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2009年6月29日 (月)

驚弓之鳥(弓に驚く鳥)

 私が大学生の頃だった。当時はまだ義兄ではなかったが、後に私の義兄となった人が、私の視界の端で頭を掻くまねをした。私はとっさに防御の姿勢をとった。当時私は、しんどい目をして道場に通っていたので、刺激にすばやく反応しなければ怪我をすることが多かったからだ。

 これは不思議だと、私も真似をしてみた。すると男の子は程度の差こそあれ、多くの人が首をすくめたり、両腕でガードしたりする。尋ねてみると、やっぱり一度や二度は叩かれた経験があるという。昔叩かれて痛かったんだ、きっと。それで無意識のうちに、防御するような癖がついたんだと思う。

 こういった機能は、人が生きていく上では重要なことだ。でもあくまでこれは学習(経験)の結果得たものだよねその証拠に、赤ちゃんにそんなことをしても知らん顔していたり、時に喜んでくれたりする。まだ学習をしていないんだね。

 とりあえず防御をするというのは、誰でも自分が傷つきたくないからだ。でも時々、経験の結果、先を読み過ぎて失敗することもある。これはきっと人特有の行為なんだろうなと思っていたら、『戦国策・楚四』に、『驚弓之鳥』という話が出ていた。日本ではあまり語られない話なので、ざっと紹介しておこう。

 昔々(どうせ春秋戦国だ。戦国策に出ているんだもの)、更嬴という弓の名人がいた。彼が魏王の高台の下にいたとき、雁が飛んで来るのが見えた。更嬴は魏王に言った。

「一発私が、弓を射るまねをするだけで、あの雁を落としてみせたげようではありませんか」 随分自信過剰なヤツである。飛ぶ鳥を射るのは、超難しいのにである。

 魏王は言った。「ほんまかいな?」 更嬴は「ほんまです」 そうこう言い合っているうちに、雁はすぐそこまで飛んできた。更嬴は矢をつがえずに弓を引き絞った。「まあ見とくんなはれ」、ビョンと弦を放すと、果たして雁が落ちてきたのである。

「ほんまにおっそろしいもんじゃなあ」 魏王は言った。だが更嬴は言った。「別に不思議なことはおまへん。あの鳥は飛び方がおかしかったんです。飛ぶ高さが低いし、遅いし。それでわいは思いましたんや。こいつは前に弓に射られて怪我したことがある。それにその傷もまだ治ってえへん、と。それでもう一回同じ目に遭うと思うたら、無理して自分から落ちてくるんじゃないかと」 

 事実その雁は、矢傷が治りきっておらず、自分が射られると思った瞬間、より高くへ逃れようと無理した結果、傷口が裂けて落ちていた。このように、同じ失敗をするのではないかと恐れて、勝手に自滅することがある。これを『驚弓之鳥』という。

 人間の場合は大脳が発達しすぎているので、自分が前にやった失敗だけではなく、目の前で他人がやった失敗とか、見たこと、聞いたこと、読んだことがある場合などにも、この驚弓之鳥は起こる。物事をあらかじめ悪く悪く考えて、最悪の事態ばかりを想定して、それを口にする人などは、周囲に驚弓之鳥を振りまいている。

 もちろん悪い状況を予測して、あらかじめ対策を練っていることは必要だ。けれども対策を練ったら、あとはむしろ忘れるくらいの方がいい。そしてむしろ能天気なくらいで取り組むほうが、物事がいい方に転がりやすい。逆に何処までも起こり得る悪いことばかりの対策を考えていたら、考えている以上の悪いことが起こって、対策も何も役立たなくなってしまう。

 ま、頭がPhotoよすぎるとこういったドツボに嵌るんだろうね。頭もテキトーがいいかも…

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2009年6月28日 (日)

我が家の殺し屋くん

 だいぶ暑Photoくなりまして、家の外に放り出されたロターラの花(バケツ入り)も咲きまして、ネジバナもナなんとか咲き始めたようでございます。 ロターラの花は、最初はディスカスの水槽に入れてあったのが、水替えのときにちぎれて出てしまって、その時はアオミドロだかなんだかが絡まって取れなかったので、捨ててしまうには惜しいし、さりとて水槽の中に戻すには… という、まるで「鶏肋」状態だったんですな。それで仕方なく放置しておいたら(もちろん屋外。我が家では熱帯の植物であろうが何であろうが、遠慮なく屋外に放置する。入れ物が小さければ、冬になって枯れはじめたら、運がよければ屋内に入れてもらえる)、なんのことはない、花が咲き出したんですな。もう根元にアオミドロなんか見えないんだけど、きっと水中の肥料分を全部ロターラが吸って、アオミドロは生きていけなくなったんでしょうな。

 それ以来この子は、ずうっとこのバケツの住人(?)になってしまった。バケツは運搬に便利な形をしているので、ここに入れられたままもう何年も、毎年花を咲かせている。完全にアマゾンの水などは知らないで、我が家の水道水しか知らないで生き続けている。面白いものだ。Photo_2

 ネジバナくんは昨年だったっけ、私が野生種を移植してきた(一昨年移植したのもある。こいつは花季が若干遅い)。今年はどうかなあと思っていたら、ちょっとひねこびれたヤツも出たけれど、まあなんとか咲いた。花言葉が「少しだけへそ曲がり」なんだそうで、それって花の姿形まんまじゃん、と思うけれど、実は私の性格もそうかも知れない(「少しだけじゃない!!」という怒鳴り声が聞こえてきそうだ)。でもひねこびれたのは、きっと我が家に巣くう殺し屋のせいもあると思うんだ。

 我が家には殺し屋は数多く生息しているが(昨夜も魚の水替えをしていたら、立派なヤモリがいそいそと出てきたと思ったら、私が見ている前でガをぱっくりこと食べちゃった。食べた後で私の存在に気づいたのか、あわててさよならしてしまったが、いいんだよ。我が家はこういった食物連鎖には大変寛大だから。家人が保護しているものさえ害を与えなければ、いつだって許しちゃう)、中でもいちばん始末におえないのが、この春お誕生になった居候ネコの子供達だ。

 なにしろ母さんが初産で、しかも5匹も生んだもんだから、育児でへとへとになってぶっ倒れそうだった。途中で1匹死んでしまったようだが、我が家で飼っているわけでもないので、できるだけ手を出さないでおこうと思っていたのだが、子猫ときたらあれは悪魔ですな。

 なにしろとんでもなく可愛い顔をしている。5匹もいれば人懐っこいのもいれば、人間嫌いなやつもいるわけだけど、なんとなく可愛い顔をしてじっと見つめられると、人間の心なんて弱いもの。ついじゃれさせていたら懐かれてしまった。それをいいことに、子育ての三分の一くらいを人間に任せて、自分は気楽に暮らし始めたのが居候の母さんネコである。

 いまではこPhoto_3の居候までが甘え始めて、野良猫に愛されたくねえよ。そうでなくても我が家には、すでにチャーちゃんというれっきとした飼い猫がいるんだから。そんなこちらの思惑など何処ふく風、我が家の庭に生息する様々な生物に迷惑をかけながら、はや狩りの練習もだいぶ上手くなってきた。

 とにかく暇さえあれば、爬虫類、両生類、昆虫などなどが犠牲になっている。この前初めて知ったけど、我が家の庭には小型の鼠が生息している。それも子猫が捕まえてきたからわかったことだ。自慢げにくわえていたけど、とうとう最後まで私にくれなかった。大人になったら、戦利品として玄関などに置いておくもんなんだが。

Photo_4  とにかく狩りをする。別に食べてはいないらしい。今の季節だから、ちょっとしたところを覗き込んだら、動物の1匹や2匹は必ずいるわけで、見つかったものが可愛そうな目に遭うことになる。何もなかったら風に揺れる植物にだって、必殺ネコパンチを繰り出しているもの。Photo_5

 この子はボーっとしていたので、私が背後から抱き上げた。でもちっとも恐れるどころか「ゴロゴロ」言い出す始末。その直前まで立派なカナヘビを苛めていたんだよ。尻尾はもう根元からなかった。かわいそうだったので、「こらっ!!」というとびっくりして放したけど、もうだいぶダメージを負っているのか、カナヘビくんの動Photo_6きは悪かった。とりあえず茂みに逃げ込むまで、守ってやらなければならなかったぐらいだ。

 それでも元気に他のものを見つけてまたダッシュする。人間とは価値観が根本的に違う生き物だとは言っても、目の前で繰り広げられる惨劇はもう見たくないよ。 この子たちが巣立つまでに、どれだけの生命が失われることやら… ためPhoto_7息が出るね。

←安而不忘危!!(安きにいて危うきを忘れず) 備えあれば憂いなし。備えとは、発想の転換。ただし発想の転換にも方法があります。この本はその方法について書いています。現実に使えなければ、どんな高度な技にも意味はありません。自分にできることで、身を守りましょう!

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2009年6月27日 (土)

読むだけであなたは身を守れる・4 ~兵法としての護身・3…虚実の理論…~

 昔から虚Photo虚実実という言葉はよく使われる。漢字の母国、中国の兵家を扱ったドラマなんかでも、よく聞く言葉である。しかし虚虚実実というのは駆け引きを表す言葉であって、研究すると大変奥が深かったりするのだが、現実社会における虚と実というのは、案外誰でも当たり前のように知っているわりには、案外理論として理解していないので、時々チョンボする点でもある。

 理論として理解することの重要性は、穴が出来にくくなるということ、応用が利くようになることであって、理論のない経験だけに立つと、簡単な応用で解決できることに気がつかなかったり、全く別のものとして捉えてしまったりする。

 独学で素晴らしく自分の能力を伸ばす人も、世の中にはいないではないが、多くの場合、独学はこの理論体系の存在に気がつかなくなる危険性を持っている。学校での勉強はつまらなく見えてしまうが、理論体系に裏付けられた強みがある(教える側がそれをどのくらい認識しているかは疑問だが)。

 したがって、学校教育もまんざら捨てたものではない(正しく行われていればの話である。これは教育委員会、文部科学省などの指導に沿っているかどうかとはあまり関係がない。そんなこと考えてもいない官僚は少なくないからである。学問が出世の道具と考えている人間は、最初から目指している目的地が違うので、それがいつも正しいとは言えない)。理論は大切で、抜けたところが出来にくく、独学の弱点は確かに存在する。我流に陥りやすいし。

 さて理論は実戦によって磨かれなければ、現実に使えるのかどうか確認できない。実際に使えない理論など、何の意味もないただのガラクタである。酔っ払いの戯言と大差がない。そこで様々な方法で「試す」ということをするわけだ。その中で理論は力を身につけていく。力のない理論など、絵に描いた餅以下だと私は思っている。

 さて虚実の理論だが、一番の原点は、相手の弱点(虚)にこちらの強いところ(実)をぶつければ、そこで勝てるという考え方である。例えば世の中には「自然」が最高のものであるという考え方をする人たちがいる。だが自然であれば何モノにも勝てるというわけではない。強化されてサイボーグのようになったものは、自然に生きているものよりは、少なくとも闘争という限定された条件では強いし、現実に勝つと思う。

 この考え方が誤っているとすれば、人類は武器などを開発しなかったはずだ。武器を持っている事は、武器を持っていないよりは有利だから、有史以前から人間は様々な武器を開発してきたのである。それでも自然であればよいというのは、少なくとも闘争を考えた場合、正気だとは考えられない。

 自然に立っている人間に、不自然に勢いをつけてきたものがぶつかれば、たっていた人の自然さはあっというまに崩されてしまう。そしてひっくり返るわけだが、これは弱かったからひっくり返ったという自然な結果である。「自然」ということばはこのように、いくらでも解釈を変えられるずるい言葉の一つである。したがって言葉遊びをして相手を言い負かしただけで満足するのなら、自然がいつでも、どんな場合にでも最高だとしていればいいが、現実社会ではそんなことを言ってはいられない。

 虚実の理論は、相手の虚を見定め、こちらの実をぶつければ勝ちやすいということである。私は「かよわい女性の、正確に曲げられた肘は、筋骨たくましい男性の目よりははるかに強い」と『読むだけであなたは身を守れる』の中で書いたが、これは正確に曲げられた肘が、たとえか弱い女性のものであっても「実」になっており、筋骨逞しい男性の目というのが「虚」になっているということである。

 一般的に『孫子の兵法』などでは、「虚」というのは手薄なところといった意味合いで使われることが多い。例えば兵隊の数が少ないところなどといった意味である。そこに大軍を投入できれば、今川義元と織田信長の桶狭間の戦いのように、全体としては劣勢の織田軍の勝利に終わる。本来大軍で「実」であるはずの今川軍が、桶狭間では本陣の僅かな兵力が、しかも縦長の陣形になっており、この局面だけみれば織田勢の方が10倍近い人数になっているのである。つまり局所的に織田勢の方が「実」になっており、「虚」と「実」が逆転しているのである。この桶狭間の闘いは護身(術?)を考える上では非常に参考になる。

 他に球技などでもよく見かけるよね。防御側2人に対して攻める側が4人とかだったら、ちょっと守れ切れないし。フリーの人間を一人作ってしまったら、その人は自由に動けるわけだから、いろんな展開に持ち込むことが出来、守る側としては非常にやりにくくなってしまう。

 厳密には人数の「虚実」ではないけれど、精兵をどこかに配備して、相手の弱点を狙うというのもあるよね。これもスポーツなどではよく見かける風景だけど、闘いでもよく行われるね。戦端を開いてまず最初に乗り込む(所謂「先陣」「先手(さきて)」)のは、決まってその部隊きっての勇敢で、力量のある者たちだ。

 これを避けるのは戦では当たり前のことだよね。徒にダメージを大きくしてしまうことが多いから。その代わりに相手の弱点を攻めたり、先手が動けなくなるようなところを攻撃するのが標準的な対策だ。もちろん相手の精鋭10人に対し、守備側は100人なんてこともあるよね。

 攻める側としては、精鋭部隊でどこかを攻めると見せかけておいて、実際には別のところを攻める「囮」なんてものもある。これはノルマンジー上陸のときに、連合軍が使った先方が有名だよね。連合軍きっての猛将ジョージ・S・パットン将軍をカレー海岸の対岸にいさせて演習をやらせ、そちらにドイツの主力を集中させておいて、ノルマンジーに上陸させたというアレである。これも策によって相手を「虚」にして、こちらを「実」にするという典型だ。

 これは人数による「虚実の理論」である。一般的に兵法では太古の昔から、「各個撃破」という方法が使われるが、これは大軍(実)の相手を幾つかに分けることで虚にかえ、そこに自分の側の総力を結集して「実」とし、一つずつ(各個に)潰していくやりかたである。これはナポレオンなんかもやった手だし、負けるときにはこれをやられることがおおい。例えばその典型が先の戦争のときの日本軍である。太平洋全域に軍を展開して薄い防衛線を敷いたために、反撃してくる連合軍にとっては「薄い紙を破る」ような感じで突破されてしまっている。本当に兵法の勉強をしていたのかしら? それとも当時の雰囲気では中国の思想なんてバカにしていた? 相手をバカにした瞬間から、敗北はすでに始まっていると私は思うけどね。

 私はこの人数による虚実の理論を、『読むだけで~』では「人の和」という言葉で表現している。もちろんいつもいつも大勢の力を借りることはできないので、他の形での「人の和」の発揮の仕方にも触れてあるけれど。それはやはり買って読んでいただきたい(とCMをいれておきます)。

 もちろんほかにも「虚実の理論」はたくさんある。例えば相手を疲れさせて、こちらは英気を養っておき、一気に逆転するなどはその典型で、よく警察が「立てこもり犯」などに使うテだ。立てこもっているほうは人数的に圧倒的に少数なので、いつも緊張していなければならない。食料などの補給も途絶えがちになる。こうして相手を心身ともに疲れさせて「虚」の状態にしていくのである。そこへ疲れていない「実」を大量に投入するのである(これも実)。こうして考えてみると、常に「実」をどこまで増やせるかを考えているのが警察のやり方といえよう。もちろん、市民の安全を守るのが仕事であるから、当然のことだと思うが。

 地理や地形面でも「虚」と「実」はある。『孫子の兵法』には九地篇でしっかりと書いてあるが、一般に高いところの方が低いところよりも有利であったり(でも水の便という生理学的な要素を考えなければ、三国志で有名な馬しょくのように、街亭でとんでもないどチョンボをやらかしてしまう。彼は何よりも人に必要なものが確保できての地理的条件なのだという基本的なことが理解できていなかったのである。これなど理論ばかりが先行して、実戦経験が足りない典型であろう)、川だと上流の方が(攻めるのには)有利、風上に立てば有利などといったことで、それぞれものの流れが起こる側が「実」になっていて、下流は「虚」になりやすいといったことであろう(暗がりでの格闘では、これが逆転することもあるが、これも経験がなければわかりにくい。理論を身につけて、あとは実戦を積むことで理論は力をつける)。

 護身の場合は実戦を積まない場合が殆どなので、とにかくその時自分にできること、使えるものなどをタイミングよく行うことがベストであって、そのタイミングの中にも「虚と実」はある。相手の注意がふっと途切れたとき、これは相手の虚だから自分はそこで行動できるように実になっておかなければならない。相手が何かできなくなったときも明らかな虚である。『読むだけで~』では、相手が虚になってくれない時に、こちらが働きかけることで虚を作り出す方法の例も書いてある。

 中でも体力のある(本来は実に見える)大人に、子供さんやか弱い女性が襲われたとき、いかに「虚」と「実」を逆転させればよいかについても触れている。環境によっては「虚」が「実」になり、「実」がどうにもならない「虚」になってしまうケースをいくつも上げ、「虚」を「実」にしてしまえる生き方を普段から少し心がけるだけで、いくらでも逆転は可能ということを書いてあるはずである。

 力が強いものがいつでも強いわけではなく、その力を弱点にしてしまうことも可能だし、技が優れたものを、その技ゆえに縛ることもできないことではない。逆に体力がないからいつでも弱いわけではないし、むしろそれを逆手にとって、最初から護身を行わないでよいうような状態にしておくこともできる。

 私は「強い・弱い」は絶対的なものではないと考えている。それはいつも周囲の状況や社会的な問題によって変化する相対的なものだ。強いから弱い。弱いから強いということは、現実にある。それをいかに自分の生活に活用していくかが護身だと思う。これは犯罪から身を守るだけではなく、実は生きて暮らしていく上でも同じことが言えると思う。ポイントは簡単。「虚」を「実」に、「実」を「虚」にする方法を考えるだけなのだ。

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2009年6月26日 (金)

あ~、暑かった。今年の梅雨は…?

