに。とうとう国内でも感染者が出ちゃいましたね(私は中国に言っているとき、ついこいつを猪感冒と言ってしまって、大爆笑された。詳しくは猪流感である)。これだってウィルスの特定外来種みたいなものだからね。きっちり対応していただきたPhoto_3いものだ。

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2009年5月15日 (金)

好一一听之処士逃

 まあなんですな、疲れが溜まると集中力がなくなりますな。集中力がなくなると、何も思いつかなくなりますな。こういう時にはとっとと家に帰って、美味しい酒でも飲んで、ぐっすり眠ってしまうのが一番なんでございますが、本ブログも千一話まであと数回となってしまいましたので、このあたりで日和るわけにはいきません。

 もちろん、今のままでいけば千一話で止まるような気がしませんが。まあどんどんと書き続けていくに違いないのでございますが、それにしてもネタが思いつかないときは、決まって過労気味のときでございます。ものを考えても、どうどう巡りしかしなくなってしまいますから、頭脳に正常な活動をさせるためにも、睡眠時間はきちんととりたいものですな。

 若かった頃は私も寝ないで頑張ったものですが、いつまでも同じことができると思ったら大間違い。人にはその時その時に相応しいやりかたがございます。これは身体運用とまったく同じでございます。考えてみれば、どちらも自分の能力を発揮するわけですから、同じなのは当たり前ですな。

 ということで132kcalのカップはるさめを食べ、132kcal分のエネルギーで何か書いてしまおうとしている私ですが、なんとなく中華書局という出版社が出した『韓非子』を適当にぱらぱらとめくっていたら、面白いものが出てきましたな(ネタがないときによく使う手)。それが「内儲説上七術」の最後に出てくるお話でございます。

 昔々、ちょうど本ブログで紹介している(まだまだ第11章以降でしたっけ、未紹介だったので、そのうち再会します)『戦国の竜虎』の時代よりほんの少し後のことでございます。斉の宣王は竽(yu:笙に似た笛)を聞くときに、毎回必ず300人に合奏させていたんでございますな。独奏には独奏の、合奏には合奏の良さがありますからな。そんな中に南郭という一人の楽士がおりまして、他の何百人もの楽士と同じように、給料を貰っておったわけでございます。

 ところが宣王が亡くなり、後をmin(泯の下に日)王が継ぐと、状況は一変したのでございますな。なんとこの王様(min王は斉の勢力を強大にしたけど、最後は連合軍に敗れて、配下に暗殺される王様ですが)は合奏より、一人ひとりの独奏が好きだったんでございますな。

 そうなるとこの南郭先生の演奏の実力がバレてしまいます。実はこの南郭先生は竽が吹けなかったんです。それで彼は慌てて斉から逃亡してしまったんだそうでございます。楽器の演奏は、一朝一夕には上手くなれませんからな。

 韓非子はこれを、部下の能力をよく見て使いなさいよという意味で取り上げておるようでございます。部下を歯車か何かの部品のようにしか考えていないと、本当はその人は能力がないのに、さも出来そうな顔をして、いい地位に座っていることがありますからな。周りの人が上手に補佐してあげて上手く誤魔化せているだけ、なんてことも少なくはございません。

 もちろん厳しいことを言うつもりはありません。お互いに助け合うのもまた現実の生活ですから。でも助け合うには、助け合うまでの条件が必要ですな。一方的に寄生していたのでは、寄生されているほうは堪りませんからな。一般的にはギブアンドテイクといったやり方をするものでございましょう。

 まあ人を一人一人、丁寧に観察していれば、南郭さんのような現象 は起こりにくいんですがね。政治家なんかでもよくあるじゃないですか。いかにも総理大臣に相応しく見えているのに、いざ総理になったらだめだったって人が。

 これも一般の議員さんとか閣僚だったら目立たなかった欠点が、何もかもが求められる地位、あるいは目立つ地位になった瞬間に、見えてきちゃうんだよね。昔の人はそれを「人の器」なんて言葉で言ったんじゃないかと思ったりするけど、まあ画一化した教育がいいことのように思われている現代では、こんなミスは頻繁に起こるようになった気がするね。Photo

←大好評!発売中!! 身体運用では南郭さんのようなのは、まったく通用しませんね。みんな自分でできるようになるしかありませんもの。でも正しく努力すれば、誰にだって可能性は等しくありますよ。

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2009年5月14日 (木)

ちょっと変わった食性・41 ~湖南省出身者はみんな辛党か?~

 中国最後の晩餐はいつも通り「伙供殿(あれ?gongの字を忘れた。これも辛いものばかり食っているせい?)」であった。この湖南料理のレストラン兼ホテル(上の階はホテルになっている。レストランの主人はほんの10年ほど前は、自転車で弁当を配達していたそうで、今やでっかいレストランとホテルを経営して、さらにベンツを2台持っているのだそうだ。自転車から考えると、えらい出世である。まさにチャイニーズ・ドリーム!?)は、いつもお客さんで一杯なので、いい席を取ろうと思えば、予約をいれるほかない。だいたいが朝から晩まで(食事時であるなしに関係なく)ほぼ満席状態である。

 私はこのレストランの前の売店に用がある。ここで売られているものが最強(凶?)最辛だからだ。これに比べればレストランの中で売っているザリガニなんかはメじゃない。私は二皿平らげたことがある。翌日私の身体には何の異常も起こらなかった。よくトイレで苦戦する人がいるそうだが。

 売店には新顔のお手伝いさんがいたが、ほどなくいつものおばちゃん(お姉さん?)が出てきて「你好! 好久不見」とお互いにこやかに挨拶する。彼女はきっと思っているだろう。「この日本人、変わっている! こんな辛いものを、中国人よりもたくさん買って、どうするんだろう?」 もちろん、食ってしまうのである。

 あちらのレストランは大らかなので、持ち込んでも目くじらを立てられたりしない。だから自分の好きなお酒など、みんな持ち込みである。だがさすがの私も、この売店で売っているものではビール以外はほしくない。白酒なんかだったら、身も心も燃え尽きてしまいそうになる。がお~っ!!

 いつも53私はやめよう、やめようと思っているのだが、莫ちゃんが注文してくれたのか、それとも鄭さんが注文してくれたのか、ちゃっかり「臭豆腐」が出てきている。いつだったか読んだ、人糞(お食事中の方、ごめんなさい)を使って作ったものを売っていた闇の業者がいたということを聞いて、淡水蝦(人糞を餌にして養殖していると言われている。あまりに短いサイクルの物質循環に、目が回りそうである)以上に警戒しているからだ。まあこの「伙工殿」に限って、そんな心配はないと思うけど。

 これを食べるにはコツがある。上に乗っているものを食べないことだ。こいつはとても辛い。上に「超」の字が三つくらいつきそうだ。私はある程度乗せないと、臭豆腐を食べている感じがしないので、あえて乗せて食べるが、中国の人でもこれだけは横に避けて食べている人が多い。危険なものは日本人であれ、中国の人であれ同じである。

53_2 53_3  これは「末魚肚片湯」という。まあなんかの魚のスープである。超超超辛い臭豆腐の後に、温かいスープとは、なかなか至れり尽くせりの感じがする。どうしても汗をかかせてやろうという、優しい心遣いではないかな。でも結構美味しかったよ。こんなスープだったら、日本人なら、別のメニューの組み立ての中で使いたいね。とくにこんな魚ダシの味が好きな人には受けるんじゃないだろうか。

53_4  でも一番53_5ぶっ飛んだのは、このスープであった。「芋頭娃娃菜」と書いてあったが、何のことはない、サトイモとカイワレ大根(どぎゃっと入っていた)のスープであって、こいつは美味しかった。なんと胃袋がほっとするようなお味で、こいつは間違いなく日本でも受ける。だが会話に夢中で、作り方を聞いて帰るのを、すっかり忘れてしまった。次回は逃さぬように聞いてきたい。

53_6 53_7  こんな餅はあちらでは極めて一般的な料理だが、これもなかなかイケた。甘かったのにである。「土豆餅」である。ジャガイモの餅という意味だが、中に砂糖を混ぜている。これがほどよく甘く、激辛湖南料理の箸休めとしてはなかなか効果的であった。右側は、中がどのようになっているかをしらべるために、ぱっくりと食べたところである。別に変わったものは入ってはいなかった。作り方は、そのへんの中国料理の本(日本で出版されているものは知らないが)にでも見れば出ているだろうから、尋ねなかった。

53_8  これは「清蒸草魚」という。生姜風味で、ほんの少し醤油の味がする。私はご幼少のみぎりより両親に、「ソウギョは不味い」と聞かされたいたので、とても良くない先入観(偏見と言ってもよい)を持っていたのだが、いざ食べてみると、そんなに悪くもないお味でございました。うん、食べず嫌いはいけない、何事も。

53_9  誰が頼んだか、これは「鉄板蒙古牛肉」。たぶん、読んで字の如しというやつだろう。牛肉のスライスと鷹の爪、それから香草までは確認できたが、生姜やニンニクも入っていたかも知れない。大抵のものに入っているので、こちらの味覚がバカになっていてわからない。5314

 下は出てきてから数十分後の同じ皿である。所謂「兵どもが夢のあと」というやつだ。綺麗に肉だけがなくなっており、鷹の爪は残されている。こういう食い方をしないと、いくらなんでももたないんだよね。これがこの後どうされるのかは、私は知らない。きっと遺棄されるんだろうと思う。