 大変暑うございました。久しぶりに炎天下に長時間いたおかげで、両腕が真っ赤に日焼けして、火照ってしかたがありません。昨日夜もびっくりしたけど、今日も昨日に増してまっかっか。本来私は色白なんだ。日焼けは堪えるよ。

 今朝は起きるやらニュースで、マイケル・ジャクソンのことが報じられていた。疲れてはいけないので、朝早く目が覚めたのだが、無理やり起きないようにして、午前7時からテレビにスウィッチを入れたのだが、いきなりマイケル・ジャクソンが救急車で病院に搬送されたという臨時ニュースが入った。

 そして続々と情報が入ってきたのだが、次第にそれはマイケル・ジャクソン死亡。なんでも痛み止めの服用しすぎだとかなんとか(私には、どうして痛み止めを服用しすぎて心臓発作を起こしたのか、その因果関係が理解できなくて「はてなマーク」が頭の周りで14個、点滅しながら3周した)と言っていたけど、そこから先の情報は入らなかった。

 それでも広島のホテルで仕事をしていたのだが、Hくんと打ち合わせていた朝食の時間が来たので、さっさとレストランに下りていった。なんと朝食バイキング。私はこのバイキング方式が大好きである。食べ過ぎて太ったりするのだが、それでもいい。好きなものを好きなだけ取れるのがお気に入りである。

 今朝はたっぷりと食べましたよ。いつもの朝食の倍は軽く食べましたな。それから食後のコーヒーとしゃれ込んで、暫くして部屋に上がり、朝の出発準備をしてそれから競技場に行きました。今日の練習はまあまあよかったんじゃないかな。ま、ここからがスタートだけど。

 でやっぱり暑かった。予想最高気温は、広島は31℃だったけど、実際には33℃くらいから34℃くらいまであがる。幸いなことに乾燥した(湿度約50%)の風が吹きまくってくれたので、なんとかしのげた。ま、こんな経験を何度か積んでいるうちに、身体が夏対応になるんだけどね。

 それにしても今年の梅雨はどうなってしまったんだろうか? 梅雨らしい時期が来ないで、いきなり夏が来たみたいに感じる(にしても湿度が低いけど。もちろん、私は、湿度が低いほうが好きなんだけど)。こりゃまた四国の例のダムは大変なんだろうなと気の毒に思うが、お天道様のやることだから私が同情しても何にもならない。

 でもおかげさまで、快適な生活ではあったよ。暑いのはしかたがないとしても。それとそのお陰で、最近忙しくて全然練習の時間がとれず(練習できないときの私は、大抵、めちゃくちゃ不機嫌)できなかった股関節の異常への対応が出来たことが嬉しかった。たっぷり時間をかけてやったので、まあまあいい感じに近づいてきた。これはいいことだった。また明日から日常に戻らねば…Photo

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2009年6月24日 (水)

夢追人・7 ~現実に磨かれていない夢なんて…~

 いい年をしていまでも夢を追いかけている。もう十二分に現実の厳しさがわかる年になっているはずなのにである。でもねえ、私は思うんだよ。現実が厳しくったって、夢は見れるってね。

 子供の頃なら、誰だって夢を見ることはできる。周囲に保護されているから、「とても夢なんか…」という状態にならずにすむしね。でも成長するにしたがって、自分の夢を追うには大変なパワーが必要だということに気がつく。いつまでも他人は、自分にかまってはくれなくなるからだ。

 人はそれぞれ、自分の荷物を背負っていきていかなければならない。そうなると、なかなか… あとは自分で自分の夢を追いかけるだけの努力をしていかなければならない。足りないものがあれば、自分でそろえていかなければならない。なかなか大変だ。大きくなっても夢を追いかけようとしたら、すべては自分から行動しなければ(もちろん、計画立案も含めて。経済的問題もである。時間は当たり前だね。などなど、たくさんある)何も始まらない。

 だから指示待ち族なんかだったら、「夢を語る資格」すらなくなってしまう。自分から動く習慣を持っていなければ、せいぜいが他人にうまく使われるだけだ。夢を見なければ、他人の指示通り動いていれば、なんとかその日、その日が過ぎていくもんね。これってけっこう楽な生き方なんだよ。だから、子供の頃見ていたはずの夢を、人生の途中で捨ててしまう人がたくさんいる。

 現実というものは、どうして夢を捨てさせるのだろうか? 夢を追い続けることができる人間なんて、資質的に恵まれたごく一部の人間にしかできないと、思わせてしまうのだろうか。それがまた違うんだよね。現実は夢を捨てさせたりはしない。現実に対応するために、人間の側で勝手に夢を捨ててしまうんだよね。

 素質なんていうものは、人はやってみなけりゃわからないし、やり方 によってはいろんな努力のしかたがあるしねえ。だから私なんか、現実にぶつかって磨かれて、それでも見続ける夢じゃないと、意味がないんじゃないかと思っているよ。口で語るだけの夢なんて、夜寝てみる夢と、大して変わらないんじゃないかとね。

 今日は、企業戦士YAMAZAKIのりで書いてしまいました。でもこれって、本当のことなんだよ。すPhotoくなくとも私はそう信じている。

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2009年6月23日 (火)

出馬要請

 う~ん… と考え込んでしまった。東国原宮崎県知事のところへ、出馬要請があったのだそうである。でもまだあの人は県知事の任期の途中でしょうに。県知事になったからには、少なくとも自分の任期一杯でしなければならないことくらい予定してあるでしょうに。

 どうしてこういった強引なことをやるのかな? 東国原宮崎県知事が宮崎のセールスマンとして、宮崎県に多大な貢献をしているらしいのは、マスコミを通じで知っている。でも国政に今出ていって、何をどうさせようと考えたわけ? 今度は日本のセールスマンをさせるわけ? 私にはわからないなあ。

 それとも確実に勝てそうだから指名したのだろうか。そんなにも人材がいなくいなってしまったんだ。変な動きをしてしまうと、それが人材不足だということを証明してしまうんだけどねえ。政治の世界に本格的に飛び込んで、僅かな年数の人を、人気がいいからというので出すんだとしたら、この政党はもう人材もいなければ、正常な判断力すら疑わしいよ。

 それに答えて東国原宮崎県知事は、なかなか強烈な条件を出したらしいが、じゃあ条件を呑んだら、そこから出るわけ? いくらなんでも総裁っていうのは強烈すぎない?(ようするにそこまで腹を据えて言っているのか、とたしなめているのかも知れないけど)

 まあ先日の都議会議員選挙の応援で、総理大臣が「惜敗を期して」などとやっていたのを見て、「こりゃあかん」とは思ったけどね。この総理は高速道路の料金を下げるという、大変画期的ないいことをしてくれた。でも言葉が全然、心身ともに身についていないという感じを受けた。

 これで英語が得意だってんでしょ? ほんとかねえ? 母国語の日本語がいい加減なんだよ。英語が得意ったって、自ずとねえ… 母国語よりは上手くないだろうから。すると英語で何を言っているのか、心配になっちゃうよ。政治家なんてのは言葉で政策を語らなければならないんだから、言葉は大切にしなければ。

 そうそう、昔こんなことがあったのを思い出した。中国のホテル(今はこのホテルは潰れて、存在しない)で、ある中国人男性が英語らしい言葉を喋っていた。ただ単語を並べただけで、文章にはなっておらず、意味もまったく不明だった。

 英語が喋れるというと、採用されるとき、給料が上がるんだよね(もちろん、日本語もだけど)。それで英語がわからない人事担当の前で、英語の単語を並べただけで採用になったのではないかと思う。やれやれ… ちなみに本当にアメリカ人(私の友人)が来たとき、この男はほとんど相手をしていなかった。きっと逃げ回っていたのだろう。

 私が見たときはたった1回、他の従業員に連れられてこの男がやってきて話をしようとしたが通じず、私があほらしいから知らん顔をしていたら、このアメリカ人の方が私に話しかけてきて、結局私が通訳してしまったことがある。私に通訳料金を払えよ!

 人気のある人を候補にしようとするだけって、ほんとは英語が喋れない癖に、英語が喋れるようなふりをして採用されるのとよく似ていない? だって東国原さんの力に期待しているわけではなくて、人気にだけ期待しているんでしょ。それって英語が喋れる(喋れないのに)というない自己申告だけで採用して、実際には使わない(使えない?)のと、結果的に同じことになるからね。まあ件の中国人はのらくらしていて、他人よりたくさん給料をもらえるんだから、よかったんだろうけどね(でもこのホテル、営業開始後わずか数ヶ月で潰れた。最後は数か月分給料を払っていなかったというから、報いを受けたような気がする)。

 東国原宮崎県知事のように、宮崎県にとってプラスの大きな人を奪うだけ奪って、結局、その力を十分に振るうことが出来ないかもしれない(たぶんできないだろう)ところへもっていくんだろう? 宮崎県にいればけっこう頑張れるのに、それをただ選挙で有利に闘いたいからぐらいの理由だけで引っこ抜くって、折角生きて活動しているものを、飼い殺しにしようとしているだけじゃない。

 そんなことをするほど人材に余裕はいないでしょ。わけのわからない若い人(おおかたの普通の人よりは見識が低いと思うS)まで代議士にして、もっとほかに使える人材はいると思うんだがねえ。出馬要請するのなら、すでに人気を持っている人ばかりに頼るんじゃなくて、まず身の回りから育てなきゃ。

 人材が育てられないところだったら、いずれは人材不足になるのは目に見えているんだから。これ、プロ野球なんかでもよく言われるでしょ。よそのチームで力をつけた選手を、金にあかせて獲得するだけだったら(最近はいい若手も出てきているみたいだ。これはいいことだと思う)、嫌がる人だって結構いるし、当たり前だと思うけどね。

 ま、出馬要請たって、要請を受けるかどうかわからないし、どうなるかわからないけど、なんとなくただの話題作りくらいにしか、私には見えないね。もし本気でやって いるとしたら、本当にPhoto人材がいないんだなと思う。

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2009年6月22日 (月)

酒はすべてを解決する…?

 すっかり梅雨というか、時に30℃を越える日があるようになったが、我が家ではまだ夜はお粥である。もう面倒なので、中華粥のテキストも見なくなった。疲れ果ててへろへろで帰宅しても、手を洗ってうがいをしたら、自動的に厨房に立つ。習慣はなにごとも可能にするというが、恐ろしいことである。

 紹介していた頃よりも更にヴァリエーションが増えたが、相変わらずある程度作りかけたら後はビールをプシュっといわして呑み始める。テキストには、やれ30分弱火で加熱だとか、20分過熱だとか書いてあるが、まったく無視である。何をしているかといえば、酒を飲み続けているのである。

 酒なくして何の人生か!? 酒こそ人生である。我々のクラブの事務長N氏はお酒がまったく飲めないが、それでも飲み会につきあってくれる。大変ありがたい。これは体質の問題なので、無理強いはしない。いやたった一度、私は彼がお酒を飲んだのを見たことがある。それはある年の冬の合宿でのことであった。

 だいたい合宿の夜は楽しくどんちゃん騒ぎするのであるが(選手のみなさん、ごめんなさい)、やはり季節季節の美味しいものと、美味しい酒が不可欠である。この時私が持参したのは、大恩人Hさんからいただいた猪(中国で言う猪=豚ではない。野生の猪である)肉と、鹿の肉と、私が「これは美味しい」と思った美酒を数本であった。

「これで蝶々がいたら、猪鹿蝶だ」などとバカなことをいいながら呑んでいたのだが(誰が蝶を食べるんだ? どうやって食べるんだ?)、そのうち酒など飲んだ姿を見せてくれたことがないN氏が「少しくれてみる?」と言うので、大喜びで淹れた。それがほんの少しである。薬ぐらいの量でしかなかったのだが、N氏は翌朝まで沈没してしまった。いやアルコール分解酵素がないということは恐ろしいもんですな。

 でも飲み会には欠かさず顔を出してくれ、私は感謝している(車の運転をしてくれて、ありがとね)。でもこういったケースは稀であって、私は普通はお酒を飲まない人をあまり信用しない。諸葛孔明も『諸葛家家訓』だったかなんだったかで、人間の本性を見極めるには、酒を飲ませて本音を語らせろというのがある。本音で語るのが大好きな私は、酒の席が大好きだし、ほとんど毎日お世話になっている。

 お粥が出来上がるのを待つのもお酒である。かつて「時間がすべてを解決してくれる」と言った人がいたが、今では完全にこれは言い逃れだと思っている。もちろん、時間がかかることもあるが、ただ時間だけが解決してくれているわけではない。長い時間の中で努力しているから課題が解決できるわけであって、何もしなければ何も起こらない。

 だいたい「時間がすべてを解決してくれる」なんて、失恋したんじゃないぞ!! 時間はその事件を過去に押し流すだけで、何も解決してくれない。『読むだけであなたは身を守れる』でも書いたが、他人が腹を立てるようなことをしたまま侘びもいれず、翌朝「おはよう!」なんて言ったら、張り倒してやりたくなる。

 問題は解決しようとするから解決するわけで、解決しようとしないところには解決などはありえない。時間がすべてを解決してくれるなどというのは、本物の人生を歩いていない甘ちゃんである。でも酒は、少なくともお粥ができるまでの時間を解決してくれるよ。酒を楽しんでいる間に、お粥はたいていいい具合に出来ているからね(その分、私の腕が上がった? だいたい勘でできるようになったから)。

 でもお酒もすべては解決してくれないよね。中でも体調が悪かったりすると、お酒は解決するよりも先に、人を睡眠に導いてしまうから。睡眠は睡眠不足解消にはいいけど、仕事が残っていたりしたら、余計に切羽詰った状況にするだけだからね。でも最近、なんだか無性に呑みに行きたいなあ。

 岡山にいると安心して呑みにいけないから(仕事がどうしても頭をちらつくんで)、どこか遠くへでもでかけて呑もうか。呑むと車の運転はいけないので、どうしても宿泊を伴ったりしてしまいますな。それでもこういうときのお酒も、いいところで呑むのはいいもんだ。その地の美味しいものでも肴にしたら最高だね。少なくとも酒の方が、時間よりは多くのものを解決Photoしてくれるというのが私の実感だ。

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2009年6月21日 (日)

パンダ年~っ!!??

 昔々のことである。私がまだまだ若かった頃、中国では辰年の辰を、空想の生き物だからパンダに変えようとしただの、変えただのと聞いたことがある(変えていたら大熊猫年?)。1970年代だったかだ。当時の中国といえば、文化大革命が行われた時代で、何よりも実在のものが重んじられた結果ではなかったかと思うが(当時の悲惨な様子は、今では多くの書物で書かれてある通り。まだ現地では発売禁止となったままのものもある。その割りに香港あたりでは売っていたりすPhoto_3るけれど。台湾はもちろんのこと)、それを聞かされた私はコケそうになったことがある。

 もともと十二支ってのが何で出来たのか、私はよくわかっていなかった。まさか山上たつひこ大先生の『ガキでか』みたいに、「いぬ時ねこ分ネズミ秒」なんて言っていたのでもあるまいに、なんてことを漠然と思っていた。ところがどっこいしょ、あれからすでにン十年経過。自分であちらの本が読めるようになってみると、驚きの事実が浮かび上がってきた!!

 もともと古代人は動物崇拝というものがあったようで、それはアメリカインディアン(原住民)にも古代中国人にもあったという。その中には早くから人類によって家畜化され、人類の生活に貢献してきたもの(馬、牛、いぬ、豚、羊、鶏などなど)や、人間にとって強敵であったり、害を与えたりするもの(虎、蛇…蛇ってそんなに人を襲ったりしないけど、やっぱり毒蛇に噛まれると、死んだりすることもあるから…など)や、比較的自然界で身近にいたもの(鼠、兎、猿…サルについては星野之宣さんのマンガ、宗像教授シリーズの『桃太郎異聞』によると、原始時代、サルは人類の生存競争のライバルだったという説が面白く描かれている。これはなかなか面白いので、読んでみられたらと思う。舞台はなんと、我が故郷・岡山でございますが…など)、そして想像上の生き物(辰ですな。きっと竜巻やなんかから、あれは神様の力を持った生き物が起こしていると想像したんでしょうな。不思議なことに中国では龍は神さまなのに、ヨーロッパでは悪魔ということになっている。これはキリスト教発生以前のギリシャ・ローマ神話ですでにそういうことになっている。不思議だ…)を対象にしたものらしい。

 動物には人間にない能力があったりしますからな。それを畏敬の念を持ってみていたんでしょうな。それで追儺(ついな)の踊りに登場するときには、十二支の動物達は十二神となって登場するんですな。その踊りの中では、「凶事」と遭遇したとき、これを「吉」に変えるような意味がこめられていたんだそうでございますが、十二支というのは同時に十二方位にも相当しておりますよな。するってえと、なんとなく方位によって吉凶を占った古代の考え方の底辺にも影響を与えておるような気がしますな(陰陽五行とはまた別に。それとも陰陽五行の底辺にも流れているかも。これはあくまで私の想像ですけど。

 まあいずれにしても、古代の動物崇拝が十二支のもととなった、あるいは大きな影響を与えたのは間違いないところでございましょう。ところで広大な中国には様々な民族がいて、四川省の大涼山あたりには彝族(イーぞく)と呼ばれる人たちが住んでいて、この人たちは十二獣紀日暦というのを使っておるのだそうで、それは鼠日、牛日、虎日、兎日…と十二支がそれぞれ曜日かわりにつけられていて、「おい、明日はは羊日だったなあ…」なんてやっているらしいんですな。これが3回りすると1ヶ月で、36日。したがって1年が10ヶ月で進んで行き、これを「十月暦」というのだそうでござります(そういえばマヤなんかでもけったいな暦が使われていましたっけ)。

 これが十二支に影響を与えたのはまず間違いないというんですが、それにしても『ガキでか』のこまわりくんよろしく、「え~っと、今日はサルの日だから、明後日は狗の日かあ」なんてやってたんだよね。おもしろいもんだ。まるで、いぬ時たぬき分きょん秒みたい。

 でまあ、パンダってのは今でも中国では十二支には入っていない(私はよく「年飾」という、その年のお飾り…日本の正月の飾りのように捨てたりしないで、その年中ずうっと飾っておく…を仕事場にでかでかと貼ってあるので 、年を間違えたりはしない)。でも今の中国の絵描きさんは、どんな動物を描いてもコロコロと丸々しく(この形容詞は中国人留学生のLさんに教わった。「丸々しい」…なんとなく感じがよく出ていますなあ)、牛だろうが鼠だろうが、それどころかクリスマスのサンタクロースであろうが、みんな同じような顔をしておりますPhotoんですけどね!!

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2009年6月20日 (土)

読むだけであなたは身を守れる・3 ~兵法としての護身・2…目的意識…~

 昔々、まだまだ私の血が熱かったころ、私もご他聞に漏れず、いろいろと身体を使ったトラブルの解決(?)をやったことがある。今は完全に平和主義(?)になって、身体も丸くなれば、心も丸くなってしまったが、それでも若気の至りが教えてくれたことは山ほどある。「若気の至り」という言葉がある通り、若い頃は、多少は失敗もした方がいいのではないかとさえ思ったりすることもある。もちろん、たった一度の失敗で、人生を台無しにすることもなくはないから、やっていい失敗と、やってはならない失敗は当然のようにあると思うけれど。

 実のところ私は若い頃、護身術に興味を持ったことがない。なぜかというと、自分が強くなるのに一所懸命で、「護身術?」というのがピンと来なかった。稽古で毎日身体を痛めつけていたら、かえって「護身術」などからは発想が遠くなっていたように思う。その代わりトレーニングの本とか、稽古関連の本はたくさん読んだ。バカ正直な方だから、書いてあることを練習してみたこともある。(でも道場で稽古した方が、はるかに早かったけどね。現実問題として飛んでくる拳や蹴りは、思考錯誤の時間を与えてくれない。そしてそれが社会で起こることに一番近かったから)

 少し腕に自信がつくと、わざわざなんとなくヤバイ場所にでも行ってみる。若気の至りをたくさん経験したのは、そういうときである。でも『読むだけであなたは身を守れる』に書いた言葉でいうと、それは「本来の自分」を見失った姿だったと思う。「若気の至り」の時代が終わって、10年もたった頃それに気がついた。私は自分が臆病だということを知っていたのに、現実問題として気づくのに10年もかかったわけだ。

Photo 『読むだけであなたは身を守れる』で、「自分を知ろう」という言葉は何度も出てくると思う。それは『孫子の兵法』にある「知彼知己百戦不殆(彼を知り己を知らば百戦してなおあやうからず)」でもある。臆病な自分を知れば、臆病な自分がマイナスに作用しないように生きればいいだけのことである。

 生まれつき勇敢な人もいると思うが、「勇敢=優れたこと」 で 「臆病=つまらないこと」 ではないと思う。もしも生まれつきそういう性格があるとしたら、そのどちらにも意味があるはずだ。何かがつまらないと思え、そのことの意味を考えることなく、ただ全否定してしまったら、せっかく与えられた自分の個性を理解することなく終わってしまう。

『読むだけで…』の中にも述べたことだが、臆病だから生き延びることができ、勇敢だから生命を落とした例なんて、人の世が始まって以来ごまんとある。歴史書を読んでもそんな例は列挙するのがたいぎになるくらいある。臆病だったら慎重に生きればいいだけのことだ。逆に勇敢な人の方が怖い。慎重になるべきところを、つい自分の勇敢さに負けてやっちゃうことがあるからね。

 歴史書や、それを基にした小説なんかでもあるでしょ。退却していく敵軍を追撃するときのことが。勇敢な武将が追撃したら、よくやらなくてもいい追撃戦になってしまうよね。それで伏兵なんかに敗れ、討ち死にしたケースだって少なくはない。逆に臆病と言われても、慎重だったから最後まで生き延びたってケースは少なくないよ。