5310  これは旨かったねえ、香ばしくて。「竹香小鮒魚」という。結構な大きさの鮒(体長20㎝超)をカラリと揚げているものが竹の籠に乗せられてくるんだけど、旨かった。あまり旨かったのでがっついて食っていたら、鮒の強烈な骨が私の喉に刺さった。

 こういう時には日本ではご飯を丸呑みにするんだけど、あちらでは先ほどの「土豆餅」を飲み込むんだそうで、私もすぐにそうやった。でも今度は餅が喉にひっかかりそうな気がして、若干怖かった。無事に一発で取れたけど。

53_10  これは大して印象に残っていない。メモも「鶏、葱、ニンニク、鷹の爪、赤ピーマン」としか書いていない。名前は「籠姜沙鶏」とメモしているが、この字すらいい加減で、上手く判読できない。味について何も書いていないということから考えて、美味しくも不味くもなかったのだろう。一番存在感がなかったということで、ある意味不幸かも知れない。

5312  これは「小炒糸瓜」という。中国には美味しいなすびの料理が多いが、これもその一つか。ちょっとヌメっとsきているが、なかなか美味しい、入っていた生姜片が味を引き締めていた。

5313 「干鍋牛雑」という。桂皮風味の牛のモツの煮込みである。案外辛いぞ。まあ飛びつくほど美味しいものではないけれどね。まあ湖南料理だから辛いのが当たり前で、とりたてていうほどのことではないかな。

 こうやって見てみると、あちらの人って、ちゃんと辛いものは避けて食 べているんだよ。味付けのために激辛のものが入っているだけなんだから、わざわざ全部残さないように食べる必要はない。

 莫ちゃんは湖南省出身の湖南人だが、辛いものはすぐに私の方に投げてよこす(投げなくても!)。おそらく四川省の人だって、辛いものは食べないって人もいると思う。ようするに自分にあったものを食べればいいわけで、相手の好む味覚にあわせていたら身がもたないとPhotoいうのが本当のところだろう。

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2009年5月13日 (水)

ちょっと変わった食性・40 ~飲茶よ、しばしさらば…~

 中国での朝ごはんといえば、このところ飲茶と相場が決まってしまった。健康管理だけを考えるのなら前の晩にサンドイッチを買っておくという手もある。最近の中国には西餐庁(西洋料理のレストラン)も増加した。料理はまだまだだが、なぜかしらサンドイッチだけはまずまずの旨さである。

 止めておいた方がいいのは、コーヒーとかステーキとかスパゲティなどである。コーヒーはバカ高い割りに味がさっぱりだし、ステーキは間違ってもレアなどを頼んではいけない。中がまだ凍ったのが出てくる。数年前、クリスマスを中国で一人寂しく過ごしていた私は、一時の迷いからステーキのレアを頼んでしまった。すると出てきたのは、中がひんやりならまだしも、凍ったままのが出てきた。

 それでもやけくそで食べたら、翌日はさすがに下痢をした(お食事中の方、すみません)。熱は通っているが生、といった芸当はまだできないようである(我が家では私はステーキ係なので、かなり焼き方にうるさい)。スパゲティはコシがまったくない。昔学校の給食で出てきたスパうどんと比べても、天国と地獄である(第一、学校給食のスパゲティは、かなり旨かったような記憶がある)。

 とまあそう53いうことで、今回一番よく食べたのは、「妙齢鳩」 である。なんだかんだ言っても、毎日食べた。一日も欠かしていないのだから、まさに主食?級の貢献度である。日本ではあまり鳩は食べないから、鳩のブロイラーと言っても、ピンと来ないかも知れないけど。でも本当に肉付きがよくて、結構食べ応えがあった。これは私おススメの逸品である。

53yao 53_2 53_3 そしてようやく食べたのが、「瑶柱珍珠懦米鶏」という中華粽である。だいたいこちらの粽は、もち米(懦米)に味をつけて炊いて、中にいろいろな具が入っているという代物だ。店によっては、ほとんどどんぶり1杯分くらいの量がある場合もあって、これを一つ食べただけで朝ごはんは終了ということだってある。

 味付けは基本的に醤油系じゃないかと思った。葉っぱの包みを開いていくと、もち米が姿を現し、それを食べていくと、鶏肉とか野菜(なんだろうか、ニンニクにしてはきつくなかったし、ラッキョウにしては素直だったし…)の醤油味がついたのが出てくる。食べすぎさえしなければ、日本人の胃袋にも、あまり刺激はない。

 昔、路上で売りに来ていた叔父さんのを食べたことがあったけど、この時は夜までお腹が減らなかった。やっぱり良くないものを使っていたに違いない。まさかダンボールじゃなかったろうけどね。531053shao

  これは「白灼鮮牛柏葉」という。要するに牛のセンマイの料理である。八角か桂皮かなんかで風味をつけていたけど、全体的に薄味であった。野菜の上に乗っかってくるので、私は野菜も美味しくいただきました。上のセンマイだけを食べていると、さっと引かれたりすることがあるので。

53yao_2  これは「瑶柱白果粥」という。よくあちらの料理の本で見かけるので、本場のはどんな味かなと試してみた。乾燥した貝柱を小さく刻んで、これにギンナンを入れたお粥だが、使っているお米が日本のとではだいぶ違い、調味料はまだ使っていないのに、薄い味がついている。

 食べるときにはお好みで、右下にあるお塩を加えるのだが、食べる時にお塩を入れるのと、塩を入れてたくのとでは、味はかなり異なる。まあ私が毎晩作っているお粥に比べたら、美味しいとは思わなかったね(自画自賛!!)。

53_4 53_5 これは「脆皮鮮蝦巻」 という。中身は蝦と黄ニラの春巻きだったが、最大の特徴は外側にある。うまい具合にサクサクなのである(この「さくさく」を中国語では「脆(cui)」と言う)。莫ちゃんによれば、これは小麦粉を使ったのではできないという。では何を使うのかと聞いたら、もち米の粉を使うのだそうである。

 幸いなことに中国では、スーパーに行けばもち米の粉は売っている。私は午後用事があったけど、私の代わりに莫ちゃんが買ってきてくれることになった。作り方については莫ちゃんがざっとメモしておいてくれたので(彼は料理にも詳しい)、そのうち我が家でも作ってみることにする。食感は普通の春巻きよりははるかに軽かったよ。

53_6  これは「luo卜men(火へんに悶)牛腩(大根と牛肉やモツを弱火で蓋をしてとろとろ煮込んだもの)」という。私が認識したところでは、大根以外では牛肉とセンマイは間違いなく入っていた。八角がよく効いていて、日本人的にはちょいと癖ありと感じるかもしれない。さすがに味はよく滲みこんでいるんだけど、日本だと魚と大根はよく煮込むが、牛とはあまり見ないなあ。

5311qin  これは「高湯jing(青へんに見)水餃」という。大きさは日本で食べている一般的な餃子と同じくらいである。蝦とニラ、シイタケなどなど(きっと豚肉、白菜なども入っていると思う)を入れた水餃子だ。スープはコンソメを極薄にしたような味で、わずかに塩味がついている。まあまあ食える味である(もう口が驕って驕って…)。

 この他にもいつもどおりの水東芥菜や醤汁蒸鳳爪、金醤蒸牛筋などといったところを食べて、このPhoto_2日の朝昼兼用はめでたく終了したのであった。

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う・ざ・い・っ!!

 人が一番いい仕事をするときというのは、やはり気力・体力が充実しているときだろう。そして自分のやりたいことをするときが、こういった状態になりやすい。人を使う側に立てば、いかにその人間の長所をひっぱりだすかであろう。

 そのために一番必要なのは、「人間観察」ではあるまいか。その人の長じたところを見抜き、それを自分の目標とする方向へ上手に導いてやる。これが私は経営の大本だと考えている。

 しかし最近はどこもかしこも人材不足だ。とにかくにぎやかに騒げば、それでいかにも仕事ができていると勘違いをしているような輩が多すぎる。にぎやかな奴は逆に口に抜けてしまって、実際には動けていない場合も少なくない。

 それにしても、人間のなんたるかを考えることもできない程度の輩が、人を歯車のように扱うのはちょっと我慢できない。歯車になるのなら、私はとうの昔に出世への道を歩いている。私には私にしか出来ないことがあるという確信があったから、あえてそちらに行かなかったのだ。

 だが口ばかりの連中は、自己主張(それもくだらないレベルでの)をすることに夢中になって、人の感情など考えることもない。こうやって敵を作っていくアホも、世の中には少なくないんだろうなと思う。

 人には誰でも感情はある。もう私も昔のように、気に食わないことがあっても、口に出さなくなったが、その代わり実力行使をするようになった。思ったことを口に出す必要はない。気に食わないことをする人間は、私としては好きになれない。それでも私の意思に関係なく何かをしてくるのであれば、私としてはそいつを味方だという認識は持てない。

 味方でない者にどうして私の意思を知らせる必要がある? 本格的な敵なら、警告すら必要ないと思うよ。実戦の世界では当たり前のことだからね。そういう目に遭いたくないから、私はことを荒立てない方向で行動している。でもそれを「穏やかな人間」だと勘違いする人間もいるんだろうね。

 口先が先に動く人間は、自分を物差しにものごとを見ることしか知らないから、一見穏やかそうな人間が、その実、心の中にマグマを溜めていることに気がつかない。相手が怒ってやっと気がついても、もうその時は手遅れだ。

 こんな無礼な奴は世の中にいくらでもいるんだろう。でもいくらでもいるからと言って、私がいつもお目こぼしをするとは限らない。私だっていつも黙っているとは限らないし、黙ったまま実力行使をすることはあるからね。

 ま、くだらない人間と仕事をしていると、こういった面白くないことはしょっちゅうある。人材不足は政治の世界だけではないよ。どんな世界も今や人材なんてものはいなくなっているのかも知れない。

 よく大人ぶっている人は言うじゃないか。くだらない人間に腹を立てて何かをすると、その人間と同じレベルになってしまうと。こんなことを言うのも、本当の人生を知らない連中だ。自分と利害関係がないのなら無視だってできるが、何らかの関係があるのなら、むしろ徹底的に叩くときは叩き潰したほうがいい。

 叩き潰されないとわからない奴は、どうしたっているんだから。そして今では平和主義者のように振舞っている私は、そういったときには一切手心を加えないよ。むしろ「武士の情け」で、容赦なく叩き潰してあげる。相手が有名人だろうが、無名人だろうが関係ない。その叩き潰し方は、若い頃よりは随分老獪になってきたけどね。その分、第三者には何もできなくなっているだけだ。

 その人間も、どうせ今まで同じような調子でやってきたのだろうから、そろそろ私のような人と出会うべき時期に来ていたんだろう。それが必然なら、私は避けはしない。相手も逃がしはしない。必然を必然として扱わなければ、本来得られるものが逃げていくからだ。

 試合でも勝負でも、負けるべき時にきちんと負けた人間だけが、最終的な勝利を得ていく。負けなければならない時に、誰かに代わってもらって自分が逃げ出したりすると、いつまでたっても優れた自分になることはできない。それどころか、自分の人生を生きることすら許されなくなる。

 何をやっても同じなんだが、閉鎖的な生活しかしてこなかった奴には、きっとこんなことは全然わからないんだろう(だから私とぶつかったのかも知れない)。私のすべきことは、「わからせてあげる」ことだと思う、きっと。ただ味方にわからせるのとは、少しだけやり方が異なると思うけどね。

 味方には「教える」「わかりやすくして見せる」「考える時間を与える」、味方でなければ「叩き潰す(その中から、自分で何かをつかみ取った人間は強くなるだろうけど、そんなことは知ったこっちゃない)」「手の内を公開しない」「考える間は与えない」。ま、ほんの僅かな違いだ。でもこの違いは裏と表ほどの違いがある。久々に今日はご機嫌を斜めにしてしまった。明日かPhotoらの展開を乞うご期待である。はははは…

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2009年5月12日 (火)

ちょっと変わった食性・39 ~最近なじみの広東料理~

 食は広東にありというのだそうである。確かにいろいろな料理があって、これを憶えるだけで10年や20年かかりそうな感じがする。でも私のは、いいものは取り入れて、そうでないものは無視して、日本国内で再現できないものは、とりあえず感心するだけにして… まったく無理をするつもりがない。苦しみにしてしまったら意味がないからである。

 このところ順徳一号という広東料理のお店に嵌っている。ここは珠海中心部から20㎞やそこいらは離れているので、足がなければなかなか行く機会もないのだが、幸いにも私には親しい友人が何人もいるので、よく連れてきてもらっている。途中、街から少し外れると、粗末な掘っ立て小屋のような(本当に小屋なのかも知れない、なにかの作業を行うときだけの建物ならば、そんなに丈夫に作る必要はないからだ。日本だって田舎に行けばちょくちょく見かけることがあるよね。でももしもここに人が住んでいたら、中国の田舎はきっと春秋戦国の頃から、あまり変わっていないのかも知れない)建物が多くなる。

 私なんかは住むのは嫌でも、見るのは嫌いではない。そこに暮らす人の生活やものの考え方にも興味があるし。でも周囲はどこまでも続くバナナ畑だったりするから(映画『落葉帰根』にも似たような風景画ちらりと紹介されているけど)、さすがに日本とはだいぶ違うなと感じてしまう。

 道はどこまでも真っ直ぐである。先日中国からの留学生を私の車に乗せてあ52げたら、車に酔いそうだという。理由を尋ねたら、日本の道はくねくねと曲がるばかりするからだそうだ。それはそうだろう。大平原にどかんと道を作った国と、山や谷の間を縫うようにして道を作った国とは、根本的になにかが違う。

 本当はこの日は、今年の春から香港の日本人学校に赴任した友人を招いて、ここでどんちゃん騒ぎをするつもりだったのだが、ビザの関係でくることができず、やむなく男3人と半分(半分がなにを意味するかは不明)、女人少々で乱入した。友人には悪いが、力一杯旨いものを食べてやった。ごめんねMさん。次回はきっと連れていくからね!! みんな会いたがっていたもん。

 順徳一号という名前だが、きっと一号がある以上は、二号、三号があるに違いない。だが我々がよく行くのは『天府』という名前の見せである。あれあれ、でもここは四川省じゃないんだよ(天府之国とは、四川省の美称)。でも山海の珍味に恵まれているから、天府という意味もわかるけどね。

52_2  店を入ってすぐのところに、商売の神様、関公(『三国志』で有名な関羽雲長)が祀ってあったので、記念写真。こちらへ来れば、関公の姿は普通に見かける。最初は珍しかったが、最近では当たり前になってしまっていた。でも私は関羽は嫌いではないので、ついつい写真を撮ってもらったりする。

『三国志』の登場人物で、死後一番有名になったのは諸葛孔明だか、劉備玄徳だか知らないが、神様の地位にまで上り詰めたのは、関羽だけである。彼の仁義を何よりも重んじる態度が、いかに中国の人たちに愛されたかということだ。それが商売の神様というのだから、なんとも面白い。

52148_2  生簀を見ると、どこかで見たような魚が泳いでいる。なんとなんと、これって日本風に言えば雷魚(の仲間)じゃない? それも値段を見てひっくり返った。1匹なんと148元。この時の交換レートでいうと、52382072円くらい。もちろん日本円では大したことがないように思えるが、チョウザメなんかと比べたら、その高価さがよくわかるよ。

 チョウザメは1匹38元(532円)。まあキャビアでなければ安いのだろうか。つい5220でにワニの生簀を見たら、可愛そうに寂しく1匹(1m50くらいのサイズ)が瞑想していた。亀はほどんど食われてしまったのか(もちろん人間に!)、数も少なかった。いつもならスッポン、カミツキガメ、ケヅメリクガメなんてのが山盛りいるのだが。(ついでにこのではワシントン条約なんてものは通用しない。通用するのは人間の食欲だけである!!)

52_3 日本でも汽水域に生息する、爪の長い蝦の仲間は大量にいるが、あまりに当たり前すぎて誰も振り向かない。でも1匹ずつの長さは20㎝ちかくあるんだよ。 チヌ(黒鯛)に似た魚もいたけど、これは日本のものと比べればだいぶ味は落ちる。身の締まりがまったく悪い。52_4

 アナゴは大層立派なのがたくさんいた。でも私が食べたかったのはタウナギで、探したけれど残念ながらいなかった。もう誰かの胃袋に納まっているのだろう。私はタウナギの食感が大層好きなのである。52_5

 こんな魚の生簀にハゼどんなんか入れたら、瞬間で餌にされてしまうので、わざわざ籠に入れて、強烈なエアーを吹き上げていた。ハゼどんは見た目は日本のと同じだったが、まあ外国に来てまで日本と同じものを食べる必要もなかろうと食べなかった。何か面白い料理に化けたかも知れないんだけどね。

 そんなこんなでうろうろと生簀を見て回っているうちにも、先に来てくれていたZさん達が、ちゃっかりと部屋を押さえておいていてくれる。なにしろここの生簀はたくさんあり、周囲には大規模な養殖場があったりして(嵌ったら大事!!)、初めての人なら道に迷う危険があったりする。

 5210で、我々が借り切った部屋に入ったが、それから鍋を注文したもんだから、来るまでまつのがたいぎい。左のような、本来鍋ものを漬けて食べるタレがあったりするのだが、これを肴にビールを飲み始めてしまった。ついでに莫ちゃんの息子(4歳と半分。私の親友。すでに中国語力では負けていると思う)など、暇をもてあましてしまっている。そこでツナギを頼んだ。

5211 これが鶏のから揚げ(だと思う。一番近い味がしたから)である。これを食べながら、莫ちゃんの差し入れの赤ワインなどを飲んでいると、この日最大の出会いがあったの5213である。5212

 それはこれ。なんと牡蠣をカレー風味で上手に加熱している。これは大変旨かった。同時に、絶対に日本へ帰ったら再現してやろうと決心させるくらいの味だった。 本来私は牡蠣をかなり食べるほうであろう。でもこれだと際限もなく食べてしまいそうな5214気がする。とにかく牡蠣を加熱したときに発生する若干の苦さがまったくない。ターメリックの香りの中で、見事なくらい消されていて、牡蠣のプリプリ感じもいいし、こりゃ日本で売り出しても、絶対に人気商品になると思うよ。

 あ~いい勉強になった。これを食べただけで、この日一日が無駄にはならなかった気がするくらいだ。その他にも鮒の清蒸なんかも出てきたが、一番の収穫はこれだったよ。5215 だからその後出てきた鍋も相当に美味しいのだが、感動が足りなくなっていた。

 いろいろ入っている。例によって正体不明の野鳥も入っているし、ワニだって入5216っている。きっと残り少なかった亀も入っていただろう。正体不明の魚も入っていたに違いない。 当然、お約束のようにワニを食べる。ワニの肉は上品だから、誰にでも食べれるくらいだが、もう何回(十何回?)も食べたので、「ああ、ワニですか」程度の反応しかしなくなってしまった。まあここの勘定は私が支払ったので、ご馳走になったわけではないけれどね。