 だから臆病だったら、それに見合った慎重さを身につけた段階で、臆病さをカバーするだけの能力を身につけたと言える。でも勇敢な人だったら、その勇敢さゆえに慎重さを身につけるのは難しいかもしれない。格闘技でも威力抜群の必殺技を持っている人が、必殺技に頼るあまり、ガードが甘くなって、「あれっ?」というような負け方をすることがあるけれど、似たようなものだよね。

 私は「強さ」は「弱さ」、「弱さ」は「強さ」とよく言うけれど、実際にこんな場面には何度も出会ったからなんだよね。この人がもう少し弱かったら、きっとこんな失敗はしなかっただろうに、なんてね。

 だから『護身』を考えるときにも、強い自分を意識におくのではなく、弱い自分に意識を置いたほうがいいと思った。だいたい本文中にも書いてあるけれど、「強い、弱いは相対的なもので、絶対的なものではない」から(これはまたそのうち、「虚実の理論」で書くつもり)。

 そこで『兵法(ただの戦の方法ではなく、人生の様々な場面で、有意義に使えさえすれば、大変に有用です)』としては、今まで現れた兵法書の中で、最も完成度という面において優れているのではないかと思う『孫子の兵法』を主体に書いたんですな。

 俗に『兵法書』というと『孫呉の兵法』というくらいで、戦国前期に現れた呉起(ご・き)という人の兵法書、『呉子』も有名なのだけど(この人は戦国時代、魏国に仕え秦を破り、魏王の死去に伴って楚国に仕え、ここも強国に育てあげている。実践では抜群に強い兵法家だったが、楚王が死去した際に、反乱軍によって射殺されている)、『呉子』は闘う兵士個人個人の戦闘力を高めることに、その高い戦闘力が依存しているので、敢えて使わなかった。

 なぜかというと、これは現代に生きる我々が、いつ出会うかわからない(幸運に恵まれれば一生出会わないかも知れない)犯罪に備えて、日々肉体と精神を鍛えまくっているようなものだからである。これは現代を生きている我々には相応しくない。我々はそれぞれ毎日を忙しく生きており、いつ遭遇するかしなかわからないようなもののために、貴重な時間と体力を浪費するわけにはいかないからだ。

 だから私は『孫子の兵法』を基盤にした。『孫氏…』では勝敗は「勢」にその原因を求めて、兵士の強さには求めない。もちろん兵書的には、『孫子の兵法』の方が『呉子』よりも古いので、その分大らかなのかも知れないけれど。

 ここでいう「勢」というのは、ただのやる気なんかではない。もちろんそれも含まれていないわけではないが、周囲の状況であったり、環境、タイミングなどである。例えば高いところから低いところを臨めば、闘いは有利なんて書いているけど、これは地形的に有利と書いているだけだ。追い詰めてしまえば敵は必死で反撃してくるなんてのも、追い詰めることで本来こちらが有利になるはずのところで、敵に「勢」が生まれてしまう、なんてことを書いている。

 こういった状況や環境、人数などの違いなどによって生じるもののすべてを「勢」と言っているわけだ。そしてその「勢」をコントロールすることができれば、強兵でなくても勝てると書いているのである。

 私が「女性や子供にもできる護身術」ではなくて、「女性だからできる護身」、「子供だからできる護身」を『読むだけで…』で取り上げたのは、実はこの「勢」を分析した結果なのである。「勢」はいつも体格や体力に恵まれた人間の側にあるわけではない。「勢」はコントロールできる。そして「勢」をコントロールするには、格闘の練習ではなくて、日常生活の中でいかに生きるか(注意深く観察し、特徴を理解するなど)の方が大切なのだ。

 ノネズミはキツネと闘争したのでは勝てない。広場で走って逃げても勝てない。でも野原の小さな穴倉で勝負したら、十分にキツネに勝る。これはその場の「勢」をノネズミの方が支配しているからだ。そして「勢」を支配した結果、ノネズミは生き残ることができるけれど、これはキツネを倒したからではない。

 実はここに「護身」の目的がある。私はそう言っているだけ。だから技を中心に紹介した「護身術」の本ではありませんよ。むしろ本屋さんでは、格闘技や武道、スポーツ関係のコーナーではなくて、実用書か教養書か何かのコーナーへ置いてくれたほうがいいですよと思っているわけ。

 相手を倒したければ格闘することになるだろうけど、自分が助かりたければ、別に闘う必要はない。その場の「勢」をコントロールできれば、自分の身は守れる。そういうことの例はいくつも挙げていると思う。どうしても闘わなければならなくなったときのことにも、少しは触れているけれど、それは「勢」のうちの僅かな部分でしかないし、それも練習はほとんど必要ないと思うし。

 格闘技やっていたって、襲う側になれば強くても、油断しているときにいきなり襲われたら大変だよ。立場がまったく違うんだから。昔『地上最強のカラテ・2』という映画の中で、ウィリー・ウィリアムスという黒人の空手家と(全盛期の実物を会ったことがあります。でかかったよ。握手してくれて、愛想はとてもよかったけど)、灰色熊が格闘するシーンがあったけど、我が家で母と見ているときに、私は思わず言ってしまいました。

「この映画は、ヒトが熊を襲う、大変珍しい映画だ」と。もちろん、ウィリー・ウィリアムスという人の全盛期の強さがどんなに桁外れだったか、目の前で見たし。「ちょっとこんなの、同じ人類じゃないよ」と思ったけどね。まるでアロサウルス?(尻尾がないだけで、背の高さもあのくらいかなあ、アロサウルスも…失礼!!) でもグリズリー(灰色熊)の方から襲い掛かっていたとしたら、結果はまた違ったものになったと思うし。

 襲うばあいと襲われる場合では、状況はまったく違いますね。だから難しいんですよ。でももし何かのスポーツや格闘技、武道などをやっていた人が、襲われて身が守れたのなら、相手をノックアウトしたりできなくても私は習っているものの恩恵にあずかっていると思うよ。

 生命を落とすところが怪我ですんだ。もしかしたら怪我したかも知れないところが、怪我もなかった。その僅かかもしれない違いの中に、練習で得た身体の使い方、心のあり方なんかが活きていたかもしれないからね。だいたい無事でいたのなら、護身の目的は達成できているし。犯人を捕まえるには、「連環の計」をかければいいわけだし(犯人の特徴などを関係機関に言って、捕まえてもらうわけです。身が守れるのが、連環の最初の一歩になります)。

 私は誰もが、理不尽な犯罪の被害者になって、不幸にならないですめばいいがなあと思って、この『読むだけであなたは身を守れる』を書きました。それはどんな形でもいいから、まずあなたが無事でいられるのが一番大切なことなのです。

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2009年6月19日 (金)

錆びない勾践剣

 呉越戦争で有名な越王勾践の剣を、写真だったが初めてみたとき、あまりにぴかぴかだったので(すぐに実戦で使えそうなくらい)、模造品の得意な国だから、誰かが再現したものを飾っているんだろうな、くらいにしか考えていなかった。ところがどっこい、知ってしまうと恐ろしいもので、出土した時からピカピカだったという。

「そんなアホな…」と思ったが、何冊か越王勾践の剣について書いてある本を読んで、「不思議なことがあるもんだ」と思うようになった。というのは当の中国でも、「どうして錆びなかったのか」を研究している人たちがたくさんいると知ってからである。やっぱり中国でも不思議な現象だったんだ。あ~、安心した(安心まですることはないが)。Photo

 よく出されている例だが、上が越王勾践のライバル、呉王夫差の矛の先端部分である。ここでグサっとやっていたところなんですな。もちろん、王様がそう簡単に最前線に出たかどうかという問題はあるけれど。兵士や将軍には代わりはいるが、王には代わりはいないというのが一般的な考え方だから。

 下のが問題の越王勾践の剣でございます。所謂「銅剣」でありながら「天下一」と称するむきもあるらしい。だいたい紀元前500年くらいの作だ。ということは今から2500年くらい前である。

 自然界では変質しにくい金属といえば、有名なところが金銀だが(長い時間、変質…錆びる…することで量が変わらないので、経済の基準にされたんだそうだ)、銅は大きな神社の屋根は銅張りで、緑青がついていたりするので、銅はどうやら錆びるものだということは、私なんかガキの頃から頭に刷り込まれていた。

 ところが2500年前から変わらなかったとすると、これはびっくり!!の世界である。だいたい勾践の剣は、1965年冬に湖北省で出土した。出土した時から、ピカピカの状態で、剣を覆うひし形の模様には硫黄がついていたので、2500年前の人たちはすでに錆びを防止するために硫化処理をする技術が大変高度になっていたといわれたのだそうだ。

 ところが近年になって、硫化処理しているとはいっても、硫黄の含有量はわずか0.5%程度のものであって、剣格とか剣身などの部分では硫黄が検出されないということが判明した。そこでこれは古代人が錆び防止に硫化処理をしたのではなく、埋葬した死体や、絹(当時の貴人の衣服はたいてい絹製)、供え物などと言ったものが腐敗したときに発生した硫化物が付着しただけではないのかという説が唱えられた。

 するとそういった硫黄が付着していない部分は錆びていなければならないはずである。にもかかわらず錆びていないということは、他のところに原因があるはずだ、と考えた結果、埋葬されたところが地下数mと深く、空気が入れ替わることがほとんどなかったのではないかという点にいきついてしまった。

 現実に現在、それなりの環境を保って展示してあるはずなのに、この勾践剣は、出土した時よりもくもりが出ているのだそうである。博物館の保存状態の方が、越王勾践の墓(彼は紀元前465年に亡くなっている)よりも剣の保存に関しては劣悪な環境といえるらしい。

 やれやれ。我々は2500年前にくらべて、大して進歩したとは言えないようである。なんて、ね。

参考文献→http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2008&d=1218&f=national_1218_001.shtml&pt=large

 でも私は、現代で作られた勾践剣は100年ほどで錆びるんじゃないかと思っているけどね。Photo_2

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2009年6月18日 (木)

マンガ好き・17 ~10年ぶりの恋人『企業戦士YAMAZAKI』・8…帰る場所…~

 人生が「流離」なのか、それとも「旅」なのか、私はよくは知らない。大学生時代は「旅じゃないよねえ」なんて考えていたけど、これはきっと日本から脱出することを考えていたからだろう。旅とは出発点へ帰ってくることであり、出発点に帰ってくることを考えなければ流離ではないだろうか。落葉帰根なんての、基本的に「旅型」の人生の考え方なんだよね。

 帰る場所があることは幸せだ。帰らなければならない場所があることは、もしかしたら不幸なのかも知れないけれど。私はかつて「帰宅拒否症」の人間を何人か知っていたから、帰りたくないのに帰らないといけないとしたら、結構厄介だ(それがまったくわからないわけでもない自分になってしまった。不幸な体験だったかも知れないけれど、経験は自分の人生を豊かに12してくれたと信じたい)。

『企業戦士YAMAZAKI』 の採集12巻は、いろいろと考えさせてくれた。12冊、どれをとっても私には大切な教科書であったけれど、12巻は特に思い入れの強いものである。BUSINESS67での私が選ぶ名言は「人間とは 他者との関わりを通して 初めて自己を確認できるもの。その意味において 人は誰もが歯車のひとつです。他人に勝手に回されたくないのなら 自ら『駆動する』歯車になればいい」 はい、その通りです。今の私がこうあるのは、自分で動く歯車に、いつもなろうとしていたからなんですよね。

 この巻の最後ではYAMAZAKIは倫子ちゃんとも別れて、お互いの道を見つけてあるこうという(YAMAZAKIはスクラップ同然なのだが)話になるので、最初はただの不良娘(じゃないけど)だった倫子ちゃんも、なかなか素敵なお嬢さんになっております。BUSINESS68の匿名でメールを送りつけてくる人間に(実は派遣先の社員、鎌田。彼は倫子ちゃんに惚れていて、匿名のメールも彼が打っている)言おうとする台詞が泣かせる。

「アタシはこの人に会いたい! 会って直に話をしたいの!! このヒトがアタシの何を知ってるっていうの!? 自分のすべき事が見つからないままもがいているのは アタシも同じよ! そしてアタシには好きな人がいる事も教えてあげる! その人とはいつまでも一緒にいてはいけないと知っている事も! こんなアタシの苦しみを打ち消すほどの愛があるなら 見せてもらおうじゃないの!」 

 だよね~。世の中、何でも私に言ってごらんって顔をした連中が結構いるじゃないか。私も若い頃、よっぽど池に蹴りこんでやろうかと思ったヤツがいる。だいたいテメエのことすらろくにわかっていないやつほど、こんなことを言うしねえ。結局人のことなんか、人にはわかりゃしないのに。だから私は無言でいることが多いのに。話してごらんなんて、おらにはとっても言えねえだ!!

 YAMAZAKIの名言としては「この情報化社会の中で『知識』ばかりを身につけ 自分を活かす『知恵』を持たぬ若者たち… 彼らの苦悩を生んだのは ほかならぬ我々なのであり… その責任を果たさずして ワタクシの役目は終わらない!」があるけど、私は倫子ちゃんの言葉の方が好きだな。

 BUSINESS69では倫子ちゃんの中学校時代の家庭教師をしていた柏村先生ってのが、大学時代のかっこよさのかけらもないぶよぶよの身体になって登場する。有名企業へ就職したはいいけど、職場に適応できないでやけになっている柏村先生に、倫子ちゃんは言う。「まだ先は長いんだよ!」

 ここでの彼女の言葉は実にいい。「アタシね 先生にあこがれてたんだ。ルックスはバツグンだし 一流大学行ってて 頭いいし テニス好きのスポーツマンだし… 14歳の不良少女にとって 初めて出会った王子様だったってワケ! 終わりも単純だった。先生に女子大生のカノジョがいたんだもん」「あの時ほど 自分の無力さを思い知らされた事はなかったなァ だからあの時… 欲しいものは手に入れられる強さを身につけようと決めたんだ」 誰だって自分の無力さを嘆くときはあるだろう。でも私は思うんだ。自分の無力さを嘆いたことがある人間しか、本当の力はつかないんじゃないかってね。

 私も何度も(どころか!)嘆いたよ。その都度、いつつくかわからない、ほしいもんが手に入る力を目指して努力したんだ。それは今でも同じだけどね。他人に与えてもらった力は、他人がいなくなれば消えてしまうことがあるけど、自分で身につけた力は、自分が自分であり続ける限り、いつだって自分のものだからね。

 柏村先生もなかなかいいことを言っているよ。「一流企業に入ることで ボクの人生は完成されるはずだったのに… 結局 会社がエライのであって ボクがエライわけじゃなかった。そしてエラくなりたくてもその方法が見つからない」 お役所なんかには、こんな人、一杯いますよね。自分で身につけた力でもないのに、やたらとえばっているヤツが。役所から出たらただの人以下なのにね。

 キツネならキツネとして生きればいいのに、どうしてもトラの威を借りなければ気がすまないやつが。こういうのを見ると、どうもトラの皮を引っぺがして、キツネ(それも卑怯なキツネ)の正体をばらしてやりたくなってしまう。まだまだ私も若いね…! そんなことをしなくたって、いずれバレていくのにね。

 ここでのYAMAZAKIの名言はなかなかいい。「真剣に生きようと欲するのなら 常に自分の未来を守るために行動し… 同時にまもなく死ぬべきものとして身を処するべし!」 はい、その通りです。まず「いかに死ぬか」を考えれば、いかに生きるかが決まりますもん。でもやりたいことがあるから、それをするためには、それができるように自分の将来を大切に守りますよねえ。現実に社会に出たら、この考え方はとても大切だよ。

 なかでも今やらなければならないことを、間違いなく今やることは、自分のきたるべき将来を守る上では、もの凄く大切なことですな。明日があるなんてヌルイことをぬかしているヤツには、明日は来ないし、明日には死んでいるかもしれないと、毎日目一杯頑張っている人間には、明日がやってきたりしますからね。私が指導者として力をつけているときは、まさに毎日が死に物狂いだったと記憶しておりますな、睡眠時間が平均して3~4時間しか取れなかったし。

 ハッピーエンドの台詞もいい。柏村先生がカウンセラー目指して勉強しているのに、何もカウンセリングらしいことができなかったと反省する倫子ちゃんに、「ちがうよ カウンセリングに必要なのは 理論や戦略じゃないんだ! 大切なのは キミがそこにいる事 なんだよ 倫子ちゃん」 その通り、カウンセリングしようがどうしようが、結局は本人がナントカしていくもんなんだからね。誰かが見ていてくれると、頑張れるもんなんだよ。

 BUSINESS70からLAST BUSINESSへは話がつながっている。ここではYAMAZAKIはかつて自分が勤めていて、過労死した会社へと帰ってくる。そこにはすでに役員になった、かつてのライバル新堂源一郎が待っていた。この会社へ来たことを知らされていなかった倫子ちゃんは怒る。「オッサンを過労死させた会社のために どうして働かなきゃなんないんだよ!! オッサンにとってこの会社は 一体なんなんだ!!」 それに対してYAMAZAKIは、「今こそ それを確かめるために帰ってきたのです」。 そう! 確かめるために帰って行かなければならない場所って、確かにありますよね。

「ワタクシは答が出せなかった数多くの後悔の中で生きてきたのです。後悔はワタクシにこう告げる。手段を尽くせ 答えを出せ と。 その先にあるものは2つにひとつ。希望…あるいは絶望。どちらにしろ それが真に生きた証なのだ…と!」 私は若い頃にこのマンガと出合って幸運でした。おかげでYAMAZAKIのように、過労死してから考えるのではなくて、生きたまま「これでいいのか、こうしてよかったのか」といつでも自分に問いかけることができましたもん。

 例えば私のライフワークである身体運用の研究なんかでも、いつだって「手段を尽くせ。答えを出せ」ですもん。自分にできるあらゆる手段の中から、客観性・普遍性・再現性を持ったものを探し出していくのです。長い間このマンガを見ていなかったけど、連載中に読んでいたのが、きっと私の真相意識の中で生きていたんだろうね。

 BISINESS71では倫子ちゃんにとても有利な就職の話が持ち上がる。これはYAMAZAKIが気を配ったことではあったのだが、倫子ちゃんはこれを蹴る。この蹴り方がいい。ただの反発でないところが一番いい。「アタシ… そんなつもりで今までオッサンにくっついてきたんじゃないよ。言う事は古臭いけど 全部がシャクにさわるほど筋が通ってる。まっすぐに生きる事の大切さを オッサンは教えてくれた。そしていろんな人と出会うたびに… 少しずつでも自分の道を確認したり固めたり… ただの不良娘だったアタシでも いつかはキチンとした道が作れるかもしれないと思って こうして6年間も…」「しかしね倫子さん コネを活かすことは必ずしもアンフェアな事とは…」「余計なお世話だっちゅーの! アタシはあくまでも一人の人間 鹿島倫子として世の中に挑戦したい!」 う~ん……

 機能が限界にきたYAMAZAKIが貴理香に直してもらうとき言うことばが、この言葉の対句である。「人間にとって一番つらいのは… 自分自身を己の敵にまわしてしまうことですよね」 その通りでございますよ。だから倫子ちゃんは一人の人間として挑戦することを選んだんだもん。

 そして新堂とYAMAZAKIが昔話をするのだが、ここで新堂が汚いテを使っているのがわかる。自分の恋人だった女性を、YAMAZAKI(生前は尾崎)に嫁として贈り、自分は出世のための婚姻をしたということを話したあと、新堂とYAMAZAKIの会話に倫子ちゃんが割りこむのがいい。

「だが尾崎よ… お前にオレが非難できるのか…? オレたちの世代は皆過酷な競争を世の中に強いられてきたよなァ 人余り世代の超就職難… 急激に成長する社会の中での 熾烈な出世競争… 働くことだけが自分の存在を証明してくれる そんな中でオレたちは必死になって生き残ってきた」「おっしゃるとおり ワタクシにはアナタを非難できない。 しかし…」 ここで倫子ちゃんが割り込んでくる。「あっはっはーっ! バッカみたい!! あたしは断固否定するね!お金だ 地位だ 名誉だ いくらそんなもの手に入れたって 一人ぼっちじゃしょうがないじゃないか! 喜びを分かち合える大切な人がそばにいてくれなきゃ どうやって幸せを実感できる? そうだろ? オッサン」 いいなあ。こんな単純明快なことが、臆面もなくズバッと言えて。いや、私もよく言うんだけどね。

 LAST BUSINESSではYAMAZAKIは自分のレプリカ、黒崎と戦うことになる。あらゆる面でYAMAZAKIの改良型を相手に、圧倒的に不利な闘いを展開する中、最後の瞬間YAMAZAKIは思う。「後悔…? そんなもの もうありはしない。調べによると妻の香織は今や自らの料理学校開校という夢を実現しつつあるらしい。娘の実里も来年には中学生…ワタクシにはもうすべきことがない。最後に残ったのがこの瞬間… 己の影とオトシマエをつけ すべてを終える事!」 やるべきことをしたものは後悔はないという。私もいつかは後悔のない状態になりたいものだ。

 最後の戦いを終えたYAMAZAKIは、陰で不正をしていた新堂に、辞表を提出するように言う。そしてそれがビジネスマンとしての最後のチャンスだとも伝える。それを聞いた新堂は「まさかおまえ… 危険を冒してまで集英商事に戻った理由は…」「人を活かすことによって自分も生きる事が ビジネスの本道なり」「昔…お互いをはげましあったセリフだ…」ここには「勝ち組・負け組み」などというくだらない発想はない。せめてマンガが大好きだという某総理大臣は、この作品を読んでいるのか? 読んでいたら、もう少しはましなやり方があるんじゃないのか?