 とにかく鍋を食っている最中も、牡蠣のカレー風味が忘れられない。これはいいものを食べたということと、もっともっと食べれるという気持ちしかわかない。本当に旨いものとぶつかったら、人間って案外そんなものかもしれない。

 だから52_6私にとってはこの日の夕食は、見事なくらい医食同源だったね。帰りは来た道を逆に走ってもらったが、マカオの夜景が綺麗だった。あそこに金正男さんがいるんだってね。まあ賭け事をやらない(勝負だけで十分である。賭け事をやるような精神的スタミナは残っていない)私には、あまり縁がないんだけどね。

 それにしても美味しかった。もう一つ嬉しかったのは、ホテルに帰 ってきたときには、お腹が少し減りかけていたことだ。いいものを食べるといい循環が起こる。 旅先でこういったいい循Photo環に入れるってのは、とても幸せなことだ。

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2009年5月11日 (月)

ちょっと変わった食性・38 ~やっぱり刺激的?~

 普段我々はそんなに余所行きの料理ばかりを食べているわけではない。家庭で毎日満艦全席を食べているような人は、そんなにたくさんいるわけではないだろうし、毎日王侯貴族のパーティのようなものを食べている人も、それほどたくさんはいないのではないか。

 家庭料理の良さは、その飽きないところに最大のよさがある。そして飽きないということは、あまり刺激的ではない。刺激は慣れると次第に強烈なものを求めるようになるし、あまり強くなればそれは身体にプラスに作用するよりま、マイナスの面が顔を出してくる。

 中国へいくと私は自分では料理を作らなくなる。当たり前だ。ホテルの中ではそんなことはできない。いきおい外食になってしまうが、本来は「ハレ」の日用の食事を毎朝食べることになるから、どうしても身体に刺激が強すぎる。そうして「口内炎」などが出来たりするのである。

 でもやはり食べに行く。もちろん緊急時を想定して日本産のスポーツサプリなども持ち込んでいるから、どうにでもなるんだが、それよりも中国の友人との付き合いを楽しんだ方がはるかに面白い(口内炎の痛みよりはこちらの方が大きい)。そして朝から出かけるのである。

52  こんなものがあった。我々日本人にはむしろ見慣れている。名前は「香煎you(魚篇に尤)魚須」という。普通あちらでは、イカは墨魚(習性のまんま)というが、youyuはスルメイカのことである。だがイカらしく、旨みは中華の強烈な味付けに負けていない。これはスルメイカを唐辛子と一緒に炒めたのではないかと思っているが、見事なくらいスルメイカだった。口内炎の私には、けっこう痛みが滲みるわ~っという感じであった。

52_2  これは「香煎魚青niang(醸の右が良)尖椒」という。苦瓜の中身をくりぬいて皮だけにし、その上に白身魚のすり身を乗せたもので、胡椒風味で面白い味だ。日本で言うと練り製品の仲間になるだろうか。私は苦瓜があまり好きではないので、こういった発想はわかなかった。もう一つ、何故ふつうのキュウリを使わないのか不明だったが、きっと苦瓜の方が、すり身の味付けに負けないのだろう(単なる私の憶測)。

52_3  基本的に私は、食事のときにお菓子のような味のものは食べなかった。だがそんな固い発想をしていると、中国に行ったときにはまともな食事にありつけないこともあると、極めて初期に悟ってしまったので、今では平気で食べるようになったが、これはなかなか旨かった。名前は「特式雪山包」という。中には甘くて白い、クリーム状のものが入っている。まあこんなのもありだろう。でも日本だとおやつみたいな感じだった。

52_4  これは「芥顔猪脚姜」という。醤油や生姜などが乗っていて、甘くて辛くてなんか変な味であった。豚の脚だということはわかるが、ちょっと私には合わない感じ。左側の丸いのは、きっと鶏卵だと思う。でもちょっと香辛料の使い方が、日本人用ではなかった(当たり前だが)。味から「これは湖南料理?」と聞くと、「広東風だ」という答え。う~む、香辛料的には湖南かなあと思ったんだが。

52_5  これはお粥である。「生魚魚片粥」という。あちらのお粥の本の中にも、ごく僅かではあるが魚を使ったお粥は載っている。私も作ったことがあるが、本場のはどんなんかなあと思って食べた。普通の魚を使ったお粥だった(上に乗っているのはレタス)。ということは多くの日本人の味覚からはそんなに逸脱していないことになる。まあまあのお味だった。

52e  これは「焼鵞lai(瀬の右が負)粉」という。ガチョウを照り焼き状にしたものを、米粉で作った麺の上に乗せたもので、まあまあ美味しい。だいたい中国南部は面を作るときに米の粉を使う(北方は小麦)。米で作った麺は、調理すると半透明になってくる。この面自体は比較的あっさりしているので、それにガチョウのややこってりした系の肉をスライスしたものを載せているのである。そういえばこんなものをどんぶりに持って、木陰や建物の陰で食べているおじさんを、何度も見かけたよなあ。でも思ったよりは美味しいよ。

52_6  これは「duo(叩き切るという意味の字)椒蒸魚頭」という。大きな魚の頭を叩き切って、それに生姜や唐辛子などなどといった香辛料を加え…といったものらしいが、複雑すぎて私の下では分析不能であった。これはどうらや湖南料理らしい。まあでもぬめぬめ系の料理だったなあ。食べるところもそんなになかったし。

52_7  左「沙姜鶏脚」、右「醤汁蒸鳳爪」である。どちらにしても鶏の足の料理である。私的には、どっちもどっちだったけど、強いて美味しいほうを挙げろといわれれば、「醤汁蒸鳳爪」の方。52_8

 ちなみに「沙姜鶏脚」は一つだけ取り出すと、こんなリアルな鶏の足である。慣れないうちはこの形を見るだけでも、ちょっとひいてしまうよね。私も最初はそうだったもの。今は慣れてなん5210とも思わなくなっちゃったけどね。慣れは恐ろしい?

 ついでに「醤汁蒸鳳爪」の方はというと、足を半分に切っている。こちらの方がいろいろと味付けをしてあって、なんとなく美味しいのではないかと思う。上のは水でことこと煮て、それに調味料を足しただけって気がするよね。

 口内炎になっPhoto_2ても、あちらにいる限り、こんなものを食べ続ける私でございましたなあ。

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めでたいっ!!

 昨日は山へ行ったと書いたが、実は妊婦さんが二人も参加していた。その中の一人は臨月も臨月。予定日を6日も過ぎているという有様。まあ参加してくださっている中には、旦那さんはもちろんのこと、現役のお医者さんもおられるので、いざという時にはなんて思っていたが、この臨月さん。山の中を走り回る。

 それだけではなくて、焼肉は食べる、孜然羊肉は(もう一人の妊婦さん、Lちゃんが作ってくれた。焼いてくれたのは旦那さん)食べる、おにぎりは食べる(食べた?)、山菜の天婦羅は食べる(なんと留学生のZさんとH君が揚げてくれた。もう完全に、からりと天婦羅を揚げる秘訣は掴んだかな。へっへっへ~、日本料理の海外侵出である。でもこんな平和な侵出なら、まったく問題はないよね。それどころか、世界平和に貢献しそうだ)。それも腹いっぱい。もちろんその後でデザートも。

 でも「きっとこれがいい刺激になって生まれるよ」なんて言っていたら、本当に今日のお昼過ぎに旦那さんから、「生まれました」と連絡があった。本当に嬉しかった。まるで私の子供が生まれたくらい。おめでとう!!と喚きたかったけど、ちょうど仕事中だったので、それを抑えて表情だけは変えないでいた(あ~、苦しかった!!)。

 彼女と知り合ったのは、彼女が中学生時代。当時はSちゃんだった。今は結婚してA夫人となったが、大学を卒業してからも練習に来てくれる。まあいってしまえば、仲間なんだよね。子供が生まれても、連れて練習に来るなんて言っているので、ベイビーがさぞ御転婆になってしまうんじゃないだろうか(お母さんに似て?)。

 でも妊娠していてお腹が大きくなっても、動きまわっていたよね。こんなところに「身体運用」の真骨頂があったりするのかも知れない。だってほうっておくと蹴りが来そうなんだよ。妊婦さんなのに(あ~こわ)。でも良かった、良かった。本当におめでとう!! おめでとう!! おめでとう!!

 またそのうち、このおめでたをネタにして飲み会をやるからね! めでたいお酒はなんでもありだ。もしかしたら赤ちゃんも一緒かな?(私たちのクラブでは、この赤ちゃんが生まれる前から、名付け親になる競争が熾烈だった。中にはまじめなのか、不真面目なのかわからない名前もなくはなかったけど)

 何はともあれ、今日はめでたい。最高気温が昨日に続き30℃(五月なのに)を越えたらしく、暑くてしかたがなかったが、それも許しちゃおう!! ひそかに今晩は我が家でお祝いの酒を飲むからね。A君、Sちゃん(今もって結婚前のニックネームで呼んでしまうんだけど)おPhotoめでとうね~っ!! 今晩のお酒は、きっと旨いと思うよ。

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2009年5月10日 (日)

ちょっと変わった食性・37 ~やっと一年が始まる!~

 山へ行ってきた。みんなと一緒にである。これは私にとっての、欠くべからざる年中行事であって、ここからが私にとっての新年度の始まりとなる。だが朝早くから起きたので、さすがにもう眠い。早く帰って寝てしまおうと思うが、その前にこれを打っておく。

 天気がよかったので、気温も20℃を軽くオーバー。ほんの2週間前の遭難寸前とはえらい違いである。山菜はもうかなり伸びていて、早春の香りは若干減ってはいたが、それでもいつものように、焼肉、孜然羊肉、おにぎり、山菜の天婦羅などが飛び出して、なかなか盛り上がった。

 このワイルドな感じがいいんだよね。山菜を取った場所で、取った場所の谷川の水で洗って、その場で料理してほうばる。これ以上の幸せがあるかってんだ。産地直送なんて甘い、甘い。採った木のすぐ下で食べるのである。これ以上の自然食はないのではないかと思うけれど、いつもいつもできるわけではない。

 本来、新芽などは勢いがあるもので、それを食べることは一種の精をつける行為である。人の手が最小限しか加わっていないということは、自然のものを我々の中に取り込むことでもある。それによって我々の身体は刺激を受け、活力が増していく(はずだ)。単なる栄養学的な分析以上の効果があがるのではないかと期待している。

 こういった食事は、毎日摂るべきではない。季節季節で必要に応じて摂取するようにする。それ以上大量に摂るべきではないと思っている。欲張ると、『雀のお宿』の欲深爺さんのように、化け物のつづらを持って帰ることになるからね。

 で、私は必要なだけしか食べない。そうしてこの日をもって私の一年の始まりとしている。これは私の儀式であって、誰にも強制はしないけど、自分の中での決まりである。ついでに今日は私の誕生日であることだし(わざわざ、海外から祝福の電話をかけてくれた人もいる)。何かが今日から始まるのであろう。わくわく……

51  飲茶の店に行くと、こういったものが出てくる。これは中国茶を淹れるセットである。私もこういった陶器製のものは、一つしか持っていないけど。持って帰るときに、割れないように気をつかわなきゃならないからね。これでお好みのお茶を淹れてもらいながら、食事をするわけである。だからお茶を飲みながら優雅に食事をするといった、ゆったりした雰囲気が一番似合う。

51_2  これは豆腐花で、すでに解説が終わっているので、今回は省略。なにしろ眠たいので… でもこれで毎朝食べたのが記録として残る。次は醤油かダシ醤油でも持っていって(法律に触れない程度)、食べてみることにしよう。日本風の食べ方でも、絶対においしいはずである。

51_4  これは「51_6北方水餃子」。水餃子という割には、スープに浸かった状態で出てきていない。私は蒸し餃子ではないかと思ったくらいである。中身は豚肉、白菜、シイタケなどで、極めて基本的な餃子であった。大きさもそんなに馬鹿でかくはない。まあせいぜい日本の一般的な餃子3つ分くらいであろうか。下においてある私のボールペンと比べていただければ、おおよその大きさはわかるのではないだろうか。51_7

 これは「古法蒸排骨」という。豚の骨付き肉を、わずかな胡椒風味、薄い塩味で気長に蒸しているらしい。カボチャに乗って出てきたから、骨付き豚肉のシンデレラバージョン? まあまあ食える。とにかくこちらには気長に作っているのではないかと思えるものが多い。さぞ調理場は大変だろう。

51_8  これは「姜汁鮮奶蛋ta(てへんに達)」という。生姜を使ってあるはずだが、生姜風味はわずかで、ほの甘く、外側がさくさくっとしてなんとも優美な美味しさである。あまり優美すぎて、作り方を聞いてくるのを忘れたくらいだ。見た目も可愛いし。

51_9  これは「姜葱牛柏葉」という。牛のセンマイと、赤・青ピーマンに生姜の千切りなどを乗せて作ってある。味としては塩と胡椒が薄くしてあるが、食べた後に生姜の風味が残る。

 だいたいセンマイは外見がちょっとグロいが、あっさりとした部位である(私は焼肉を食べに行くと必ず食べる部位である)。あっさりとした部分をあっさりと仕上げてあって、なかなかである。

51_10 「黒椒蒸猪肚」という。豚の胃袋を使った料理で、胡椒や唐辛子を使って味付けをしている。それでもやや甘いのだが、砂糖は使ってなさそうな感じだ。なかなか興味深い味である。

 五一節はレストランは満杯になる。久しぶりに一家揃って食事に来ているのか、三世代が同居しての食事を摂っている場面によくでくわす。「つかの間、人を信じたら、もう半年頑張れる」という中島みゆきさんの歌の一節が頭を過ぎり、ちょっと胸が熱くなったPhoto

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2009年5月 9日 (土)

ちょっと変わった食性・36 ~忙しいよ~

 なんだかんだと、今もって忙しい。実にあれこれと雑用(しなかったらたちまち困るような雑用なので、ますます始末が悪い)が多い。送る準備をしたまま、車の助手席で眠ってしまっているものがあったりする(Mさん、ごめんなさい。ついでだからこれから送るね。このまま放っておいたら、きっと忘れてしまうから)。

 と思って宅急便やさんに行ったら、でっかいトレーラーが何台分もの駐車場を占拠しているうえに、どこかの爺さんのカローラが、すべての駐車場内に駐車している車が身動きが取れないように、入り口をぴったり塞いで駐車して、ドライバーの爺さんはいない(帰ってきたから、爺さんだとわかったんだけど)。

 よく日本人は列を作る、秩序を重んじる民族だといわれているが、果たしてそうなのかなあ。中国の人は列なんか作らないといわれているけれど、駐車場でこんなことをしているのは、あまり見かけなかったけどなあ(やっていたら、壊されるのかも知れないけどね)。

 よく「最近の若い者は…」って言うじゃない。でもそんなことを言う老人のマナーだって、決して褒められたもんじゃないよ(みんながみんなとは言いませんが)。特に最近痛感することがドライブマナーだけどね。シルバーのシールを貼った車の運転の横暴さ、危険さには怯えながら暮らしているよ。

 人は年をとれば必ずそれなりの叡智が得られるものではない。それなりの努力をしたものだけが叡智を手に入れる。年齢だけなら、飯食って、クソして(お食事中の方々、すみません)、寝ていれば、勝手にくえるけどね。ただ年齢が上だからそれだけでえらいなんて時代じゃないんだけどね。

 年齢相応の常識とか智恵とかを持っていないと、自分が恥ずかしいだけじゃなく、周囲に迷惑をかけちゃうんだよね。以前本ブログで、コンビニでバイトしていた若い男の子が、領収書に相手の名前を(簡単な漢字)書くことができなくて、一見肉体労働者風のおじさんに「お前、学校で何習ったんなら?」と言われているのを見たことがあると載せたことがあるけど、後ろに並んでいた私は、どんどん時間だけが経過していき、忙しい身をさらに忙しくされてしまったことがある。

 法定時速50㌔の道を、30㌔くらいで延々と運転されて、仕事に遅刻させられたこともある。せめて他人に迷惑をかけないくらいの常識的なことは、年齢相応な分だけは身につけておいてもらいたいもんだ。いらいらさせてそれで誰かが事故ったら、絶対他人をイライラさせた人にもいくらかは落ち度があると思うんだ。

 と、ちょっと変わった食性には何の関係もないことを喚いておりました。僅か1行変化する間に、そんな体験をしてしまったのでございます。人生にはいろんなことがありますな!

 ところで上海料理は概して味が薄い。おおむね自己主張が強い中国料理にしては出色である。なんでここの料理だけはこんな感じになったんだろうか? 食材が豊富にあったから? 外国人が早くからたくさん訪れたから? それとも土地を治めた人たちが薄い味好みだったのだろうか?

 勝手な推測はいくらでもできるが、本当はそんなことはどうでもよい。大切なのは、今出されたこの料理を、自分は食べることができるだろうかということだ。そして食べることができるのであれば、それを自分は美味しいと感じるだろうかどうかということだ

 随分前から上海には租界というものが作られ、とても外国的(中国からみて)だったらしい。ブルース・リー主演の『怒りの鉄拳』の中では、中国人が日本人に大変ひどく差別されているように描かれていて、私はこの映画は嫌いだった。だいたい日本人に扮している俳優さんがお粗末過ぎる。

 袴をはいているのは許せるとして、すべて前後逆に履いているのは、超ど級のお笑いだった。そして当時の日本人男子には茶髪などいなかったと思う。まあそうして面白おかしくしたかったんだろうけどね。まさか死んでしまったブルース・リーは、日本で彼の作品がブームになるなんて、生前予想もしていなかったんだろうね。

 それに中国でブルース・リーの映画を買ってくるとよくわかるけど、彼は広東語と英語しか喋っていないし。(現代だと、『レッドクリフ』に出演した金城武さん、中村獅童さんともに普通話を喋っているんだけどね)上海なら上海らしく、当地の言葉で喋ってもらいたいもんだ。

 なんか今日の脱線もけっこう激しいので、そろそろ料理(どれも食った)について話にしてみよう。430 最初に出てきたのはビールだったが(青島ビール)、その次に出てきたのはなんとこれだった。「上海菜飯」という。これは私の大好きなご飯なのだが、普通、軽く一杯やって、最後にご飯で〆るというのがだいたいの人のパターンではないかと思う。でもここは違う。出来た順、店側の都合のいい順で出される。最初にこんなもんをもりもり食ったひには、血糖値が跳ね上がり、食欲は一瞬にして低下する。でもそんなことは考えてくれない。だから私は、他の料理が出てくるのを待った。そしてこの菜飯を食べ始めたのは、ご飯も何もかもが冷えてからだった。