 倫子ちゃんとの別れを迎えたYAMAZAKIは倫子ちゃんに、最後に一つだけ教えてと、この国のこれからを尋ねる。それに対する答えは、残念なことに今のところ実現していないが(この作品の中で、多くの新商品を予言してきた富沢順さんにしては珍しく外している。もっとも政治家の質がねえ…!!)、願った方向に人は進むということを言うのに、「鳥が空を飛べるようになったのは偶然ではありません。彼らは空を飛びたいと強く願い続けた結果 自らをそのように変えていく事ができた。命は その望んだ方向へと歩んでいくもの… 大切なのは想う心の強さでしょう」 

 まさにその通りなのですよ。私も想い続けることで(もちろん「想う」ことの中に、努力することも含まれますが)自分を、かつて学生時代、こうなれたらいいなあと想っていた自分に近づけていっています。想うことは確かに力になります(努力が不可欠だけど)。そして想うことが自分の人生を決めるのです。一度や二度(いや三度、四度、五度、六度…ええい、何百回も)躓くことはあるでしょう。 でも想い続け、努力を続ければ、必ず想っている方向へ進み始めるものなのです。

「では行きましょう。お互いの道を…」 そうしてYAMAZAKIは死んでなおかつ想い続け、そのために働き続けた家族のもとへ帰っていくのである。漏れる油の滲みを残しながら。わたしは最後の「ただいま 今帰ったよ」このコマが大好きだ。そして私もこんな家族が作りたかった… 死んでなお、守る値打ちのある家族が。

 本当にこのマンガに若い頃出会えたのは、私の大きな幸運であった。生き方に関する本もたくさん読んだが、この作品はマンガとは言え、私の中で巨大な影響を与え、現在でも与え続けているものである。こんな素晴らしい作品を描いた富沢順さんという方とお会いしたくらいだ。お陰で私も、いい年をこいてまだ夢を追いかけることができている。

 これは名作である。出来たら復刻版でも出してもらいたいくらいだ。時代は当時とは少し変わってしまったが。去っていくYAMAZAKIに倫子ちゃんが叫ぶ言葉と同じ言葉を、私も言いたPhotoい。「ありがとうございましたァ!!」

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2009年6月17日 (水)

守るべきもの

 最近また内閣の支持率が悪いのだそうである。私は誰が総理大臣をやってくださってもあまり気にする人ではない。たった一つの条件を満たしてくれればである。我々国民が、豊かで幸せに暮らしていければである。それ以上のことを求める気はない。自分の夢は自分で探すし、自分ですべき努力は自分でしていく。ただ何の心配もなく、そういう生き方をさせていただきたいだけである。

 せっかく高速道路料金は良かったのに、どうしてこんなにくだらないことであれこれと躓くんだろうか? 躓く理由なんて私から見たら理解できないことばかり(私が政治音痴のせいもあるのだが、きっと)。なんでワケのわからないことばかりを問題にして、わけのわからない事態に陥るんだろうね?????

 人は幸せになるために努力するんだし、学生時代から勉強するんだと、私は思っている。時に人を攻撃するためにだけ賢いのではないかと思える人がいるけれど、私はこんなのは賢いなんてちっとも思っていない。むしろ敵をたくさん作ってしまうだけ、愚かなのではないかと思ったりする(ライバルを作るのは悪くないこともあるよ。いいライバルは自分を伸ばしてくれるから)。

 個人的に「幸せな人生」を生きるために、人は努力しているんだけど、政治家という人たちはその上に、人々のためにとか、人々を幸せにするために、とかといった、大きな目標を持っておられるんだと思う(そうでなければ政治家ではないよね?)。だから自分の知恵や努力を人のためにしてくださる大変な方々だと思っているんだけど、もしもそうだったら生き方は今よりは違うんじゃないかな。

 やれ選挙で負けそうだから今は解散しないとか、いまは有利だからどうだとか、国民の都合なんてどこに入っているんだろうか? 国民のためにという言葉がちょくちょく聞こえてくるけど、それって自己を正当化するときにだけ使われているような気がしてなりませんな。本当は何も言わなくても、すべての行動が国民のためでなければならないはずなんだけどね。

 すべての行動が国民のためであれば、特に何もいわなくてもいいわけで、わざわざ国民のためというところに、国民のことなんか実は考えていないという態度が見えてきませんかね? 自分のため? 自分の政党のため? あんまり国民はそんなことは考えていないと思うよ。いい生活が安心して送れさえしたらね。

 逆をいうと、いい生活を安心しておくれるような世の中にしてくれた政治家や政党は、別に守ろうとしなくても、国民の方で守ってくれるんじゃないかなあ。誰だってそうだけどね。この人についていったら間違いないという人のところには、黙ってたって、いろんな人が、大勢よって来るもん。

 国民とその生活をしっかりと守ってくださいね。そうしたら国民だって、わざわざその人たちを蹴落とすような真似はしないと思いますから。自分達のことしか考えていないと思ったら、それはどう守ろうとしても、結局は守ってもらえなくなりますからね。特にそうい う仕事を選んだんだから。

 下克上と言われた戦国時代だって、しっかり領民や家臣を守れるお殿様は、いざという時には領民や家臣が守ったんだよ。逆に自分を守ろうとして領民や家臣に厳しくあたったお殿様は、ほとんどがうまくいっていないんだ。能力的に「こりゃだめだ」って殿様は暗殺されたしね。逆にこのお殿様についていさえすればって人は、その殿様のピンチのときにでも、皆で助けたPhotoんだよ。そんなことは歴史の本にごまんと出ているんだけどね。 

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2009年6月16日 (火)

退屈の記憶がない…

 昨日今日と、私が住んでいるところではゴロゴロっとなりまして、とうとう夏になってしまったなあと感じております。とくに今日はなかなか派手に落雷があったようで(光ってから6秒以内にゴロゴロってのが1時間ばかり連続しておりました。危険で外に出られやしない)、子供の頃からあまり雷は得意ではないので、屋内と車の中に非難しておりました。

 ただどこにいてもいろいろとやることは多く、特に車に乗っていたときには、岡山警察のパトカーが続々と飛び出していったので(うち、半分以上が覆面でした)、一体何が起こったのだろうかと心配になったり、退屈はしませんでしたな。

 考えてみると私は、あまり退屈した記憶がありません。それどころかいつも「時間がない、時間がない」といい続けているような気がします。これは現実に時間が足りないので、とにかくどうやって時間をやりくりしようかと思っていますが、悲しいことに時間を工夫して使うことを考える時間すらなくて、結局目の前にあることからやることにしております。

 時々会議などで「退屈だな」と感じるはずの場面はあるのですが、そういう時はきまって「内職」をやっております。これは学生時代からの習慣ですな。お陰さまで皆さん誰かの話を聞いておられるときに、必死で書き物をしていることがあります。時々油が乗ってしまって、会議が終わってもまだ会議場に居残りをしていて、変な顔をされることもあったりします。

 昔から落ち着きのないお子さんでしたから、なんにでも興味を持ってしまう性質だったんでしょうな。そしてそれをどんどん考えていく。いつだったかタンポポの綿毛を数え始めたときは大変でした。周囲のことがまったくわからなくなりまして、人が私を見ているかどうかなんかどうでもよくなって、数えた綿毛だけはハサミで切って短くして、二重に数えるのを防いだりしていましたが、誰かが「ハックショイっ!!」とやった瞬間に、気の毒に私の野望は潰えたりしました。

 でもこの時は腹立ったよ。ちょうど会議中に何かの拍子にタンポポの綿毛が入り込んでいたのを見つけて数え始めたんだけどね。まだあの頃は目が良かったんだなあと思います。中学時代までは天文小僧だったから「遠視」じゃないかと思うくらいよく見えておりました。高校時代に生意気にも「仮性近視」になって、大学受験が終わったらさっさと視力が回復したりして(元には戻らなかったけど)… でも今までずうっと目を酷使してきたような気がするなあ。

 目がいいと、いろんなものを見つけられるから、結構退屈なんかできないよね。最近は退屈しようにも忙しすぎて、どうにもこうにも時間が作れないくらいだから、玩具になるものが見つけられなくてもいいんだよね。

 だからここ何年間も、退屈した記憶がない。たまに休みの日があって(1年に数えるほどしかないけど)も、これは溜まりに溜まったDVDを見るので忙しいし、全部見ていたら1ヶ月くらいはゆうにかかるし。なんとなく退屈なんてことばが傍によってきてもくれない。むしろなんとか暇になってくれえっ!!と助けを呼んでいる。

 退屈しなさすぎてストレスが溜まってしまっているのか、「たまには呑みに行きたい」なんて思うが、これまた呑みに行くにも時間を作らなければいけない(誰か作って!! 仕事よりも優先順を上げて行くようにするから。もう少し、みんなに暇ができたら、またビアガーデンかなんかでパアーっとやりたいね)。家で飲むのと違って、酔っ払ってすぐに寝るわけにはいかないけれど、外で飲むのもわくわくするもんね。(そういえばMさんの海外赴任の歓送会以来、呑みに行ってないわなあ。Mさんとは赴任先近辺で一緒に飲もうかと思ったけど、ビザの関係でできなかったし。また今度、行きましょうMさん!)

 海外にいると少し時間に余裕ができるので(仕事がないぶん。でも今度は付き合いがあって、暇というわけにはいかない。特にアルコールの付き合いは、思わず肝臓を心配してしまうくらいである。でも美味しいので行くんだよね)、少しは寝転がることもできるのだが、これもすぐに本屋やなんかに行って、その時その時の興味があるものを見つけてくるので、それに目を通すだけでも退屈なんかしない。だいたい私は国内外を問わず、「寝た」記憶がない。いつも「気を失っている」ような気がする。

 退屈してみたいもんだと、最近では退屈願望が出てきている。でも退屈しそうだったらまたトレーニングか何かをして、やっぱり退屈はしないんだろうな。そういえば最近また、無性に釣りがやりたくなったりしているし。この釣りがまた退屈とは程遠い遊びなんだけどね。Photo

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2009年6月15日 (月)

美しい土地の不思議なお話

 最初に卓球荻村杯、平野早矢香選手、樋浦令子選手、女子ダブルス優勝、おめでとう!! 平野早矢香ちゃんは、『あなたにもできる! 超人の動き』にも出ていただいたくらいだし、樋浦選手も知らない選手ではないので(岡山県内某所で突然出会ったときにはびっくりしたけど)、本当に嬉しいです!

 なおシングルスでは決勝で残念だったけど、これでまた世界の階段を登っていくきっかけになるといいですね。応援しています。ファイト!平野!!

    *      *      *      *

 話は今回のお話に変わります。昔々『霊幻導師』という映画が流行ったことがある。例のキョンシーブームを起こした作品だ。私はどうもああいうのが苦手で(怖いというよりもグロいので…)、あまり見なかったが、この「死体を呪術を使って動かし、故郷へ運ぶ」という伝説は本当にあったらしい(伝説があったのが本当で、死体が歩いたのが本当だと言っているわけではないよ)。

 今でPhoto_2も見るたびに感動する趙本山の名作、『落葉帰根』の中で語られるように、「落葉帰根 入土為Photo_3安」という思想は、私は大変美しいお話だと思う。中島みゆきさんが『樹高千丈 落葉帰根』でも歌っておられるが、どんなに遠ざかっても、最後は根に帰る。根に帰るためには故郷の土になるという考え方は、私のような人間には、涙が出るくらい美しい話のように感じられる。

 でも こういった思想は一体どんなところで発生したのだろうか? それが『中国未解之謎』という本に出ていた。ちょいとそれを紹介してみよう。ちなみにあちらでは、死体を呪術によって歩かせることを「赶屍」という。

 本来この赶屍は湘西(湖南省西部)で生まれたお話らしい。この地方には苗族(ミャオぞく)が多く住んでおり、苗族というのはもともと山岳地帯に住んでいる人たちで、多くが薬草を採ったり、狩猟をして生計を立てている。

 こういうところでは安定収入が得られず、基本的に貧しい生活を強いらPhotoれる。しかも霧が濃く、悪病が流行して人が死ぬことも多かった。けれども大変に険阻な地形が多く、病死しても死体を運搬する道路が発達しておらず、死体を運搬するのを仕事にする人たちが現れたらしい。

 やはり伝説では、死体に呪術をかけて、夜だけ歩かせるのだという。そしてこういった死体だけの宿は湘西にはいたるところにあるというのである。そして死体を連れて歩いているドラの音が聞こえると、人々は家で飼っている犬をつなぐのだそうである(理由は死体に噛み付いて損壊するから)。

 死体を運送する業者としては、死体を保護するのが最も大切な責任の一つであったという。とくに腐敗はさせてはならず、そのため腐敗の始まった死体は、最初から運ばなかったというくらいである。

 現代ではPhoto_4笑い話のネタにくらいしか捉えられていないそうだが、本当のところはその歩いている死体だと思われていたのは、実は黒帮(いわゆるギャングのような人たち)が夜間活動していただけだったとか、いろいろ言われているが、実際には私は映画『落葉帰根』で趙本山がやっていたように、背負うかどうかして運んだと思うんだけどね。 やっぱり死体は歩かないと思うよ。

 この伝説に、吸血鬼やらゾンビやらの要素をごちゃ混ぜにしてできたのが、キョンシーらしいけど、なんとなくサモハンキンポー監督らしいごちゃ混ぜだよね。サモハンキンポーも、『燃えよドラゴン』の冒頭の部分で、ブルース・リーと模範試合を演じた頃は随分と感心していたんだけどねえ。あれだけ太っていてとんぼ返りができるんだもの。あのほうがむしろ赶屍Photo_5よりも驚異かも知れない。

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2009年6月14日 (日)

『未来へ』カバー『后来』

 時々疲れたときに中国で買ってきた音楽を聴くことがある。あちらでもカラオケに行ったりすることもあるので、けっこう気に入ったものもある。そんな中にはCDやDVDを買ってきたものがあったり(時々再生できないものもありますが…)、最近ではインターネットで歌手名と曲名を入れればすぐに検索できたりするので、世界は狭くなりましたなあ。

 中国の歌(特に女性歌手の歌)は、高く細い声で歌うといったイメージもある方もおられるようだが(遊牧民族なんかは独特の歌をお持ちだ。時々生で歌ってくれて、びっくりすることがある。特に音楽関係の仕事をしているわけでもないのに、声量がハンパでないし、とにかくびっくり、びっくりである)最近ではそんなことはなくて、結構抵抗なく耳に入ってくる。

 あまり抵抗なく耳に入ってくるので、不思議だなあと思っていたら、なんと日本の歌のカバーだったりして(これがけっこう多い。私があちらのカラオケで日本語で歌っていたら、中国語で邪魔しやがるヤツまでいたりする…あまりそんな礼儀知らずは多くないが)、これまたびっくりである。まあ谷村新司さんが上海音楽学院の教授をしているくらいだから、そんなこともあるんだろう。(私は結構なことだと思っているし)

 他には日本留学の経験があるZさんなんか、日本の演歌を小節を効かせすぎくらい効かせて、「ちょっとそれ効かせすぎじゃない?」なんてこともあるが、Zさんはとても日本の歌が上手い。あちらでは驚くほど日本の歌が出回っている(悪名高いバッタものかも知れないが…いや、きっとそうだ)し、日本人歌手のファンも少なくない。

 だから私も案外抵抗なく、あちらの歌になじんでしまったりした。好きな歌も何曲もあるし、よく歌う歌もある。そんな中の一つに、昔kiroroが歌ってヒットした『未来へ』という歌のカバー版がある。タイトルは『后来(houlai)』で、歌手は結構あちらでも人気がある劉若英である。

 まずこの歌、初めて聴いたとき(カラオケで、一緒に行った子が歌った)、いきなり驚いた。「houlai wo zongsuan xuehuile ruhe qu ai」で始まるのだが、これをカタカナで書くと「ホウライ ウォ ゾンスァン シュエホイラ ルホ チュイ アイ」となる。日本語の歌詞は「ほうら あしもとをみてごらん」とくるわけで、「后来」と「ほうら」が見事に重なってくるのだ。

 いや参った参った。そこで私はこの歌は、相手が中国語で歌っているときは日本語で邪魔をし、日本語で歌っているときには中国語で邪魔をしてやろうか、などと邪なことを考えてしまったのであるが、音は似ていても、意味は全然違うので、やっぱりカバー版は面白い。

 kiroroの日本語の歌詞は、「未来へ」というタイトルに相応しい、しっかりと前を向いて、明日へ生きて行こう、なんて意味なんだけど、「后来(houlai)」の歌詞はだいぶこれと違うよ。もともと「后来」という言葉の意味は、「その後、それから、後になって」なんて意味なわけで、未来へとは逆方向?を向いたタイトルなんである(私はこの中では「後になって」という意味が、歌詞に最もぴったりすると思っている)。

 まあ「后来」の中国語の歌詞は、ネットで検索してもらえば出ているので、そちらを当たっていただくとして、大意はだいたいこんなところである(鼻歌を歌いながら打っているので、少々の間違いはメンゴ!!)。

「后来

 後になってあたしはやっと 愛がどんなに去っていったのか気がついた。でもその時あなたはもう人ごみに消えて遠く。

 後になってあたしは涙の中で あの時の過ちであなたを失ったと気がついた。

 クチナシの白い花びらが あたしの青いスカートに落ちてくる。

 あなたが小声で 愛してるよと言うのを聞き、 あたしは俯いて花びらの匂いをかぐ。

 あの17の夏の夜をあたしは死ぬまで忘れない。 あの夜あなたは私に始めて口づけをした。

 それからは辛くなるたびに あの夜のことを想い出した。

 あの時はどうしてあんなに簡単にあなたを愛せたのでしょう。

 そして何故 人は若いときには 深く愛した人を傷つけてしまうのでしょう。

 あの夜に似たこんな夜更け あなたも静かにあの時の感傷に浸っているかしら。

 あの時あんなに意地を張らなければ 今頃こんなに後悔しなくてもよかったのに…

 あなたはどんなあたしを憶えているかしら。笑っているあたし? それとも黙り込んだあたし?

 あれからあなたを慰めてくれる人はいるのかしら?

 後になってあたしはやっと 愛がどんなに去っていったのか気がついた。でもその時あなたはもう人ごみに消えて遠く。

 後になってあたしは涙の中で あの時の過ちであなたを失ったと気がついた。

 あなたはどんなあたしを憶えているかしら。笑っているあたし? それとも黙り込んだあたし?

 あれからあなたを慰めてくれる人はいるのかしら?