430_2  これもいつもいただいている「蝦仁豆腐」である。薄味で少しだけとろみがついているが、豆腐が美味しいので、料理全体が美味しく感じられる。おおかたの日本人にとっては、豆腐はなじみの深い食材であって、それだけでも親しみが沸いたりする。胃に優しい食べ物の一つである。

430_3  今回このレストラン(日本語のメニューはあるが、日本語のできるスタッフは一人もいない)で、服務員に「何かおススメはある?」と尋ねたら、勧められたのがこれだった。「什quan(金へんに泉)沙鍋」という。さすがに服務員が勧めるだけのことはあって、なかなか美味しかった。この日の夕食の中ではぴか一である。鶏卵の中には豚ミンチ肉が入っていてオムレツのようだし、ハム、焼き豚、白菜、鶏肉、シイタケ、春雨、合挽き肉の団子などなどが入っていて、わずかに桂皮の風味がただよう。これは出来がよかったけど、日本で再現する気にはなれない。なんとなく手間隙がやたらとかかりそうだから。

430_4  これもよく食べるもので、「百合木耳」という。簡単な塩味に、わずかに胡椒の風味があって、なかなか美味しい。でもインパクトが少ない食べ物で、酒の肴としても、せいぜいがビールくらい。白酒みたいな個性の塊では、肴としては役不足。でもそれだからこそ、なんとなく健康志向なんだけどね。これは日本でも簡単に再現できそう。

430_5  そして私が案外好きなのがこれ、「松子黄魚」という。黄魚とは何だろうかと思ったのだが、「これ、何?」と聞いても、服務員は「黄魚」と答えるだけ。それはメニューを見ればわかることだけど、あちらでは黄色は日本のピンクに相当するので、いやらしい魚、色っぽい魚かなと勝手に納得してしまった。帰宅して電子辞書で調べたら、「ニベ科の魚の総称」と書いてあった。御見それいたしました~。

 チリソースのようなものの中に、松の実がふんだんに振り掛けられ、蝦とかもある。グリーンピースなんかもある。そしてこのソースの甘さがまたとても胃袋に優しいんだな。この魚はほとんど完食してしまった。

 この日の夕飯は、ビールたったの1本で、これらを流し込み、最後が菜飯だったので、とても健康的だった。たまにはこういう日も必要だ。いつも刺激ばかり与えていたら、身体がもちません。

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2009年5月 8日 (金)

ちょっと変わった食性・35 ~適応??~

 記憶が薄れないうちに、とりあえず食べたものの記録をしておく。これは実は私自身のためでもある。次に行ったとき、何を食べればいいか、迷わなくていいからである。これは立派なパターン化だが、人間体調がいい時には少々変わったものを食べても大丈夫だけど、一旦体調が狂ったら、何よりもいつも食べているものにしたほうがいい。

 パターン化したもののところまで戻れば、身体がそのパターンを憶えていて、勝手に調整してくれるからである。その証拠に海外で胃腸をやられて帰ってきても、日本で日常生活に戻せば、知らない間に体調が戻っている。パターン化はなんとなく基本稽古に似ている。技に悩んだら基本に戻る、つまりはそういうことである。

 パターン化が進んだおかげで、私は最初の頃の「何を食えばいいんだろう?」と悩んでいた状態を脱した。それもこれも、様々な記録を残したからである。出たとこ勝負で、「まあなんとかなるさ」なんてのは、何とかなるだけの適応力があるからで、若い頃には強くても、年齢とともにどんどん守備範囲が狭くなる。適応力が弱くなっているのである。

 適度な冒険はいつになっても面白い。でもそれは生きて帰れるという余裕があるからだ。その余裕の基盤となるのがパターン化である。毎日毎日、決まりきった生活をしていて飽き飽きしていれば、たまの冒険は楽しい。でも冒険が過ぎれば、パターン化した生活だって懐かしくなる。そして冒険で少しぐらい傷ついても、パターン化した生活に戻れば、いつか傷は治っている。

 食事なんかその典型だと思う。私は激辛湖南料理が大好きだが、毎日こんなものを食い続けていたら、きっと死んでしまうと思うよ。これだって平凡な日常に帰れるという前提で楽しんでいるわけだからね。それほどパターン化というのは我々にとって大切なことだ。大切すぎてありがたみに気がつかないくらいだ。

 これはちょうど空気や水が、なければ生きていけないのが当たり前すぎてわからなくなっているのによく似ている。空気や水はどこにだってあると思って、ありがたみに気がつかない人はパターン化をまるで悪いことのように言ったりするが、退屈なほどなれた生活は、いつだって我々を優しく包んでくれるんだよ。

 ということで飲茶店の朝食に話を戻したい。なにしろ本「ちょっと変わった食性」シリーズは、自分のために書いているのだ。また訪中するまえになったら読み直す。すると食べたもの、食べなかったものが思い出される。要するに私にとってとても有意義なのである。

430  これは今回私が「妙齢乳鳩」についでお世話になった食べ物である。「豆腐花」という。「くみ上げとうふ」まんまであり、だいたい中国の豆腐は日本のものよりも美味しい場合が多いので(中国は豆腐発祥の地である)、頼んでみたら、なんと甘い。

「これ、砂糖でも入ってんの?」と利いたら「有」という。おいおい、日本人は豆腐には醤油である。くみ上げ豆腐なら何もつけなくても十分に甘い。そこで「こんな甘い豆腐が食えるか」と、「砂糖の入ってないやつ」と注文しなおしたら、こんどは美味しかった。なんと胃が休まるような、ほっとするようなお味である(砂糖入りはあまりの違和感に拒絶反応しか起きなかった)。それから毎朝これを食べることにした。

430za  こいつは「三糸炸春巻」という。見ての通り春巻きである。まあ普通の春巻だ。でも日ごろから食べているものは、身体の中でパターン化されているから、調子を整えるには好都合である。免疫と一緒で、身体がこの異物の消化法を知っているのだ。ちなみに春巻の味は、日本のとほぼ同じである。

430_2  これは「鮮蝦香茜餃」という。餃というくらいだから、餃子の一種なのであろう。ちなみに今回は、すこしだけ意識的に餃子を多く食べてみた。これは日本での私の430_4「実験」の主力が餃子に移っていく可能性を強く示している。いろいろ食っておけば、勘ができてくるからである。ちなみに勘とは体験の積み重ねによって、正確さが増していくものだ。それは数多くのデータの上に成り立っているという証拠である。ちなみに中身はエビと香草、シイタケ、豚肉、ニンジンなどである。

430_3  さらにこれは「鮮蝦菠菜餃」という。まんまで表現すれば、新鮮なエビとホウレン草の餃子である。でも食べてみると、エビ、ホウレン草の他に、ニンニク、豚肉などといった、所430_5謂餃子の材料としてはきわめてありきたりなものが出てきた。でもまあ旨ければすべてよし!である。どんなものでも旨ければ、すべてが許される(最近、私の価値基準がかなりゆるくなったような…)。まあ緩くしないとなんでも食えないけどね。私は不自然なほどの自然食派じゃあないから。

430_6  これは「金牌栗子餃」という。中身はクリ(それもあまり甘くないクリ)と豚肉、それにチンサイが入っているところまでは確認できた。まあ作ってみて旨ければ私はそれでよい。クリはやはり甘くないほうが、餃子をしては美味しい。中身があまりに自己主張しすぎると、餃子全体としては出来がよくないのかも知れない。

430_8  私は口先を変える気はなかったのだが、なにしろあちらは出来た順番に出してくれる。暖かい出来立てのを食べようとすれば、食べる順番などにこだわっていられない。左側が「榴蓮薄餅」、右が「香蕉薄餅」であって、日本語で言えば左がドリアンのクレープ(?)、右がバナナのクレープ(?)である。

 この二つを並べて食べたのは初めてだったが、さすがに食べ比べてきるとドリアンは臭い。その臭さがはっきり認識できる。これだけ単品で食べると、甘さに誤魔化されて、臭さに気がつかないだけである。一方バナナの方は、食べ比べてみると逆に甘さが際立っている。私なんかだったら腰が抜ける寸前である(私は幼少時、甘いお饅頭を3つ食べて頭痛を起こしたことがある)。ま、いろんな経験ができることが幸せなんだけどね。

430_9  これ4301020は「魚翅灌湯餃」という。水餃子である。こちらで食べる水餃子の例に漏れず、なかなか巨大である。右の写真の黒いケースは私の電子辞書のケースだが、長さは20㎝弱である。餃子は窮屈そうに曲げられて入っていてこれくらいに見えるから、だいたい大きさが想像できると思う。器はちょっと大きめのおわんくらいだが、その中にたった一つしか入っていない。小食な人なら、これだけで腹いっぱいになってしまいかねない。中身は魚肉と豚肉、エビなんかが入っていたが、スープはなんとなくコンソメみたいな味がしたなあ。まあまあイケる。

43012  そして「luo卜餅」である。大根で作った餅だ。きっと大根を杵かなんかで搗いて作るのだろう。唐辛子の辛さと大根特有の風味が混じって、なかなか面白い。その上に刻み葱を散らしていて、これならなかなか飽きがこないかも知れない。

 そんなこ430_10んなでゆっくりと1時間半もかけて朝昼兼用を摂り、飽きもしないで430_11 スーパーの食品売り場を覗いてみる。日本ではまだまだお馴染みでない食材もたくさんある。国土が広いということは、いろんな環境でいろんな作物ができるということでもある。今回は穀物売り場を撮影したけれど、 日本では見たこともないようなもの(聞いたことや読んだことはある。あちらの料理本を買って帰ったりするから)が並んでいて、いちいち名前を調べるのも面倒なくらいだった。430_12

 さらに帰りに漢方薬(実はお粥の材料だったりする。さすが医食同源の国)店に買い物に行った際、ちゃっかりと特徴的な棚を撮影させてもらった。この薬局は清潔そうな色であったけど、以前行った店は、それこそ『千と千尋の神隠し』の釜爺の部屋みたいな、ダシがよくとれそうな色の棚が並んでいたんだけどね。

 ま、なんでも経験だ。そしてよい経験には、よいガイドさんがいた方がいいことが多い。その点、私はいつだって恵まれている。

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2009年5月 7日 (木)

ちょっと変わった食性・34 ~広東料理のええ雰囲気店~

「食は広東にあり」とかいうのだそうである。それだけ食いしん坊が多かった証明なのかもしれない。でも食欲は人間の本能の中でも最も根源的なものだから、本能の一部に忠実な(あるいは忠実すぎる)人たちが多くいたのかも知れない。もちろんそれだけの食材に恵まれていたのも大きな条件だろう。

 ただ豪快に食べるよね。ダイエットなんか気にしていたら、とても「食」を楽しむことはできないよ。食をしっかり楽しんで、身体は動きやすい状態を保つには、仕事なんかしている間はない(なんと強引な意見。どうせ強引マイウェイで」ございます)。ひたすら旨いもの食って、ひたすらトレーニングに明け暮れて… 夢のような生活でございますな。

 五一節とかで、五月一日から三日までは、中国は全国的にお休みだった。こんな時に抜け駆けで仕事をしても、周囲が回らないから諦めているのかどうかは知らないが、レストランや娯楽施設はやたら忙しそうだったけど、そういったところで働いていない人は、これまたやたらのんびりしている。

429  珠海の漁港に顔を出してみたが、こんなにも漁船があったのか! と驚くくらいの漁船が、ずらりと停泊している。ちょっと前に上映された『赤壁後編』の曹操の水塞みたいである(ちなみに後編は前編にもまして駄作だったねえ…)。

 あ、前編は見たほうがいいよなんて私書いてましたよね。でもレッド・クリフだよ。ターゲットが誰かわかりそうなものじゃない。少なくとも『三国演義』に親しんできて、よく知っている者向けの作品じゃないよねえ。

 曹操が赤壁で大敗して逃げるとき、それに追い討ちをかける趙雲、張飛、関羽のシーンなんて、この3人の人となりをよく描いているシーンだと思うけれど、なんじゃ?あれはって感じだったよねえ。壮大な人間ドラマが、陳腐な活劇ものに堕してしまっていた。もう見る人は見終わっていると思うので、どんどん書いてやろうかと思ったが、今回は「ちょっと変わった食性シリーズ」なので、またいつかの機会に譲っちゃおう。

 で漁船は操業していない。それまでにたんと働いて、五一節はしっかりと休むんじゃないだろうか。私も今回は何もかも忘れて、楽しんじゃおうなんて下心を持っていたのだが、残念なことに仕事をしてしまった(なんの仕事かは、きっとそのうちわかると思うけど)。

429_2  日ごろ多忙な生活の送っているご褒美として、いつも素敵な店を探してくれるのは莫ちゃんである。この日も新しくできた広東料理店を紹介してくれた(ありがとう! 莫ちゃん!!)。『古泉荘』という。駐車場はこんな感じだが、中に入るともっと雰囲気がある。429_3

 ちなみに手前に生えている巨大な葉っぱの植物はバナナである。こんなのがぼこぼこ生えているんだから、食は広東にあり? ついでに階段を登っているのは、残念ながらお顔は見えないが莫ちゃんである。階段はさすがにコンクリで作ってあって(石をコンクリで固めてある)、ここの最大の問題点といえば、やたら蚊が多いというくらいである。これを男の子が蚊トリーヌ(あ、商品名を出しちゃった)で退治してくれる。

 途429_4中で莫ちゃんが男の子に年齢を尋ねたら、十代の真ん中だった。「お前、こんなところで遊んどらんで、しっかり勉強せにゃいかんだろうが」 なんと莫ちゃんがこの子に言った言葉である。でもなあ、勉強したって金稼げないしなあ。金ないと生活できないしなあ… 人にはいろいろな事情があるものだ。

 気温も25℃前後(昼間)だったので、取り立てて暑くもない。実は一番暮らしやすい時期なのである。そこでゆったりと広東料理をいただく。これはもう幸せ以外のナニモノでもない。そうこうしているうちに、オーナーさんがやってきて挨拶してくれた。また贔屓にする429_5からね。

 だいたい珠江の河口付近では、川を泳いでいる魚なんか見かけたことがない。蛙の声など、とんと耳にしたことがない(食べることはよくあるけど。田鶏だが、なかなか美味しい)。にもかかわらず、ここでは盛大に蛙が大合唱している。声の割りにガタイは小さい。だいたいが蛙という生き物は、声が大きくてなりが小さいものだ。それは日本と変わらない。

 そうこうして429_6いるうちに日もとっぷりと暮れてきた。メイン会場のほうを見ると、こちらの必殺技、建物のシルエットがわかりやすくなるように、赤いネオンがある。でも私達は別室(?)だから喧騒から離れて落ち着いた食事ができる。私はそちらの方が好きだ。 

 いろい429_7ろと食ったように思うけど、ストロボをたくのが嫌なので、食べ物の写真は少ない。だが今まで食ったどの広東料理店よりも旨かったのは確かである。最近は広東料理店にもけっこう足しげく通っているからね。でも本当に旨いと感じる店は、そんなに多くはない。もちろんそれは私が日本人で、日本人の味覚で判断しているからかも知れない。

429_8  それにしてもここ数年のご飯の味の上達振りは凄まじい。なんとちゃんと食べれるよ。昔ならしかたなく食っていたのが、今では「おう、なかなか」である。べつにチャーハンにしなくても、大して違和感はない(長粒米なので日本のご飯と種類が違うから、同じ味にはならないだろうけどね)。これも実は感心した点の一つである。429_9

 ここで私は二家族と一緒に会食した。とても楽しい時間を過ごした。そして帰りには、バナナと一緒に記念写真である。この店は珠海の中心からはかなり外れているけれど、こちらの方角(西)には最近大発展しているのだ。

 それでも周囲は延々と続くバナナ畑。畑の中にはこの程度のバナナは普通になっている。こんなものがぼこぼこ生えていたら、汗水たらして働く気にはなれないよねえ。とりあえず雨露しのげるところさえあれば(台風は結構強烈です)、好き嫌いさえ言わなPhotoければとりあえず食っていけそうな気がする(畑のバナナを取ってはイケマセン)。

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2009年5月 6日 (水)

春が来た

 もうだいぶ前のことになるが、一匹の痩せさらばえたネコが一匹、ふらふらと我が家にやってきた。我が家にはチャーちゃんという立派な飼い猫でいて、私の弟の位についているので(耳がとんがっていたり、毛が生えていたり、尻尾があったり、四足であるいたりするのだが)、飼う気はなかった。

 だが母がいつものように、あまりに弱っているのを哀れんで、少しだけチャーちゃんの食べ残しをあげてしまったのだ。残酷なようでもこれはしてはならない行為なのだが、母は情の人だから仕方がない。長年生きてきての習い性だけは、すでにその人の本性にまでなっていることがある。

 この若いメスネコ(後で性別が判明した)は当然のように我が家に居ついてしまった。もちろん飼い猫ではない(えさを与えると飼い猫になってしまうらしいけど)。だから「名前はまだない」。我輩みたいなものである。

 ところが前回の交尾の時期である。彼女のお腹がとても大きくなっているのに気がついた。「おいおい、どうする?」 私と母は、せめて我が家で子供を生んでくれないように祈っていた。母はいくらか予防をしたらしい(するめを食べさせると、メスネコは流産するという説があるけど、あれはまったくの根拠のない話。以前我が家がネコ屋敷と化していたとき、あまりのことに困った母がするめを与えたら、その小柄なメスネコは可愛い子猫を5匹も生んでしまいました。ご苦労様)。

 だがそういった人間側の努力もむなしく、この4月、彼女はめでたく5匹の子猫をお生みになりました。私は「知~らんぞっ」。母は頭を抱えるばかり。そんな人間の心をちっとも知らない55で、母ネコと5匹の子猫はすくすくと育っております。

 我が家の庭は今は春真っ盛り。  日当たりのいいところのジュウニヒトエはすでに花が終わってしまいましたが、バーベナの花の中から、ノビルの花が咲いていたり(我が家ではノビルもちゃんと生育しております。食べるだけが能ではない55_2のですぞ)、ふ入りのギボウシが今年も元気に葉っぱを広げていたり、イワフジが芽を伸ばしていたり、菊の葉が出ていたりします。ちょっと気を緩めていたら、シロバナタンポポは綿帽子になってしまいました。

 こういったのどかな風景の中で、子猫たちはいたずら盛55_3り。もうやりたい放題をやっております。伸びかけの植物なんかかわいそうですが、彼ら(どうやらみんなオスらしいです。早く成長してくれないかなと思っています。オスネコは成長すると巣立っていくものですから)は、ウルトラマン対怪獣をどこでもやらかして、植物が押しつぶされるのをなんとも思っていません。

 ムラサキツユクサとかアイリスならまだいいんです(でも今日来がけに見たらPhoto_2、風にゆれるムラサキツユクサの葉っぱに、必殺の右フックをふるっている子猫がいましたっけ)。我が家には野草が多いので、それがやられちゃうんですな。

もっとかわいそうなのはこれから出てくるカナヘビやヤモリ、時にはアオダイショウの子供なんかですね。子猫たちは無邪気な顔のまま、彼らにとっては悪魔のような存在ですから。さあ困った困った。

Photo_4  もうこんな感じですからね。赤(ガーベラ)、黄色(ハハコグサ)、青(紫?ジュウニヒトエ)の咲いているそばで、もうすっかり貫禄をつけた母ネコがいるでしょう? 暫く前はこのネコは行き倒れ寸前で我が家に来た猫なんですよ。今ではすっかり我が家に当然居住権を持っているような顔をしております。家賃払え!!