 後になってあたしはやっと 愛がどんなに去っていったのか気がついた。でもその時あなたはもう人ごみに消えて遠く。

 後になってあたしは涙の中で あの時の過ちであなたを失ったと気がついた。

 後になってあたしはやっと 愛がどんなに去っていったのか気がついた。でもその時あなたはもう人ごみに消えて遠く。

 後になってあたしは涙の中で あの時の過ちであなたを失ったと気がついた。

 もう永遠に戻ってくることはない。あの時 あなたは 私を愛していた」

 なかなかいい内容でしょ? それで私はその時の気分に合ったほうを歌うようにしていますんですけどね。同じ曲で(玉城千春さんの作曲ですな)、全く違う意味の歌詞がついていて、どちらもいいとなると、これは気分次第で歌い分けができますよね。なかなか便利なもんだ。

劉若英『后来』↓

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2009年6月13日 (土)

中国の四大美女

 前回訪中したときに、朱さんと「中国の四大美女」の話になった。ちなみに朱さんは日本に来たことはないが、私よりも美しい日本語をお使いになる。私は日本人として恥ずかしい限りである。もっと日本語の勉強をしなければならないと反省している(反省だけなんですが…)。

 私も男なので、美女を聞くと、「ピクっ」と反応してしまう。どうして反応してしまうのか、自分でもわからないが、美女とは極めて平均的な位置に、極めて平均的な形、大きさの目や鼻や口がついているだけだという意見があったりして、これまた私を悩ませる。極めて平均的な集合体が美人だという、その定義が正しいのだとすると、平均に対して我々男は反応してしまっていることになるからである。まあバランスはいいかも知れないが。

 美人なんてものは人それぞれで価値観が違うのではないかと思うけど(そういえば朱さんも立派な美人だと思う)、それぞれ自分の好みの美人が好きになればいいわけで、テレビなんかを見ていても「わ、この子きれい」「あの子もきれい」「あのこもきれい」なんて具合で、私なんか、世の中にどうしてこんなにも美人が多いんだろうと不思議に思ってしまう。私の美人の基準は、他の人の基準よりも少し緩いのかしらん。

 子供の頃から父親に『世界の三大美女』は、「クレオパトラ、楊貴妃、そして小野小町」と教えられて育ってきた。日本人としては小野小町を抜くわけにはいかなかったんだろう。私の父も日本が大好きだった男だからだ(もう十年以上も前に他界してしまいましたが)。ただまあ平安時代の美人の基準が、現代と同じとはとても考えられないので、果たしてどのような方だったのか知る由もない。

 私としては「花の色は 移りにけりないたずらに 我が身よにふる ながめせしまに」という歌に相応しい御仁であったことを期待している。でもこの歌って、加齢とともに衰えていく容姿を歌った歌なんだけどね。そうそういかに美人であったとしても、加齢によって容姿が衰えていくことはとめられないよね。エリザベート・バトリーのように、若い娘を捕まえて、生き血をすすったり、血のお風呂に入ったりしても、若さを維持するのは無理というもんだ。なんたってこんなことをしたら、「美女」とういう前に「化け物」だわな。

 でその美女の最も美しかった頃を比べて、誰が美しかったのかというのを比べるのも、なんとなく「最強論争」みたいで決着がつきそうもない。美人をいう価値基準は、見る側によって違うからである。これは闘う上でのルールが異なるのと同じようなものだ。

 でも世界三大美人ってのはあるよね。「クレオパトラ、楊貴妃、ヘレン(あの『トロイ戦争』の原因になった美女のことですな。ウォルフガング・ぺーターゼン監督の『トロイ』では、ダイアン。クルーガーが演じていましたけど)」ってのが、日本人の手前味噌な観点で選んだものでない世界三大美人らしい。でも人種が異なると、美女の基準も変わると思うんだけどなあ(クレオパトラが美女でなかったという説を置いておいてもである。会ったこともない人など美人だかどうだか知ったことではない)。

 中国の四大美女となると、西施(せいし:松尾芭蕉に「きさがたや 雨に西施が ねぶの花」と詠まれた美女であるが、もちろん松尾芭蕉も会ったことはない。これはかりに芭蕉が忍者であったとしても無理である。時代が違いすぎる)、王昭君(おうしょうくん)、貂蝉(ちょうぜん:ちなみに貂は獣のてん、蝉は昆虫のセミという字である。『三国演義』で有名な登場人物だ。人によっては代わりに項羽が愛した悲劇の美人、虞美人を貂蝉の変わりに加える人もいる)、楊貴妃(ようきひ)の4人だという。

 西施は春秋末期から戦国初期の人だといわれている。ちょうど越王勾践(えつおう・こうせん)が呉王の留守を狙って呉の国に攻め寄せたとき、呉にはちょうど伍子胥(ごししょ)らがおり、反対に木っ端微塵にされてしまった。そこでお詫びのしるしにと献上した美女であるが、一般的に西施(別名、夷光または西子)の名しか載せられていないけれど、実際には越国一と二の美女(名前を鄭旦…ていたん…という)を送っている。

 聞くところによれば、貧しい家の出であった西施は、范蠡(はんれい)という勾践の忠臣が見出し、徹底的に呉王夫差(ごおう・ふさ)を篭絡する手練手管を仕込んだとも言われている。いずれにしても、夫差は狙い通り西施に夢中になり、国政をおろそかにするようになり、国力を低下させていくのだが、この時生まれた言葉が「臥薪(これは呉王夫差が越に負け、父王こうりょ…HeLu…を殺されたときに復讐を誓って薪の上に寝たこと)嘗胆(越王勾践が呉王夫差に敗れて、復讐を誓って、苦い胆を嘗めつづけたということ)」である。

 つまり簡単に言えば、西施は越王にリターンマッチをさせるための時間を稼ぐために、呉王を篭絡したのである。なお彼女は胸が痛くなる持病があったらしく、時々襲ってくる痛みに耐えるとき、美しい眉をひそめたといい、それがまたなんとも言えず色っぽかったらしい。「東施效顰:東施の顰にならう…美しくない女が、美女のひそみ…痛くて眉をひそめた容貌…のまねをする(東施は西施をもじったもの)」という言葉が生まれた。

 なお西施は大根脚だったという説もあるが(どこかで聞いたぞ)、いくらなんでもそこまではわかPhotoらない。身体が弱かったのならば、もしかしたら脚がむくんでいたかもしれないけれど(だいたい王様の寵愛を受ける女性の脚なんか見られるわけがない。きっと他人のやっかみというヤツだろう)。晩年は范蠡に囲われてハッピーエンド説もあるが、悲惨な最期を遂げたという説もあったりで、まったくわからない。なにしろ大昔のことで、日本ではまだまだ弥生時代。文字も使われておらず、卑弥呼が生まれる600年以上前のお話である。 なお西施は小川で衣服を洗っている絵がよく描かれているようである。そのものを洗う姿の美しさに、魚も泳ぐのを忘れたというが、私の経験上、そんなことは絶対にない。

 王昭君(おうしょうくん)について初めて知ったのは、高校の漢文の授業であった。孫悟空ことK先生の授業で出てきた美女である。生きたのは前漢末。この人は大変な美人だったのだが、あまり裕福なお家の出身ではなかったらしく、後宮に入ったものの賄賂に使うお金がない(かの国では、今も昔も、賄賂は当たり前のことである)。

 後宮といえば美女がたくさんいる。そこで皇帝(元帝)は全員顔を見ることが出来ないので、絵師に後宮の女の似顔絵を描かせ、それを見て夜をともに過ごす女性を決めていた(全員の顔が見れないほど集めなければいいのに)。ところが絵師に賄賂を渡せなかったので、彼女はいつも実物よりも醜く描かれ、皇帝にお目通りする機会を掴めないでいた。

 当時、漢の北の遊牧民族、匈奴が大変に勢いのあった時代で、前漢王朝は匈奴に朝貢し、懐柔政策をとっていた。その中に女性を匈奴の単于に贈るというのも含まれており、なんと王昭君もその中に選ばれてしまったのである。いざ匈奴へ贈るというときになって元帝は初めて王昭君の実物を見た。それがびっくり! 絶世の美女だったのである。しかも運の悪いことに、匈奴の呼韓邪単于も彼女を見かけており、一目で気に入ってしまっていた。

 そして呼韓邪単于に連れられて、万里の長城を越え、匈奴の地に連れて行かれたのである。彼女は大変優しく寛大で、教養も高かったといわれているPhoto_2(後宮で勉強したらしい)。そして呼韓邪単于の后の一人として、匈奴を徳化し、なんと彼女を連れ帰って(紀元前33年)から200年間、匈奴は漢の領内を侵入することがなかったという。凄いことだね。望郷の念が強く、琴を弾じるとその音色に雁が落ちたという。

 なお大変な美貌の持ち主であったらしく、呼韓邪が死に、息子が単于(簡単に言えば王)を継いだときにも、その后とされ(彼女の子供ではない)、さらに子供が死んで孫が単于を継いだときにも后にされたという。いくらなんでも3代にわたっての皇后は…と思うが、それだけ匈奴の人たちに敬愛されたということであろう。ちなみに私はこの人が、世の中に対する貢献度が抜群の美女だと思っている。もちろんこんな詳しいことは、さすがの孫悟空先生も教えてくれなかったが。

  三人目は貂蝉(ちょうぜん)である。『三国演義』ファンなら誰でもご存知という美女だが、残念なことに正史にはどこを見ても登場しておらず架空の人物ではないかとさえ言われている。まあ歴史上の美女なんて、はたしてどの程度かはわからないから、架空の人物でも構わないのであろう(それに対して虞美人は実在はしていたらしい。項羽自身の詩も残っているし)。

 これまた『三国演義』をお読みになっている方なら、何をしたかはご存知だと思うが、使徒王允(しと・おういん)の家にいた歌姫であった。そして後漢の世の中が乱れ、董卓という暴れん坊(この人もなかなか興味深い人である。戦に弱いはずがないのに、あっさりと負けたりするところがあって、気分屋ではないかという感じがする)が後漢の宮廷を牛耳るのを憂えた王允の恩に報いるために、危険な仕事を買って出る。

 まず王Photo_3允の養女となり、ひそかに呂布という豪傑に出会わせる。この呂布という男もなかなか興味深い男であるが、なにせ節操がない。彼は自分の義父を斬って、董卓を義父にするようないい加減男であるが、なにせ「英雄色を好む」。貂蝉に夢中になってしまう。ところが王允もさるもので、貂蝉を今度は董卓に献上してしまい、それを呂布に問い詰められると、「董卓に無理強いされた」と言って逃げる。

 董卓が宮廷に行っていない間に、呂布は貂蝉を探し出して問い詰めるが、貂蝉はただ泣くだけである。そこへ運悪く(運よく?)董卓が帰宅し、この光景を見て大層腹を立て、呂布の武器である方天戟で呂布を刺す。ところが呂布も三国演義に登場する豪傑の中でも一番というくらいの強豪、その場はうまく逃げてしまう。

 こうやって呂布と董卓を離間した王允は、呂布を上手に操って、董卓を討ち果たしてしまうのである。なお余談だが、董卓はとてもメタボな体型をしていたらしい。まあ言ってしまえば、凄腕の女スパイといったところでございましょうかな。 あまり私の心には響きませんな、悪いけど。

 最後はやはりこのお方、楊貴妃でございます。何と言っても栄華を極めていた唐王朝を、ずたずたにするきっかけを作ったのはこのお方でございますからな(直接的には「安録山、史思明の乱かも知れませんが、そこにつなぐ上で大きな働きをしております)。ちなみに私はこのお方は嫌いです。

 紀元736年に唐の玄宗皇帝の寵妃であった武恵妃が死ぬと、玄宗皇帝はぜんぜんやる気を失ってしまう。ところが自分の息子の寿王の妃に、楊玉環という女がいて、これが絶世の美女であるだけでなく、音楽も舞踊もたくみだというのを聞いて、とりあえず召しだして音楽舞踊を見たいと我儘を言う。

 見たらこれが玄宗には大変気に入って、息子から奪って自分の妃にしてしまうんですな。完全に人非人だけど、案外こういう話は古代中国には多く、多くの場合大騒動を発端になっている。まあ不自然なことをすれば、不自然な状態になるのは必然なんだけどね。

 ところが楊貴妃という人は大人しい人ではございません。あるとき花園で花を見ながら酒でも飲Photo_4もうとしておったわけですが、その二日目に、楊貴妃が酒肴の準備を済ませているのに、いつまでたっても玄宗はやってきません。もう待ちくたびれていい加減嫌になった頃、使いのものが「皇帝は江妃のところに行かれた」と告げたものだから、楊貴妃はぶち切れてしまったんですな。

 そこで自分が準備した酒を、やってられるかってんだいっと、立て続けに3杯も飲み干してしまいまして、酔っ払 って高力士とか裴力士といった連中とどんちゃん騒ぎをやらかして、挙句の果てにはこの二人(きっと宦官)に連れて帰ってもらうといった体たらくであったらしいんですな。

 まあこんな調子で我儘を言い続け、自分の一族を高位高官につけまくって、唐王朝を傾けていったわけですわいな。

 こんな具合で、中国四大美人ってのは、いろんな個性が集まっておりますな。でも本当に美人だったのかなあ……?

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2009年6月12日 (金)

マンガ好き・16 ~10年ぶりの恋人『企業戦士YAMAZAKI』・7:闘いを引き継ぐ者~

 人間、年とともに(心身ともに)丸くなるのは、どうしても仕方がないことのようで、私も最近は「穏やかだ」と勘違いされることが多くなりましたな(へっへっへ…年の功? 亀の甲? い~や、仮面の甲ですな)。

 年を取ったから丸くなるのではなくて、いろいろと経験したから、かも知れませんな。ま、経験するのに時間がかかったわけで。性格は深くなることはあっても、丸くはならないと思います。そして深くなることは、いろんな角度からものごとを見て、より深くものごとを認識できるようになることに他ならないと思うのでございますが、どんなもんでしょうか。

 世に「徒に馬齢を重ねる」という言葉もございますが、物事を見る目を養っていかないと、加齢による体力的低下と、多くの場合、失敗体験ばかりがその人の心を覆って、「人生の垢」ばかりがくっついてしまうこともあったりします。こんな年の取り方なら、私なら長生きしたくないですな。

11  さて『企業戦士YAMAZAKI』第11巻はそろそろエンデイングも近づき、話が厳しくなってきます(こんなときから、終わりの予定はあったんでしょうか? このような密度の高い作品を描き続けるのは、作者にとっても大変なことではなかったかと想像しますが…ものを書く苦しみは、何を書いても同じですもん。その点、私なんか、じっくり時間をかけることが許されていますけどね。でも隔週連載だったら凄い重圧だったと思いますね。富沢さん凄いっ!)。

 BUSINESS61、62は実は続きものです。ここではYAMAZAKIの修理を担当する貴理香さんの生い立ちと、その父親との関係が家電メーカーの再生(貴理香の父親の会社で、愛人の息子が二代目社長となっている。父親は脳溢血の後遺症で2年も入院しているという設定)に絡んで、貴理香さんの父親への思いが綴られる。

 すでにYAMAZAKIの機械の体と人間の脳は、酷使と耐用年数超過によってぼろぼろになっており、NEO-SYSTEM社はYAMAZAKIの廃棄処分を決定するが、ここでもまた名言を怒涛のようにちりばめ(???怒涛のようにちりばめる???)ながら、物語は進行して行く。

「おそらく父は 対等すぎる夫婦関係にイヤ気がさしたのでしょう。本妻(貴理香の母)と離婚したばかりか… 彼女を会社から追い出してしまった。貴理香姉さんが14歳の時です」と愛人の息子(現・社長)がいうと、名刺に姓を書かないで名前だけを載せているのを知っている倫子さんが言う。「それであいつ… 名字を名乗らないワケ? 自分が名乗るべき名字が ずっとずっと見つからないんだよ!」 うん、でも私はこの台詞は、もっと後につながっていると感じましたな。

 それは貴理香さんが父の臨終に付き合ったとき(BUSINESS62)と、その後の行動につながっております、きっと。危篤状態で意識がなくなった父親の前で貴理香は言う。「見苦しいわね、機械の力を借りて命を維持するなんて… 中略 母を死に追いやった張本人から毎月送られてくる生活費… 子供だったワタシは その屈辱の中で生きてゆくしか道はなかった…」

 ところが臨終の瞬間意識が戻った父親は、貴理香の名前を言って死ぬ。そのとき彼女は「ちょっと待ちなさいよ… ワタシの話は終わっていない…! ちくしょう なんだってのよ!! ワタシからすべてを奪っておいtr逃げるつもり!? ワタシが怖いの!? 卑怯者ォーッ!! ワタシとの決着はどうなったのよ!! 答を出してから死になさい!! その時ワタシは あんたのすべてを否定して あざ笑ってやるんだから!! ワタシは一体… 今まで… 何のために…  もう一人いた。まだ答を出していない人間が…」 結局これでYAMAZAKIの廃棄処分が撤回されるわけだが、この部分は私の心にはずし~んっ!!!!とくる。

 作品中でも父親は貴理香を愛していたと書いてあるが、今だからわかる。この父親はやはり何か(抽象的な言い方だと、人生なんていえるけど)と闘っていたのではないのだろうか。そうしてこの瞬間、復讐だけを夢見て生きてきた貴理香は、父親の闘いを引き継いだのではないかと思う(同じ闘いではないが)。そうしてもう一つの自分の家族とのつながりを糧に、限界を超えても生きつづけるYAMAZAKIを活かし、YAMAZAKIの行く末を見届けるために、貴理香は死後自分の脳を提供するという条件で、YAMAZAKIの廃棄処分を撤回させてしまうのである。

 この他にも「だからアナタは 自分で価値を身につけねばならないはず。ましてやアナタは社員5532名の人生を背負う身。それが 闘うこともなく己を見限ってしまうようでは… アナタは行き場をなくした厄介な粗大ゴミにすぎない!!(何代か前の総理大臣に聞かせてやりたい言葉だね)」とか、「不可能を越えてみせなければ 人を感動させることはできません!!」とか、「この国の人間は 皆 自信と誇りを失ってしまったのです。人に語る言葉も失い… 心の存在証明を求めて孤独にさまようだけ…」とか、10年も前なのにどうだこの凄さは、と思えるような言葉がどっさりである。

 もしかしたら10年前からこの国はちっとも改善できなかったのかも知れないね。10年前の言葉がこんなにも重く響くのだから。

 BUSINESS63では「『人間』という字は『人』の『間』と書きます。動物である『ヒト』は 他者との関係によって『人間』に成長する… 想いあい 傷つけあい 許しあう事で 初めてお互いを理解するのです。そしてそこに生まれた大切なコミュニケーション… 人はそれを『愛』と呼ぶ!」 いいなあ… 本物の人間関係って、そういうものじゃないかなあ。

 BUSINESS64では「不安や不信に支配され 自己保身のため 皆が固いカラにとじ込もる。そこにはもはや冒険心も向上心もない。いわゆるマインド不況の始まりです」「守りに入った時から成長が止まってしまうのは 人間もビジネスも一緒のはず。これでいいのか このままでいいのか 生きるとは一秒ごとに自己に疑問を課する事なり!」 はい。私もそんな人を現実に知っていました。もう亡くなってから10年以上がたちますが、カッコイイ人でした。そして私もそうあろうと思っています。

 BUSINESS65では「『限りなき右肩あがり』というフィクションの追求は我々を豊かにした反面 自由を奪ってきた。今やそんな事は 子供でも気づいているのです。我々が未来に望みをつなぐとすれば 0から創造する自由に賭けてみるしかないはず!」 今でも社会はそうは動いていませんけどね。でも私の発想は、随分この考え方に助けられていますよ。本当にこのマンガは私の人生の教科書の一つです!!

 BUSINESS66でもYAMAZAKIはいい事を語ってますねえ。「さしたる労もなく勝ち組に入れるという考えこそが 中身のないバブルだったのですよ。そんな人間が見捨てられ 挫折するのは 社会において当然の結果。熱い想いも活かせれば資源 捨てればゴミ… ワタクシはこれを『人生の有効活用』と呼ぶ!」 なにか一見安定していると思える業種ほど、こんな考えがなくなっているように思いません?