55_4  こんな感じで安心しきって子猫に授乳できるのは誰のお陰? なんて言っても、ネコの世界には人間と同じような価値観がないから、理解はできないんでしょうな。いやあ、わからん奴は強い!!(「いやあ、バカには勝てん」と言った、『もののけ姫』のジゴ坊の心境ですわい)55_5 今朝なんか、やっと水替えの時間がとれたチビダト(ダトニオの子供。玄関脇で飼っている)の水替えをしていたら、玄関マットの上でのうのうと授乳でございますよ。こっちを振り返りもしない。どうしたらそんなに油断できるの? 野良ネコにそんなに信頼されても、あんまり嬉しくはないんだけどなあ。どうせ出て行くときは、「さよなら」も言わないんだから。   

 そうそう、昨日の朝は大変だったみたい。我が家は旧い家なので、掘り井戸があったりするんだけど、子猫が嵌らない程度の大きさの、金属製のアミ55_8をかぶせてあるんだよね。なのにわざわざ入りにくい隙間から入ったのか、井戸に子猫の一匹がボッチャンっ!! 我が家で水に嵌ったのは、これで3匹目。困ったもんじゃ。

 母ネコはニャーニャー鳴くだけでどうすることもできず見守るだけ、他の子猫も集まってきても見守るだけ。母が私が折りよく買ってきていた捕虫アミ(昆虫採集用の奴)で55_6救い上げ、九死に一生を得る始末。こんなことをしているから、居候の野良猫なんかに信頼されてしまうんだよね、きっと。

 で55_7もやりたい放題はちょっと困るよ。いろんなものが生えているように見えるかも知れないけれど、それは我が家のスタイルで、本当は植えているんだから。もういい加減にしなさいっ!!と言っても子猫たちは知らん顔。あ、あ、そこのアサツキが… ほらほら、そこのノビルが… そこの花を踏んじゃいかん。 そこで取っ組み合いをしちゃいかん…

 でもどPhoto_5こかのどかな、春の我が家の庭でございます……。

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ちょっと変わった食性・33 ~食性~

 今回は体調を崩したりというのは完璧になかった。だが最近少し見えるようになっていたはずのお腹が、やたらとでかくなってしまった。我々の業界では「飽満・充実」という言葉にはわりとなじみがあるのだが、見事なくらいお腹が「飽満」ではなくて「膨満」である。もちろん「充実」感はない。

 ちなみに日本へ帰って、久しぶりにお刺身と漬物で食べたら、「飽満・充実」というのがすぐに実感できた。これは私がまぎれもない日本人だという証拠である。大抵の食べ物に自分を合わせては見るが、それは「精神力」や「意志」を必要としている(大げさだなあ)。要するに、食べたことがないのが嫌。どんな味かも知らないでいるのが嫌。そんな気持ちが私をして食べるという行為に駆り立てているのである。

 私は昔から野次馬精神が旺盛であった。何でも見てやろう、聞いてやろう。それに食べてやろうというのが加わっただけであって、私的には取り立てて異常な行動ではない。だから何でも出されたら口に入れる。まるで赤ちゃんみたいなものである。勧められたら鉛筆でも食べるのかも知れない。幸いそんなことをしないのは、鉛筆が食べ物ではないということを知っているからだ。

 知っているということは有難いことだ。だから私はやっぱり見てやろう、聞いてやろうということになる。それも他人から聞いたのではいけない。伝言ゲームでは必ず正しい情報は伝わらない。正しい情報とは、自分で掴むものだ。それが第三者から見たとき、仮に間違っているといわれても、主観的情報としては正しい。ただ他人に尋ねられたとき、自分の主観的情報しか伝えられなければ間違ったことを伝えてしまうかも知れないから、いろんな人に聞いたり、本やネットで調べたりして、できるだけ補強するだけだ。

 ちなみに本ブログは「言いたい放題」と銘打っている以上、言いたい放題なので、必ずしも客観性を大切にはしていない。当然、誤った情報だって入っていると思う。それについては私は気にしないようにしている。だってこれだけの長さの文章を、1日に1話打つってのは大変なことなんだよ。後ろを向いていたりしたら、それだけで物がかけなくなってしまう。

 私が真剣に主観と客観の両面からチェックするのは、公的な出版物にするときだ。これは凄く集中する作業なので、とても疲れる。そんな合間に本ブログを打っていたりする。まあ言ってみれば、時にアクティブレストであったりするわけだ。でなかったらとてももたないもの。(だからと言って、いつも嘘八百を並べたてているわけでもない。たいていの場合は、嘘ではない。嘘をつく気がなかったり、勘違いしている場合だけが、誤った情報ということになる。要するに「言いたい放題」なのだ。それは私の心のバランスを上手にとってくれる)

 話が脱線してしまうので(これも言いたい放題の特徴の一つ)、もとに戻そう。

 朝は飲茶というのが、最近の私の一般的なパターンになってしまった。そしていろんなものを食べたければ、大勢で行くのがいい。一人で食べたいものをあれもこれも注文したら、絶対に食べきれない。そういえば何年か前、初めて中国へ行くという若者と一緒したことがあるが、あれもこれも注文しまくる。我々のテーブルだけに置ききれず、隣のテーブルまで置かなければならないほど注文する。

「おいおい、本当にこれだけ食えるのか?」と私は止めたが、彼は注文をし続けた。当然途中でダウンしてしまった。残ったものを包んでもらってホテルに帰ったらしいが、結局ほとんどは棄てたらしい。ホテルの従業員もいい迷惑だったろう。こういうことを何度もしていると、確実にそのホテルでの評判は悪くなる。

 日本語を喋れないから、言わないだけなのである。実は従業員たちの間では、みんな知っている情報になっていたりする。私は同じホテルに泊まっている日本人の噂を教えてもらったことがあるよ。紳士として行動すれば、あちらの態度も良くなる(その国の基準でだが)。「旅の恥はかきすて」なんてやっていると、どんどん評判は悪くなり、本当はあちらがやってくれるはずのことまで手抜きが入ったりする。

 でもそれはすべて自分が蒔いた種なんだけどね。蒔いた種は自分で刈り取らなければならない。これは洋の東西を問わず、どこの国にでも諺みたいにして伝えられていることだ。ということはどこにもそんな人間はいて、どこでもそういう感情を持たれるということなんだけどね。

 でまあ、最低4人以上で朝ごはん(飲茶)を食べに行っていた(もちろん、一緒にいくのは中国の人。釣りと同じで、現地の人が一番詳しい情報を持っている…あまり貧しい人は知らないかも知れないけど…。読んだり聞いたりしただけで得た知識だけでは、現場ではあまり通用し429ないことが多い。なんでも実際に体験することが大切だと、私は思う)。

 一番オーソドックスな野菜は こんな感じで出てくる。これは「水東芥菜」という。今回の店は私が今まで行った店の中で、最もしゃっきりしたのが出てきて、私は大変嬉しかった。これはこのような野菜を、大量の熱した油に漬けて、ザッとあげただけのものだけに、素材の確かさがすべてになる。

 とりあえず出てきた順に記録したので、ここでも同じように紹介していくが、あちらではお客の都合に合わせて料理が出てこない。出来上がった順番に429_2どんどん出てくる。それからメニューにあるからと言って、いつもあるわけではない。出てこないからと言って、客ものんびりしている。ちなみに私にオーソドックスなところで、上は「北方煎餃子」という。中身はエビやニラ、白菜、豚肉などであって、塩、鶏卵などで作る。

 驚くべきはその大きさであって、日本の餃子(仮に餃子の「O将」の餃子を基準にすれば)5~6個分が一つである。味がいいので、嫌になったりはしないが、一人で食事に行けば、これ3つ(一皿)だけでお腹はかなり一杯になってしまう。他のものが食べられなければ、ちょっと寂しい。

429_3  これは「金醤蒸牛筋」という。牛の腱をじっくりと蒸したもので、柔らかくなっていて、ねっとりとお肌にいかにも良さそうな食べ物である。ただし味付けは甘辛く、私にはちょっと朝からいただくには重たい気がした。でもあちらでは普通に食べられているものだ(家庭料理ではなくレストランで。きっと時間がかかるんじゃないかな)。

429_4  これもまったく同じ系統の味であって、鶏の脚の部分を、じっくりと蒸したらしいものである。名前は「醤汁蒸鳳爪」という。やや甘い味付けながら、胡椒がぴりりと利いて、まあまあイケる。ただし食事時に鶏の足が出てくるのは嫌という人にはおススメできない。食事には「見た目」という要素があることは、否定できない事実だからね。こんなところにはしっかりと「文化の違い」が顔を出している。

429_5  これは前回行ったときに食べ、帰国後、自分で作ってみようとして大失敗してしまった「香蕉薄餅」である。バナナのクレープ(?)として紹介したやつだが、今回も食べてみた。一緒に食べに行った莫ちゃんや、朱さんにいろいろ