 この巻を通して私が感じたことは、YAMAZAKIは闘い続ける人間達に、熱くメッセージを語っているのではないかということだ。そして登場人物は闘い続けることを意識する。闘いを引き継ぐ者たちである。そしてなんと生身の私も、闘いを引き継ごうと思ってしまったのである。Photo

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2009年6月11日 (木)

読むだけであなたは身を守れる・1 ~兵法としての護身~

 最新刊の『Photo読むだけであなたは身を守れる』について、ちょいと解説しておこうと思います 。まずこの本は、『護身術』の本ではないということ。だから武道書や格闘技の本と同じコーナーに置いても、あまり意味がないのではないかということでございます。

 私は所謂『護身術』の有効性を疑っています。私自身も武道を長い間やってきましたが、その間『護身術』なんかに興味を持ったことはありません。『護身術』は純粋に実戦だと思います。自分が習った武道が護身術を必要とする場面で効果を発揮する場合はあるでしょうが、武道は護身術そのものではありません。

 サブタイトルに「テクニックのいらない護身術」とありますが、この「護身術」から「術」を取ったほうがいいのではないかと、結構悩みました。私は『護身術』なんか必要ないのが、最も優れた護身だと考えています。ということは護身術とは対極にあるわけですね。

 実戦になったとき、自分の習ったもので対抗するには、かなりの修行が必要になります。一般生活を送っている人たちには、そんな時間はありません。もしかしたら格闘なんかまったく興味がないという人だっているはずです。でもそういう人の方が、被害者になる危険性が大きいので、書いたものです。ですから武道書や格闘技のコーナーでは適してはいません。

 腰帯には「現代の兵法」と、素晴らしいキャッチをいただきました。はい。私は兵法が好きで、若い頃から研究していましたから、当然兵法の色が濃いと思います。中でも『孫子の兵法』をメインにすえています。理由は簡単なのです。例えば『呉子の兵法(大部分が散逸してしまって完全な形のものは現代に伝えられていませんが)』だったら、呉起という人の性格がよく反映されています。

 その中でも『呉子の兵法』は、その戦闘力の多くを、兵士一人ひとりの強さに依存しています。でもそれだったら現代人一人ひとりが、格闘技や武道を習得しなければならなくなりますし、危険な護身用の道具を持ち歩かなければならなくなります。護身用に持っていた武器で、他人を傷つけることは、最近の事件ではわりとよく聞く話です。これは現代社会にはあまり適していません。

 それに対して『孫子の兵法』は、勝敗の原因を兵士一人ひとりの強さに求めるのではなく、作戦の進め方に求めます。これならば正しい状況分析と、判断力さえあれば、普通の人にだってすぐにできるものです。そこで私は『孫子の兵法』を大本に据えてみました。

 私は「客観性」「再現性」「普遍性」を重んじる人間ですから、身を守るための要素を、これらの条件に当てはめて考えていきました。まず最初に、他人と争わなければ護身術は不要です。だったら争わないで生きていけるような状況を作ればいいのです。『孫子の兵法』でも「百戦百勝は善の善なるものにあらず。戦わずして人の兵を屈するを善の善たるものとす」とあります。

『孫子の兵法』はそのために伐謀、伐交を手段として挙げ、どうしても戦わなければならないときには、相手を平原に引っ張り出して戦う、最低の方法は城攻めだというふうに論を展開していますが、護身を考えるのであれば、平原に引っ張り出して戦ったり、城攻めを考える必要はないでしょう(守るときには考えてもいいですけど)。

 護身を考える上では現代という世の中は、若干しんどくなっています。それは『読むだけであなたは身を守れる』を読んでいただければ、様々な理由が挙げてあります。理由が挙げてあるということは、それらを解決していけば、かなりのところまで護身が可能になるということでもあるのですが。

 そしてもう一つは、護身は必ずしも相手を倒すことではないということです。自分の身を守れればいいわけですから、逃げられるものなら三十六計を決め込んでもちっとも構いません。もちろん三十六計の第三十六番目、「走為上計」ですけれど。野生にはこの方法ばかりを使う生き物はいくらでもいますからね。

 相手を倒さなくてもいい、自分の身を守るだけでいい、こういうふうに考えると、護身のために使える方法は一気に増えてきます。『読むだけであなたは身を守れる』には、こういった方法はいくつも例を挙げて紹介しています。現実に我々の身の回りには、護身に使える道具は山ほどあります。ただそれを使いこなすには、若干の発想の転換は必要ですが。それもこの本の中に書いてあります。だからこそタイトルが『読むだけであなたは身を守れる』なのです。

 必要なのはトレーニングではありません。自分の脳を柔軟にし、少し注意深くすることなのです。これは現実社会に兵法を活用する場合と同じです。

 私の口癖ですが、「発想を転換できれば、弱いのは必ずしも弱点にならず、強いことも必ずしも長所とはならない」というものがあります。格闘的に弱い人が、自分は強いと勘違いしてしまっては打つ手はありませんが、自分が弱いと正しく認識しさえすれば、あらかじめ多くの準備ができます。

 準備さえしておけば、決して弱いわけではなくなります。肉体的な弱さは、別の何かでカバーできますからね。逆に強い人でも、自分の強さを過信してしまうと、しょうもないつまらないことで失敗したりしてしまいます。こういった対処の仕方を『孫子の兵法』では、「知彼知己百戦不殆:彼を知り己を知らば、百戦して殆うからず」と言います。

 そしてこれがわかれば、肉体的な強さだけがすべてを決定するものではないことがわかります。子供だって大人に出来ないことができますから、子供の世界で勝負したら、必ず大人が勝つとは限りません。女性だって必ずしも男性にいつも負けるわけではありません。子供だからできる護身、女性だからできる護身はあります。それも知ってさえいれば、とっさのときには間に合うものです。それが発想の転換の持つ強さなのです。

 肉体的に強いとか弱いとかは、状態をさしていることばであり、勝った、負けたという結果をさす言葉ではありません。強ければ正面衝突したときには勝ちやすく、弱ければ正面衝突すれば負けやすい、ただそれだけのことを意味しているだけです。強い人は正面衝突したがるでしょうが、弱ければ正面衝突を避け、自分の得意な状況で勝負すればいいだけですからね(護身だけなら、勝負をする必要がない場合が多いのですが)。

 本来「三十六計逃ぐるにしかず(走為上)」にしても、自分が一番得意とする土俵まで、相手を引っ張っていき、そこで壊滅させる戦法です。護身を考えるのなら、相手の望んだ形にならなければいいのです。

 兵法面から少しだけ解説してみました。詳しくは『読むだけであなたは身を守れる』をご一読ください。くれぐれも、この本は格闘のための本ではないということをお知りおきください。格闘にならないですむための本なのです。

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2009年6月10日 (水)

端午の節句…ちょっと時期はずれですが…

 司馬遷の『史記』の中でも私のお気に入りの人物の一人に、伍子胥(ごししょ)がいる。激情家であったらしく、「屍を鞭打つ」とか「日暮れて途遠し」などの逸話を残した人物である。

 伍子胥はもともと楚に生まれ、彼の父はなかなかの人物だったようだが、平王が自分の息子である太子の嫁を奪ったことから発したごたごたで、無実の罪(当然、謀反ですな。だいたい王と太子とでごたごたが起こって、その周囲の人間が罪に落とされたら、大抵が謀反の罪だ。

 その件で父親と兄を殺された伍子胥は、呉の国に逃げ、ひそかに復讐のチャンスを窺う。やっと復讐できると思った時には、仇の平王はすでに死んでいて、屍を鞭打ったりしたわけだが、それでも気がすまない彼は、楚を亡ぼそうとする(なんと、大国、楚を亡ぼそうというのだから、その怒りは凄まじい)。

 ところがその隙を衝いて、越が呉を攻めたりしたので、楚討伐は途中やめになり、呉王を助けて越を討ったはいいが、越王が代替わりしたときに夫差を呉王に即位させる。ところが夫差は次第に伍子胥を煙たがるようになって、最後には彼を自殺に追い込む。この時自殺した伍子胥の死体は馬の皮に包まれて、長江に捨てられたというのであるが、これが中国の農暦5月初5日ということで、彼の無念さを後の人が哀れんで、この日を端午の節句としたという説がある。

 端午のPhoto_2節句の由来で最も有名なのは、屈原という政治家であり大詩人が汨羅(べきら)に身を投げて死んだ日が、農暦の5月初5日であったからという説だ。紀元前278年の話である。彼が身を投げたのを知って、漁民たちは争って船を出し、彼を探したそうだが、見つけることができなかった。そこで竹筒に米を盛って彼を祀ろうとしたが、汨羅江に投げ込むと蛟龍が現れてすべて食べてしまった。そこで蛟龍に食べられないように、栴檀の葉でご飯を包み、色とりどりの糸で縛って、それを投げ込んだという。これが粽の原型であったというのである。

 今でも屈Photo原の故郷では、5月5日にドラゴンボートの競争が行われるというが、これは屈原が入水自殺したとき、漁民が争って彼を探したのが起源だといわれている。

 この他にも曹娥(そうが)という、後漢の頃の親孝行な娘の話もあり、この娘は父親が江で溺れ死んで死体も揚がらないのを嘆き、江のほとりで嘆くこと17日、ついに自分も身を投げてしまう。これが農暦5月初5日だというのである。そして不思議なことに5日後(なんと5月10日。私の誕生日である!)に彼女は浮かぶのであるが、なんと父親の死体を抱いて揚がってきたというのだ( もちろん彼女も死んでいたわけだが)。この親孝行な娘のために5月5日を端午の節句としたというのである。

 もう一つ、これはいかにもありそうな話だが、古代中国の一部族の中に百越族というものがいて、彼らは自分達が竜神の子孫だと信じ、農暦5月初5日に、祖先の竜神を祀っていた。それが漢民族と同化することによって、中国全体の節句になっていったという。

 歴史が古い国は、いPhoto_3ろんな面白い話があるもんだ。

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2009年6月 9日 (火)

マンガ好き・15 ~10年ぶりの恋人『企業戦士YAMAZAKI』・6…大人になる~

 飼い猫は一生成獣のネコになれないんだそうである。我が家のチャーちゃんを見ていても、これはなんとなくわかる。もう母には甘えて甘えて(その分、私を無視するけど… 私はチャーちゃんにとって、ただのライバルでしかない。私がいい人になるのは、チャーちゃんの好物をあげるときだけである)。

 人も同じで、しっかりしているように見える人が、必ずしも大人になっているとは限らない。自分の幼稚さを隠すために、一所懸命大人のふりをしている人がいるからである。こういった人は何かの瞬間に、驚くほどの幼稚さを露呈することがある。隠していたもののメッキが突然剥げたりするんだね。

 こういうのは偽善者でも同じである。いい人だとほとんどの人に思われていても、自分の利害関係が絡んできた瞬間に、とんでもない本性を見せてくれることがある。基本的に自分の本性が表に出ると、自分に不利になることを知っていて、それで一所懸命隠しているんだよね。

 私は社会人になった年に、「俺は生涯大人にならない」という誓いを立てたようなたわけモノだから、全然大人になっていないことを恥じていないし、それを指摘されて腹を立てるどころか、誓いを守ることができていると安心したりする人なので、始末10が悪い。まあ子供は成長し続けなければならないんだけどね。

 私の10年ぶりに再会した恋人、『企業戦士YAMAZAKI』第10巻には、大人になるための名言が多いように感じている。BUSINESS55では「物事の価値は 本来一人一人が決めるべきでしょう」という言葉が、最初の方で出ている。はい。ところが、自分の価値観を他人任せにしている人だって少なくはないんだよね。

 そういう目で見ると、「他人から与えられるばかりでなく そうやって 本当に自分にとって 価値あるものを選び取り そうでないものを捨てることで『自分』を構築してゆく。それが大人になることですよ、倫子さん」「じゃあ 世の中 大人なんてゼンゼンいないじゃん。みんなハンパに『いい子』で ハンパに『悪い子』。結局は決まりきったレールの上を歩いてくだけでさ!」 幸い、私はこの言葉が耳に痛くない。

 そして次の言葉は心に響きますな。「孤立に耐える人こそが 一番強いのかもしれない」。今でこそ私は周囲に素晴らしい仲間がいて、孤立という感じがなくなったけれど、以前は結構そういったことがありましたよ。でも「孤立」から逃げるために、自分を曲げることは一度としてしなかった。これは一つの誇りでもありますな。

「自分の非力や失敗をうやむやにして 逃げ出してしまえば 自尊心は傷つかないでしょう。しかし 自分の能力をしっかりと見極めない人間は『自分は特別な人間だ』という子供じみた妄想から 一生抜け出せません」 これに対して社員は言う。「ボクにとってボクは 特別な人間です!!」 それに対してYAMAZAKI「だから そう思っているのは アナタだけなんですよ」 これは現代でもますます当てはまる場面がありますな。私なら「主観と客観の違い」で切って捨てそうな話だけど。

 自分にとって自分が「特別な存在」であるのは当たり前だ。だがもしも他人にとっても自分が「特別な存在」でありたいと思ったのなら、自分が「特別な存在」であることを、客観的に示さなければならない。それをしないで、「私は特別な存在」と言ったら、自意識過剰というものだろう。社会だといちいち構ってくれないから、「あ~、あ~、勝手に言ってれば」ってことになるよね。

 このBUSINESS55の〆はいい言葉だと思う。「つまり自尊心(プライド)と自己愛は別物ということですよ、堤さん」「負けた人間は キチンと傷つかなければいけない。キチンと傷ついた人間だけが 次に勝つための第一歩を踏み出せる。自尊心など あとからついてくれば それでいい!!」 はい。その通りだと思います。

 私はいつの頃だったか、「試合には負けたけど、自分なりに頑張れたから、満足」という選手が増殖したことがあって、こりゃあかんわと、匙を投げたことがある。こういう選手はすぐに自分の壁も破れなくなってしまう。勝負師として言わせてもらえれば、勝てば無理していたって勝ちなんだよ。勝ちにこそ価値があるわけで、自分なりがどうなのかは関係ないんだけどね。もちろんこんな人がいても悪いわけじゃない。でも競技や勝負はしないほうがいい。あまり向いていないように思うから。

 負けたら傷つくから、次のために必死になるんじゃないか。失敗したら傷つくから、成功しようともがくんじゃないか。そしてもがいた結果、勝てば、その勝利を見ていた人に感動を与えられるのかも知れないじゃないか。傷ついたことがあまりない人は、傷つくことを過大評価したり、過小評価したりする。でも傷つくことで前進してきた人は、傷つくことを恐れないよ。これが結果を恐れないでベストを尽くす姿勢へとつながってくるんだよね。

 まあひどい場合には、やる前から、失敗して傷つくかもしれない自分を想像して、チャレンジすることすらしないような人もいないわけではないから、こういう人には難しいことは言わないけどね。自尊心は結果がもたらしてくれるもの。私はこの点で、作者の富沢順さんとまったく同意見である。

 BUSINESS56では「大人になるほど人は弱くなるもの… だからこそ他人との絆を守りたい。その人のためなら 無限に強くなれる事を信じたい!」ってのがありますな。実際そうだと思う。若い頃なんて失うものが少ないから、案外強いんだよね。大人になると失うものがあれこれとできちゃうから、人って弱くなったりするんだよね。でも、だからこそ自分がいないと、という人にいてほしくなるんじゃないかな。

 自分のためにしか動かないのなら、人はいつでもどこでも諦めることもできるし、途中やめにすることもできる。でも誰かのためにと思うと、これは頑張れるんですな。ここ10年ほどの私は、見事にこういう感じですな。

 BUSINESS57ではYAMAZAKIに対する刺客の矢田が、思いがけずいいことを言います。「人間 思い通り生きられない事ほどつらいことはない。そのための力をつけさせるのが 教育ではありませんかな?」 YAMAZAKIは「いつの時代も 新しい価値を生み出してきたのは アウトサイダーたちのはず。切り札としての誇りなしに 勝利などありえない!!」

 BIJINESS58では自信をなくした風見部長が、若い世代に怯え「彼らは皆 我々大人の価値観や 規範に挑戦してくる まるで得体の知れないモンスターですよ」という嘆きに答え、「その『挑戦』におびえるあまり 大人たちは古い体制に固執し 閉じこもっている。なぜ怯えるのか。それは自分に自信がないからでしょう」  「自分は無力でも 想いを継ぐ相手がいる限り いつか夢はかなうはず」 いいなあ、こういうの。だから私が研究してわかったことは、すべて公表してしまいますね。いつかどこかで、きっと誰かが、私が夢見た境地に到達してくれれば、それで十分じゃん!! これは私の身体運用研究の根本に流れる考え方なんですよっ! 「フィクションの実現 人はそれを進歩と呼ぶ!!」 まさにその通りですよ。

 BUSINESS59、60でにはちょっとニヒルな言葉もあります。「夢を汚すくらいなら 捨ててしまうがいい!」 「心だァ…? そんなもんが会社にあるんならなァ… オレだってそうやって毎日ネクタイしめて 会社員やってたんだよ」 後ろの方はかつてYAMAZAKIの部下で、YAMAZAKIにあこがれていたルポライター、黒沢の台詞だけど。

 かつての部下に語りかけるYAMAZAKIの台詞には泣かされますね。「ワタクシは 人には理想を語りながらも 現実に潰された 敗残者ですよ。ビジネスマンとしても 家庭人としても 結局 失敗に終わった。そんなワタクシがもう一度生きられるとすれば…」 後は黒沢が継ぐ「他人を活かすことで自分も活きることが ビジネスの本道なり!  あなたは遺した家族のため… いや遺したすべての者のため… 人知れず闘い続ける!」 こういった闘いならば、やってもいいよねえ!

 大人の闘いって、こんなもんじゃないかな。若い頃みたいにしょっちゅうは戦わないんだけどね。安い闘いはやらない。こういうのって、いいなあ…

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2009年6月 8日 (月)

勘違いして納得する

 私がまだ駆け出しの指導者だった頃の話である。当時岡山県では抜群の指導力を発揮しておられたのはK先生であった。K先生は何をどう思われたのか知らないが、私に声をかけてくださり、私は足しげくK先生のところにお邪魔するようになった。

 それからほどなく、私のチームが岡山県で総合優勝してしまった(本当に、「してしまった」程度の認識であった。当時私は「総合優勝」などというものがあることすら「知らなかった(意識したことがなかったので、あっても認知していなかった)」。ふうん、幾つかの種目で勝てば、こういうこともあるんだと、私は軽く認識した。

 ところがそれからあまり時間が経過してないとき、関係者で飲むことがあった。K先生はその場にはおられなかった。すると私が顔も知らない人がきて、「お前はK(先生)コピーだ」と言い始めた。私は全然K先生をコピーしている意識がなかったので、「あなたは私の練習を見たことがありますか?」と尋ねた。

 するとこの御仁、「見た事がない」との答え。そうだろう、私もそんな男は知らない。うちの練習を見に来たこともない。ついでのことだから聞いてみた。「ではK先生の練習を知っていますか?」 するとそれも「知らない」との答え。私はやんわりと言った。「じゃあ、あなたは私の練習も、K先生の練習も知らないんじゃないですか。どうして私をK(先生)コピーだと言えるのですか?」

 その男、なにやら煮え切らないでもにゃもにゃ言っていたが、驚いたのはその酒席に数人、同じようなことを言っている男がいたことだ。私は「アホかいな」と思った。一応総合優勝をしたということは、K先生にも勝たなければならないということである。K先生と同じことをやっていて勝てるわけがないだろう。

 ましてやコピーなどでは、K先生を100点としたら、いくら頑張ってもせいぜいが90点くらいのもの。普通にやっただけなら60~70点くらいがいいところだろう。私は相手に勝とうと思ったら、絶対に同じことはやらないよ。勿論相手のことは徹底的に研究するだろうけどね。『孫子の兵法』にも言っているよね、「知彼知我百戦不殆」って。兵法への傾倒は、指導者として本格的に勉強を始める以前からだったからね。相手に勝とうとしたら、当然そうやったと思うよ。

 相手を知りぬいた上で、それを超えることをやらないと勝てるはずがない。大ベテランを相手にすればそうするしかない。ベテランは若手が見落とすところを、きっちり詰めてくるからね。

 驚いたことにK先生の後を継いで(そしてチームをぼろぼろにしてしまった)指導した若い指導者が私のところに勉強に来たときも、同じようなことを言った。一通り私のチームの練習を見たり体験したり(何を見て、何を体験したのか知らないが。勉強をしていない人が、いきなりこちらの研究の粋を見ても、普通は、ポイントを見落としてしまう)した後のたもうた。

「K(先生)コピーと聞いたから、同じ事をやっているのだろうと思ってきたけど、やっていることが全然違う」 私は「あったりまえだろう、この唐辺木が」と思ったけれど、穏やかに「同じ事をやっていたら、K先生みたいな凄い人には勝てないよ」とだけ答えておいた。彼は私が絶対にさせないような欠点だらけの動きを何度も繰り返し、私の練習を盗んだ気になって帰っていった(それからそのチームを潰すのに時間はかからなかったんだけどね。K先生が指導しておられたころは、合宿などではいつも、種目に関わらず自分のチームの選手を、私の指導していたブロックに入れておられたけれど、彼にはそんな芸当はできなかった)。

 コピーなんてことを、見もせずに言うんじゃない!! 私とK先生はそれから長い時間が経過した現在でも親しくつき合わせていただいているが、私に「K(先生)コピー」と言った連中は、あれ以来まったく顔を合わせていない。

 最近私が何冊か本を出した。すると時々何を勘違いしたのか、有名な特定個人の動きを説明していると仰る方がおられる。私としては(きっと)私の著書を購入してくださって、呼んだ結果仰っているのだろうと思うので、お客様だと思うから、特にあれこれ発言はしなかったが、少し気になることがあったので、今回少しだけ触れておこう。誤解したままだと、できるはずの動きも、出来ないままで終わるかもしれないから。これは読者サービスだね。

 はっきり言って私には、この人たちが指摘している人の動きを説明する気など、爪の垢ほどもございません。確かに私は動作分析は得意です。これはK先生と長い間切磋琢磨した時代に、いろんな指導を受けたり、自分で研讃したり、それ以降も研究を続けて身につけたものです。

 でも私が動作分析するとすれば、誰もが認める素晴らしいパフォーマンスを出した人のものですね。そして個人的に研究したとしても、公表したりはしません。知りたかったら直に私に聞きにくるしかありません(そうしている人はおられます)。どうしてかというと、特定個人の動きは、やはり特定個人の動きだからです。その人にしかできないかも知れない動きを、他の人に紹介しても仕方がないですもん。

 私は誰か特定個人が凄いから説明しよう、なんて気はちっともないんです。私が書いているのは人間賛歌です。普通の人、平凡に暮らしている人でも、こんな練習をしたら、こんなことができますよ。こんな機能を開発して、こうやって融合させればこんなこともできますよ。そう言っているだけなのです。

 だから私は「科学」という手法を重視しているはずです。科学は「客観性」「普遍性」「再現性」が不可欠ですからね。だからこそ、誰でもできる可能性があるんですよ。「科学」を否定なんかしたら、「この動きは、普通の人ではできない」なんてことが平気で言えるじゃないですか。私のかつての師匠が仰いました。「相手だって人間だよ。手や足が3本も4本もあるわけじゃない。自分と同じ2本なんだ。だからやればできるんだよ!」 だから科学を否定している人の発言は、私はある種の嫌らしさを感じてしまいますよね。

 もちろん「科学否定」も、しっかりした科学的知識を持った上でされるのなら、一度は聞いてみる値打ちがあると思います。でも科学的知識が欠如した状態で言われているのなら、あまり聞いてみる気にはなりませんよ。だいたい忙しいですから、そんなものを聞く時間があったら寝ます。寝れば疲れが取れますから。

 特定個人の動きには、果たして「客観性」「普遍性」「再現性」があるんでしょうか? 大リーグで野茂投手が大活躍した頃、トルネードを真似した子供がたくさんいました。その中から第二、第三の野茂投手は生まれましたか? イチロー選手は相変わらず素晴らしい活躍をされています。でもイチロー選手のマネをすれば、誰でもイチロー選手になれましたか? でも誰か凄いと社会一般で思われている人の動きを真似すれば、その人がやったことのないスポーツや競技でも通用するんですか? それはもうある程度まで結果が出たじゃないですか、「古武術を応用する」って試みの中で。

 もちろん私も彼らの素晴らしい動きは分析しています。でも細かい部分にはあまり注目していません。彼らの動きの力学的、生理学的な原則には注目していますけどね。どこかで書いたことがあると思います。私は名選手が10人いたら、その10人の共通点を一番に探すってね。それは素晴らしい選手になるための共通項、つまり大原則かも知れないですもんね。

 だから特定個人の動きの説明など、する気もありませんよ、少なくとも今までと、現時点ではね。第一よく読んでいただければ、わかるんではないかと思いますが。べつに誰かの動きを説明する気はなくても、私は「科学的手法」にこだわっていますから(それは万人にできるものを追い求めているから。もちろん、体格、年齢などの問題によってできないこともありますけどね、残念ながら)、科学的に矛盾のない説明をしようとは思っていますけど。これにはこだわりがあるかも知れません。でもそれは特定個人の動きではございません。

 以前、私の指導がK(先生)コピーだと仰った方は、そう思わないと、あまりにも指導者デビューから頂点までが早すぎたから、誰か優れた人の真似をしたからできたんだと安心したかったんでしょうね。現在も私が誰か特定個人の動きの説明をしていると思うことで、どこか安心したいのではありませんか? 何故だかは知りませんけど。

 残念ながら私は自分の道を歩いていこうとしています。必要を感じたら、遠慮なく練習にいったり学びに行ったりしますが、だからといってそこで出遭った誰かの動きの説明をしてみようとは思いません。他人の動きは所詮他人の動きです。自分には細かいところまではわかりません。わかりもしない他人の動きをいかにもわかったように書くと、どうしてもどこか違和感があるんですよ。動きを原稿にするって、大変に難しい作業ですからね。

 何かに気がついたとき、「あ、昔の人はこういう言い方をしたのか!」なんて感動することはあります。でもそれは昔の人の動きを説明したのではなくて、自分の身体が昔の人と同じような動き方ができて、その時の自分の感覚として言っているだけですな。

 これもどこかで書いたと思いますが、「安心」というのは活体での身体運用にはありません。あっても安定です。心が安心すると、身体は動くことを忘れてしまいます。すると死に体になってしまうんですな。精神的な安定はありますが(最近、あまりに忙しくて、若干安定を欠いていますが…)安定した精神は、案外活体とつながることが多いようですよ。あまり書くと、次の身体運用本のネタがバレちゃうかも知れないので、このあたりで止めておきましょう。どうせガチガチの科学理論を展開するんだけどね。それでもちゃんと、普通にはできないと思える動きができるんだけど… 

 自然界には、自然界を支配する法則の通りの現象しか起こりません。だから私は科学です。はい。Photo

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2009年6月 7日 (日)

器に相応しい・1

 人にはそれぞれ器というものがありまして、もちろん人は生き物ですから、努力によって器を大きくすることは可能だと(私は)思っております。そしてだいたいその人間の器は、やったことによって測ることができるものだと思っております。たまに、天の時と地の利、人の和を得ることができなくて、器相応のことができなかったり、評価を受けていなかったりすることはありますが。

 そういうときにも「毛遂自薦」のように、自分で売り込んで大きな手柄を立てる人もいるわけで、売り込むことを含めて器と考えることができるかもしれません。アメリカの諺に「宣伝も広告もない商売は、暗闇で女の子にウィンクするようなものだ」というのがあるそうで、売り込むことも行動力の一つの証だと考えられますからね。

 そういう目で物事を見ていくと、だいたいの人は自分の器からあまりはみ出たことをやらないことがわかりますし、相手の行動の先が見えてきますよ。ただ私は今までで身近な人間の器を読みそこねていたことがあります。それは自分の親父でした。そんなに大物だとは思えなかったんですけど、死ぬときになってやっと自分本来の器を見せてくれました。

 後からですが、「これは親父を超えるのは、ちょっとホネだな」と感じてしまいましたが、これなんか間違いなく、天の時と地の利、人の和に恵まれていなかったのではないかと思っています。宣伝するのも苦手だったみたいですし。幸いなことに私は途中でそれに気づいたので、急いで自分の生き方に反映させてもらっていますが。それは親父から私への、最後の教えだと感じたからですけどね。

 それはさておき、歴史上の人物も、大きな器を見せていたはずの人が、途中で突然その器に相応しくない行動を取ったりすることがあります。歴史上の人物でなくても、何かで先進的なことを言っていた人が、突然、同じ事を繰り返したり、なんだか変な方向に走り出したりすることがあります。これは簡単な理由であることが少なくありません。

 たとえば何かの研究なんかで先進的なことをやっていた人が、突然止まってしまったり、変な方向へ行きだしたら、果たしてその研究はその人個人の研究だったのか、という懸念をした方が言いようです。もしかしたらその人の傍に、本当に優れた人がいて、その人が去ったから、最新の情報が入手できなくなる。すると「盗作」の悲しさで、自分でその研究を進めていくことができなくなって、立ち止まってしまうんですね。

 自分でやって来たことなら、それまでの経過がありますし、経過があれば進むべき道も、たまに迷うことはあっても、そんなに長い期間迷いっぱなしってことはありませんもの。でも他人のものを取っただけだったら、経過は詳しくはしらないし、当然とこからどう展開していくかはわからないものですね。

 結果よりも経過が大切ってのは、本当はこういうことなんですよ。それに第一、結果なんてなかなか出ませんもん、生きている間には。経過がしっかりしている人は、その器に相応しいことをやっていくでしょうし、不幸にして生きている間にいい形にならなくても、必ず誰か後を継いでくれる人が出てきます。

 でも経過を粗末にして他人に依存する人は、依存できる人がいる間は、自分本来の器よりもはるかに大きなことを発表したり、やりそうな感じを見せますが、いつまでも人間関係が続くとは限りませんから、そういう時には自分本来の器を露呈します。これが器に相応しくなさそうに感じられるんですな。本当の器を見せているだけなのに。

 歴史上の人物で、突然器が小さくなったような行動をする人がいます。例えば太閤秀吉の朝鮮出兵など、あれを老人になって誇大妄想になってしまったなどと解釈してしまえば、それまでの秀吉の行動とは別人のような小さな器になってしまいます。でも井沢元彦さんが『逆説の日本史』の中で述べられているような理由での出兵と考えれば、死ぬまで秀吉は秀Photo吉だったんだなあと納得がいきます。

 そんな感じで私は歴史上の人物も見るようにしていますが、古代中国歴史でもそんな男がいます。それは前漢を打ち立てた最大の功労者の一人、韓信でございます。この男は様々な逸話の持ち主で、貧しくて亭長の家に居候していた頃の情けない話が「股くぐり韓信」であったり、洗濯婆の握り飯を分けてもらった話であったりします。

 これって十分器が小さいと思う人がいるかも知れませんが、私の味方は逆ですな。大事の前の小事で、胸に大望を持った本物の漢であれば、あえて恥を忍ぶかも知れません。だいたいどんな人だって「貧すれば鈍する」という言葉の通り、鈍りますからね。最盛期の韓信のような切れ味がなくても不思議はありません。

 戦下手の劉邦の別働隊となって、どんどん項羽の側面Photo_2を攻め破り、斉王の地位を奪い取ってしまうわけですが、この韓信の死に方にはどうも納得がいかなかったのです。戦上手で(後の『三国演義』なんかで諸葛孔明が使ったという戦術の中にも、韓信が発明したものが結構混じっていますな。小説はどうでもかけますから、孔明の方が作り事でしょう)、それこそ「元祖天下三分の計」を可能にした大兵家にしては、死に方がしょぼい。

 彼の実力を恐れた劉邦の方針で様々な難癖をつけられ、斉王から楚王へ、そして淮陰侯へと格下げされ、陳xi(豚の右に希:日本ではちんきと読まれる)が反乱を起こすのき呼応して、都で同時に反乱を起こそうとして、その陰謀を使用人に、留守を守るxiao(嘯の上に草冠で口なし)何(日本では「しょPhoto_3うか」と呼ばれる)と呂后にタレこまれ、偽りの詔で参内させられたあと、長楽宮の鐘室で殺されているのである。

 そんなバカな、というのが私の最初からの見解だった。神のごとき用兵の達人が、そんな簡単な計略にかかるわけがないし、自分直属の軍団がいなくなって動くはずがないのである。もともと戦になれば劉邦などでは韓信の10倍の兵力があっても勝負になるまい。どうしてそんなチョンボをする? そんな思いが強かったんですな。

 だいたい私が韓信ならば、斉王から楚王に封地を変えられた時に、戦にしていPhoto_6る(実際に楚王になったときも難癖をつけられている)。泥仕合に持ち込めば、劉邦に勝ち目はなかったはずだ。だいたい武断派の中には、韓信派が多かったはずだから(劉邦の義弟なども、ほとんど韓信を崇拝していたらしいから)、勝負は見えている。そんな勝機を逃して、直属の将兵を持たなくなるまで反乱を起こさないということは、反乱を起こす気がなかったことに他ならない。

 それに殺された時が問題だ。普通ならば韓信のような大物を殺すのであるから、大衆にもわかるように公明正大な(見せ掛けだけでも)裁判を行うのが当たり前であろう。これは「功臣であっても反逆は許さぬ」という見せしめ効果も大きかったはずだ。そしてその裁判は当然、劉邦がいなくてはできPhoto_4ないはずだ。ところが肝心の劉邦は陳xiの反乱を鎮圧しにでかけていて留守だったのである。普通なら韓信を捉えたら、牢で劉邦が帰るまで待つはずである。

 さらには場所が大問題である。鐘室というのは鐘が吊るされた部屋という意味だ。鐘を吊るした部屋は、罪人を処刑する場所ではない。罪人を処刑するのであれば、刑場であるべきだ。韓信のような大物を処刑するのだから、よけいにそれは大きな意味を持ってくる

 これだけのことから考えてみれば、大将軍韓信はどのように殺されたか、おおよそ想像できそうだ。私はPhoto_5韓信は陳xiの反乱には無関係だったと思う。ただその兵を指揮させたときの戦闘力は、劉邦にとって、天下を統一したあとでは悩みの種であったろう。なにしろまともにやりあったらまず絶対に勝てないのがわかっているのだから。

 ここから先は全くの私の想像であるが、おそらく韓信は暗殺された(という人は多い)。そして暗殺を指示したのは劉邦である。劉邦は腹心のXiao何(しょうPhoto_7か)に命じて、呂后からの呼び出し状で呼び出し、そこを伏せた兵に討ち取らせたと考える。韓信は武芸に優れていたという話は全くない。案外あっさり殺されてしまったのであろう。

 司馬遷の『史記』には「狡兎死、良狗煮;高鳥尽、良弓蔵;敵国破、謀臣亡」てなぐあいに上手に結んでいるけど、きっとそれくらいは韓信も知っていたと思うんだよ。彼も本当は張良みたいに隠遁生活をすることで、そういった迫害を逃れようとしていたのかも知れないんだよね。ただ韓信の場合にはあまりにも軍事的才能に秀ですぎていたのが、劉邦に警戒されたんだろうね。

 そしてその才能は、韓信自身はあまり高く評価していなかったから、隙を作っちゃったんじゃないかと、私は勝手に想像している。韓信自身は、自分は劉邦の上につくことは考えないくらいのお人よしか、あるいは政治的手腕に自身がなかったか、興味がなかったのかも知れないし。彼は自分を上手に使ってくれる上司を求めていただけかも知れないんだよね。最終的にはその上司に裏切られたのだが。

 う~ん、歴Photo_8史は面白い… と勝手にご満悦の今日の私であった……

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2009年6月 6日 (土)

ちょっと変わった食性・42 ~やっぱりお粥に砂糖は…~

 最近お粥の話題が出ないから、きっと飽きたのだとお思いの方もおられると思うが、結構私は忍耐強いので(なのに私には「忍耐が必要だ」と思っているやつもいるらしい。もしも私に「忍耐」がなかったら、すでに様々なことが起こっているだろう。私は常識人だし…少なくとも本人はそう信じている…、人並み以上の忍耐力も持っている)、まだまだ家で晩御飯を食べる時は、毎晩かかさず、まな板をとんとんやっているんだよ。

 でも味がもう安定してきて、決定的な失敗作はないので、普通のでは紹介するに足りないと思い始めたんだよね。それで変り種に挑戦したときくらいしか、載せる気にならなくなったのだ。それだけのこと。でも私に残された「お粥マスター」への課題がある。それは砂糖で味付けするお粥の解決である。

 ご存知のように日本でのお粥は、だいたいが白粥であって、京都方面では朝粥になんともいえないとろみをつけた、大変美味なものがある。私も食したことがあるが、これはこれで非常に素晴らしいお味であった。ただ幾つかの欠点があって、その中の最大のものの一つに、食べた気がしない(つまり量が足りない。お代わりしたら、おかみさんらしい人に険しい目つきで見られた。そこで最後には、「金は払うから、普通の朝ごはんを持ってきてくれ」と言ったら、おかみさんの顔が般若になった。どうしてなんだろうね? 我々…その時は大喰らいが3人ほどいた…が食べると、彼女らの朝ごはんがなくなるのであったのだろうか。ま、食の恨みは恐ろしいから、これ以上は書かないけど、でもサービスが悪いなと感じたのは事実である)ということがある。

 私は現在では「お粥は完全食品になり得る」と考えているので、いろいろと実験を繰り返しているが、その中でも対処法が難しいのが砂糖での味付けである。きっとこれからも苦労するだろうし、もしかしたら断念するかも知れない。それはそれは凄まじい味になるからである。

 ちょいと古Photoくなったリンゴがあったので、母にとっておくようにお願いしていた。中国粥に「リンゴ粥」があるのを知っていたからである。それにお粥にするリンゴである。新鮮な美味しいのはそのまま食べたほうが、加熱に弱い栄養分が摂取できてよいので、新しいのにはこだわらなかった。 これでざっと200gほどある。

Photo_2 こいつを小さく三角形になるように切っていく。こんなことは誰にだってできる。もしもこのお粥が美味しかったら、これは新しいお粥の発見になるなと、私は結構期待していた。新しい何かを発見すると一気に世界が広がるのは、お粥だけではない、身体運用でもまったく同じである。 だからたまには「挑戦」が不可欠だ。安住の地を求めてしまったら、計算はできるけど、感動がなくなってしまう。

50  お米は50gと書いてあったので、50gだけ洗う。でもよく考えてみたら、リンゴ200gにお米50gである。炊けばお米は膨らむけれど、いくらなんでもリンゴが多すぎない? まあいいや、とりあえずテキストに従おうってんで、このあたりの量は素直にしたがった。

 素直に従えなかったのはお砂糖の量である。なんと大匙2杯だという。おいおい、いくらなんでもそれじゃリンゴジャムになってしまわない?という懸念があったので、 とりあえず小匙半分にしておく。中国ではお粥が出てきてから、Photo_3お好みで調味料を加えたりすることが一般的に行われているので、もし足りなければお砂糖を好きなだけ振り掛ければよい。一緒に炊き込んだものは取り出せないが、足りなかったら後から足せばいいだけである(多少味が変わるけど)。

 それで上のような状態で、ことこと煮込んだ。どう見てもお粥を炊いているようには見えないよね。その間に、もしもこのお粥が食べられなかったときのことを考えて、もう一種類、これは完全に自信のあるお粥を仕掛ける。確かアミを使ったお粥であって、私が家でつくるお粥の主力の一つである。こちらは間違いなく、そこそこは食える。私は本来は慎重な性格である。

Photo_4  で、出来上がりはこうである。本当にお米が数えられるほどしかない。それならばまあいい。小匙半分の砂糖が、やたらと効いている。もしもこれで大匙2杯も入れていたらどうなったことか!! 想像してみるだけで寒気が走った。とても食えたもんじゃないよ。それでもなんとか喉の奥に流し込み、万一を考えて作っていたアミのお粥で、なんとか晩御飯を済ませることができた。

 結論:やっぱりお粥に砂糖は合わない。少なくとも私に関する限りは間違いない。これは基準となる味覚の問題であって、甘ければご馳走と考えている人間とは、まったく価値観が異Photo_5なる。暫くは砂糖味のお粥に挑戦する気がうせてしまったお粥であった。

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2009年6月 5日 (金)

マンガ好き・14 ~10年ぶりの恋人『企業戦士YAMAZAKI』・5…永遠のチャレンジャー~

 自分自身を「諦めがいい方」か、それとも「諦めが悪い方」かと考えてみると、凄く大雑把に世の中の人を2分すれば、きっと「諦めの悪い人間」だと思う。もちろん、何もかもに対してではない。凄くあっさりと諦めてしまうものもあれば、全然諦めないものもある。

 諦めない対象が具体的目的だったりなんかすると、何も表立って行動していないときが私の場合は一番やばい。なぜかというと、着々と自分の中で準備していることが多いからである。カンペキにできた準備は、あとはもうどう動こうと、必ず目的に到達してしまう。動きの必然律などということを言うくらいだから、私の考えることは当然こんなことになってしまう。

 動き出すまでに時間がかかるのは私の場合、多くのものがそうである。子供の頃はさっさと動き出して、動き出してから様々な問題があるのに気がついて、途中で挫折することも少なくなかった。でもその頃いろいろと挫折したお陰で、自分に足りないことを補おうと努力するようになった。お陰で準備に時間がかかるようになったのだが。

 人は次第に進化していくものでありたいと思う。思いつきで始めたことなど、途中でどうしても問題が起こって、それに対応するためにあれこれ変更を加えているうちに、社会的信用を失ったりする。もちろんどうしても変更を加えなければならないときには、断固として変えるべきなんだけどね。ここで変えなければ、優柔不断などと言われるし。まあ他人が何を言っても、大した問題はないんだけど。生きているのは自分で、自分の人生を歩めばいいんだPhotoから。

『企業戦士YAMAZAKI』の9巻には、こんなケースがあるように思う。50では「もうそろそろお認めになってはいかがです。 夢を捨て去ることなど、結局誰にもできないのだと!」ってのがある。でも一般社会で生きている人は、「夢を捨て去ることが大人になるということだ」なんていう人もいる。きっとそういった人が増えたから、大人になりたがらない子供が増えたんだろうけどね。そういう意味で、『企業戦士YAMAZAKI』の中で語られる言葉の意味は重い。

 51ではОLの戸川安子の台詞がいいねえ。「幸運が転がり込むのを待つだけのシンデレラは あまいおとぎ話にすぎません。私は自分自身に魔法をかけられるようになって シンデレラを超えてみたい! それが現代のシンデレラストーリーです」 う~ん。よくも富沢順さんは、毎回毎回こんなかっこいい台詞を思いつけたものだと感心してしまう。

 52では「目的のためには手段を選ばず それを恥じることもない!! いつからこの国はそんな人間ばかりになってしまったんだァーッ!!」とほえる木暮に、「嘆くだけで終わるのは 容認するのと同じ事ですよ、木暮さん。 では どうすれば良かったのかという答えを 次の世代に残さぬかぎり… ワタクシの道は完結しない!!」とYAMAZAKI。世の中ダメだしをするだけだったり、自分の境遇を嘆く人は多いけど、答えにこだわる人は少ないよねえ。私の身体運用なんか、答えにこだわりまくっていますよ。でないと、本当に人様に伝えるものにはならないもの。

 53では助手の倫子さんの就職の話が出たりするんだけど、ここには夢を乗せてくれた存在が描いてある。内田という出社拒否男を再生させた倫子に、内田が応えるシーンだ。「ボクも思い出したよ。懐かしい記憶… あたたかくて うれしくて… キュンとくるこの感じ… 自転車に乗る練習をしていた時の記憶だ! あの頃ボクたちは必死にペダルをこいでいた。補助輪という支えを失い 転倒の恐怖と闘いながら… そしてボクたちの後ろには… そっとアシストしてくれる人がいたんだよ! だからこそボクたちは… 転んでも 転んでも やり直すことができた!! ボクは今 もう一度勇気を出してペダルを踏み込まなきゃいけないんだ! 自分を支えてくれる何かを見つけるために! あたたかくて うれしくて キュンとくる日々を取り戻すために!!」

 こんな名作にすでにしなければならないことが書いてあるのに、ペダルを踏み込まなかった人たちが(それも結構社会に影響が大きな人たち)いたから、なんだか夢もチボーもなくなったようなきがしてしまいますね。私は勝手に夢を見、追い続けていますからいいですけど。なにしろ諦めが悪いもんで…

 でも「永遠のチャレンジャー」なんて、永遠に諦めが悪いってことだからね。諦めの悪さに乾杯Photo_2したいくらいだよ。

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2009年6月 4日 (木)

屋外がいいなあ…

 もうすっかり寒くはなくなりまして、昼は暑いときもあるけど、夕方くらいから凌ぎやすくなった今頃、例によってとことこ歩いていたら、川原の階段の上で、殺虫剤をカバンの中から覗かせたおじさんがいた。

 はてさて何をされるつもりなのかと思っていたら、カバンの中には何と缶ビールが入っていたりする。私は汗を書いている最中だったので、「お友達になりたいわぁ」と思ったのだが、そのまま知らない顔をして通り過ぎた。

 でも気持ちのいい風が通り向ける、いい日和だったんだよ。邪魔になるものといったら、昆虫ぐらいのものでね。本当は平日でなかったら、私がやりたいところだ。ちょっとしたつまみで、川原の河川敷に降りていく階段に腰を下ろし、そこでビールを一杯やる。もしかしたら、人生で最大の幸福の一つかも知れない。

 もちろんそのおじさんが、どういった理由で、そんなところで一杯やっているのかはわからない。もしかしたら家にいられない理由があって、仕方なくそこにいたのかも知れないし、会社で面白くないことがあって、「ええいっ!!」ってんで、そこに腰をおろしていたのかもしれない。でも一番いい気分になれる、いい時期にいたんだよ。

 自然環境が厳しすぎるところ以外は、案外こういった露天で、いろいろな食べ物を供してくれる店がある国は多い。亜熱帯に珠海でもこういった店はたくさんある。夕方でもまだ暑いので、ほとんど夜中といってもいいくらいの時間帯になったら、そういうところに出かけていくことがある。

 肉を焼いてくれる。それも孜然粉なんかを効かせて、なかなかピリッとしたいい味であったり、ニラのバーベキューであったり、牡蠣にニンニクをみじん切りにしたソースをかけたものであったり、焼き鳥にたいなものであったり、手羽や脚だったり、時には日本人狙いではないかと思う秋刀魚なんかが出てきたりする。決して高くない。

 でも不思議なことに、あまり日本の人に出くわしたことがない。ちょっと不潔に思えるからかなあ。でも屋外で食べるってのは、基本的にそんなに衛生的ではないと思うよ。昔々のことだけど、おにぎりを食べようとした瞬間、一陣の風が砂埃を舞い上げ、一瞬で普通のおにぎりが、「ごま塩」に化けたことがあったりしたし。

 昔、つりによく行っていたころは、途中で寒くなったら淹れて呑もうと思っていたインスタントココアが、ちょっと目を放したすきに、カラスにつつかれて、袋ごと「わや」にされていたことがあったりする。でもカラスに穴を開けられてなかったココアは、あとからちゃんと呑んだよ。

 特に焼肉は屋外に限りますなあ。私が屋外で食べるのは、いつか本ブログで紹介した『錦水』のお肉だけだけど、山で食べるのは美味しいよ。それより美味しいのは海だけどね。決して衛生的ではないけれど、美味しさときたら屋内で食べる何十倍にもなる。昔はよくやったんだけどなあ。

 どうして屋外だとあんなに美味しく感じるのだろうか。やはり味というのは調味料だけが決めるものではないからだろう。雰囲気がいいと、味は何倍にも美味しく感じるものだ。今の忙しさが少しらくになったら、きっとやろう、屋外どんちゃん騒ぎ(他人の迷惑に ならないように)。

 清潔とかPhoto不潔とかを超越した美味しさがあったりするので、また楽しんでみたいよね。

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2009年6月 3日 (水)

マンガ好き・13 ~10年ぶりの恋人『企業戦士YAMAZAKI』・4 名言は流れの中で作られる~

 名言を出せる人の一般的な特徴は、やはり人生なんじゃないかと思う。もちろん、長い人生から名言を生み出す人もいるだろうし、長くはなくても、深い洞察から生み出す人もいるだろう。人とは異なった観点から、思いもかけない名言を生み出す人もいるに違いない。

 けれども名言が名言として認められるには、やはりTPOが大切だと思う。例えばみんな大人しく座禅を組んでいるときに、突然「う~ん、やっぱり沈黙は金だっ!!」などと喚いたら、満座がしらけわたるかも知れないし、キョウサクでぽかりとやられてしまうだろう。

 だから名言が本来の輝きを持つのは、その言葉を必要とした状況を知っている場合ではないかと思う。だからいたずらに名言集などを作っても仕方がないんだけど、やはり『企業戦士YAMAZAKI』は素晴らしい作品だと思うので、ほんの少しでも紹介してしまいたくなってしPhoto_3まう。

  第八巻はBUSINESS43から始まる。ここでもYAMAZAKIは「本来ビジネスとは人を活かすためにあるはず!」と、この作品の中で何度となく繰り返される言葉をいい(実は私は若い頃から、この言葉に大変共感している)、「男であろうと女であろうと 真理に変わりはない!!」と続けている。

 BUSINESS44では新しい製品の開発には、ある小さなメーカーの技術が絶対必要になったが、そこの社長は、かつての仲良しで、あるときその子を苛めてしまった男をYAMAZAKIが助ける。そして「あちらはアナタにお会いしたがっておいでですよ。しかしアナタの側にその資格があるのかどうか ワタクシは確認せねばならなかった!」

 この男が苛めていらい学校へ来なくなっていた男も、技術提携が決まった席で「友を記憶する、素晴らしい製品ですな、山崎さん」と語りかけるのに対し、「いや、記憶されるべき『人』こそがすばらしいのでしょう」。この作品のテーマがよくわかる会話ですな。結局は人と人のつながりが大切なのだと。

 BUSINESS45もいい会話があるよ。不運から出世コースを外されて不貞腐れている蔵野主任を元気づける倫子ちゃんの言葉がいい。「ふん、山崎さんはワタシをかいかぶっているのさ」それに対して倫子ちゃん「この際ウソでもいいから かいかぶりに応えてみたら? 自分の事を過大評価してくれる人を裏切りたくないから、みんながんばるんだよ」 「へっ! どいつもこいつも余計なお世話だ!!」 「余計なお世話をやかずにいられない相手がいたっていいじゃないか!!」 ねえ、下手なカウンセラーよりもはるかに説得力がありますよ。テクニックよりも迫力だねえ。

 この蔵野主任はなかなかいいことを言う人で、こんなのもありますな。「どうして倫子さんは こんなワタシを 真剣になって励ましてくれたんでしょう」 それに対してYAMAZAKIは「アナタに好意を抱いたんでしょ」 だが蔵野は「フ…違いますよ。きっと彼女はワタシに自身と誇りを取り戻させて 家族の元に帰したかったんだ。 あなたのためですよ 山崎さん! 彼女は あなたを支える家族の絆を不滅と信じたかった! そうでなければ あなたは支えを失ってしまうからだ!!」 ほんとにハートウオーミングな作品だよ。読むだけで心が温かくなる(『読むだけであなたは身を守れる』のは私の最新刊ですが)。

 BUSINESS46もよろしいですな。「自分の仕事の社会的位置づけもわからずに ただ消費のために働き続けるのなら… アナタは単なるドレイです!」 ドレイでないと胸を張れる人は、この世の中の何割くらいいるんだろう? 仕事ってほんとはこうでなきゃね。

 BUSINESS47ではどうも自分探しがテーマになっているように感じるんだけど、倫子ちゃんが作られたはいいが、テナントが決まらないままで3年以上空き家になっている広い部屋を見て一言、「なんか… アタシに似てるな…この部屋だって 完成した時にはきっと 自分が何かになれると夢を見ていたはずだよ。なのに何もできないまま… 何モノにもなれずにいる…」 

 こういった感じを覚える人は、けっこういるんじゃないかな。私なんかそれが怖くて、がむしゃらに頑張った時代があるけれどね。自分が何モノかを見つけるまでは、我武者羅にやってみるしかないもん。頑張っているうちに、いろんなことが気がついたり、わかったりするからね。

 YAMAZAKIも戦うときにこう言う。「自分が何モノかという答えなど存在しない。それを知るために戦い続ける自分がいるだけです!」確かに。人は次第に変化していくものだからね。自分を捕まえたと思っても、そんな自分もまた変化していくからね。 だがここで超戦闘モードに変換できなくて彼は敗れてしまう。そしてBUSINESS48へと続いていくのである。

 その結果、仕事以外の記憶をなくしてしまったYAMAZAKIに、恋心を抱く倫子は、実はYAMAZAKIは自分のために働いているのだという偽りの記憶を植えつけようとしたりするのだが、自分の行為が許せなくなった倫子は、最後の最後に真相を打ち明ける。「あんたはこのキュークツな世の中の仕組みに押しつぶされて過労死したんだ。そして生き返った。少しでも多くのお金を家族に遺すために…! でもお金だけじゃ十分じゃない! 家族を幸福にするためには 誰もがみんな生きられる世の中を遺す必要があったんだよ!!」

 ねえ!! こんな素敵な人間関係を主張できる世の中だったら、どんなにか素敵なんだろうって思っちゃうよね。でも素敵な世の中にしなくちゃいけないんだと、作者はそう語りかけているような気がするんだけどね。マンガ喫茶かどこかで見か けたら、ぜひ読んでみることをお薦めPhotoいたしますよ。

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2009年6月 2日 (火)

世襲っ!!

 とうとう昨日は、昨日の予定をこなすことができなかった。こういうのって、どうも気持ちが悪い。なんとなくトイレに行ったのに、出きらなかったみたいで(のっけから下ネタでまことにすみませぬ。特にお食事中の方、すみません)。まあ私の仕事での、スタミナとスピードが鈍ってきたということでしょう。

 でもチビダト(小さいダトニオ・イデス…最近、あまり小さくもないか)の水替えはしなければならないし(ペットを飼うってのは、生命の契約だからねえ。悪魔みたいに死んだ瞬間、地獄へ連れ込むだけが「生命の契約」ではないよ。快適に暮らしていただいて、いつも綺麗な姿を見せてもらうのも、これまた立派な「生命の契約」だ)、仕事もやっておかないと、と思ったのだが、やはり少し残っちゃった。

 今日やれば、と思っていたら、今日には今日の仕事がごまんとあって、今のままでは、まるでトコロテンのように、仕事が明日、明後日に押し出されてしまう。これはとてもまずい状態なので、なんとしても昨日の借金は今日返済しておかねばならない。いつも「尻に火がついた状態」だなあ。

 この状態は何かを根本的に変えてしまわないと、絶対に矯正できないのではないかと、最近になってやっと考え始めた。気がつくのが遅いのは、私にとっては今に始まったことではなく、いつものことである。

 何かを根本的に変えるとなると、一番根本的なのは、私が私でなくなることであろう。私がやっていることを、全然違う他人にやらせてみるとよい(「できてたまるか」というプライドはあるんだけどね)。環境を変えてしまう手だってある。何もしないという選択肢もないわけではないけれど、まあこれは私には無理というものであろう。私は鮫かマグロのような生き物だから、泳いでいなければ死んでしまう。

 根本的に変えれば、変えたときには様々な問題が起こって、事務処理の渋滞のようなことが起こるだろうが、同じことをしているようでも、人によってやり方はみな違うので、いろんな部署が活性化される。老化した部署などは、状況が変わったときに、一気に整理されたりしてしまう。

 もちろん、なんでもかんでも変えればいいというものではないけれど。変えてはならないものを変えると、それまで営々として築き上げてきていたものが、一瞬で瓦解したりするからね。「私が死んだ後も、私が作ったとおり、変えてはならん」と言ったのは諸葛孔明だが、「変えてはならん」っつったって、人間は誰でも死んでいくからね。費偉が殺されたあとは、孔明体制は一気に崩れて、蜀は弱体化していくもの。

 にしても変わらなければならないものを変えなかったら、それはいろんな弊害を生むだろうね。例えば毎晩呑みすぎる習慣を改めなければ、身体を壊してしまうだろうし、浪費壁を直さなければ、経済的ピンチになるだろうし、いつまでも同じ人に頼ってばかりいたのでは、どんな人でもその人の経験だけに基づいたことしかできなくなってしまうだろうし。

 今の日本では、政治家の世襲問題が、やっと声高に議論されるようになった。いつかも本ブログで取り上げたけど、私は優れた人材で、政治的なセンス抜群の人であれば、世襲であっても構わないと思っている。要するに、我々が幸せに生活できればいいからだ。

 でも自分達の利益だけのための世襲ならば、もういい加減にしてくれと言いたくなる。確かに世襲にすれば、後継者選びで苦労はしないだろう。でも苦労しないで選んだ後継者が滅茶苦茶をしてくれたら、みんなの迷惑だからね。

 今日のニュースで見たんだけれど、某国家でも3代続きの世襲になりそうだという。私には何の関係もないことだけど、3代も続いてリーダー性抜群の人材って、なかなか輩出しないんだよね。一般的には、親が苦労して、子供が楽をして、孫の代には目茶になるといわれている(子供の頃から、うちの親父によく言われた)。

 まあ後継者を世襲で選び始めたら、すでにその後継者は何らかの勢力の緩衝地帯的な存在ではないかと、私なんかはすぐに疑ってしまいたくなるんだが、そうなると現実の力も持たないことが多く、所謂担がれた神輿みたいになるんではないかと思うね。

 神輿を担ぐと、直接的な批判や抵抗は、とりあえず神輿に集まるもので、担いでいる人たちは、知らん顔して、結構自分の好きなことができたりするからね。ま、これも歴史好きの故ない想像であればいいんだけど。実際のところはどうなんだろう?

 でも変えなければならないときに変えないってことは、今日できなかったことが、明日も出来ないままで残ってしまうことだよ。どこかで一発踏ん張って、きっちりやってしまわないと! ということで、昨日やるはずだった仕事を、これからやってしまいますね。Photo

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2009年6月 1日 (月)

マンガ好き・12 ~10年ぶりの恋人『企業戦士YAMAZAKI』・3 名言とは厳しさを含むものだ~

 どうしてこんなに時間がないのだろう、という悩みは今に始まったわけではありませんで、私の場合就職してからずうっとそうだったような気がしますわい。こんなに忙しくて、俺は大丈夫か? と思い続けて、なんとか改善しようと思うのに、毎年その忙しさに磨きがかかって、今や昨日できなかったことを、今日のどこに填めようか、その代わり今日できなかったことを明日のどこにはめ込もうかと、時間の自転車操業状態でございます。

 こんな時に、人の時間を束縛して平気なヤツが出てくると、怒髪天を衝きますな。お前、俺の代わりが出来るんか~っ!! なんてね。最近ずうとこの有様なので、かなり疲れが出ておりますよ。でもまだまだ、企業戦士YAMAZAKIに比べたら、甘いもんですな。ということで、本日も名言を拾っていきましょう。

 勿論、名言はすべてある流れの中で発せられるから名言になるわけで、ぜひこの名作マンガをまだ読まれていない人には、ご一読をおススメいたします。

Photo  第七巻、これもなかなかの厳しい名言がちりばめられておりますぞ。BUSINESS37は学習塾の建て直しに乗り込むYAMAZAKIだが、企画会議で倫子さんの台詞がいいねえ。「あんたらがもし人生の先輩だというんなら、理想は実現できることを キッチリ証明してくれよ!! そうじゃなきゃアタシらは困っちゃうじゃないか!」 ですよねえ。子供の頃には「理想を持って生きなさい」なんてねじを巻くだけ巻いといて、大人になったら「理想と現実は違う」だなんて、あまりにも言うことがカッコ悪すぎるよね。

 でYAMAZAKIに触発された保永という社員が、「育てるってことはね、こっちの望みどおりの形に仕立て上げることとは違うんだ。相手がもともと持っている能力を 最大限に引き出してあげることを言うのさ!」 これって身体運用とまったく同じだよ。少なくとも私の考えている身体運用とは同じだね。100人いれば100通りの能力を持った人間がいるから、世の中楽しいんだもんね。

 そして保永のためならと思っていた倫子さんのために、塾の経営者である保永の父親の退陣と引き換えに、追加融資を認めたのを隠し、保永を試したYAMAZAKIが高電子トランジスタガンでぼろぼろにされながら言う言葉がある。「アナタが倫子さんにふさわしい相手かどうか、アナタの人生の質を確認する必要があった!」 かっちょいい~っ!

 それでも保永のところには残らないで、YAMAZAKIとともに去っていく倫子。エンディングに雪を降らせるところがいい。倫子の「いっぱいふるといいね。雪は悲しいことや辛い事もキレイにかざりたててくれるもん」 するとYAMAZAKIが「そして美しいものをより美しく見せる」 はい、そうかも知れません。私にはそういう経験はありませんでしたが。

 40では私もよく似たことを言うのがありますな。「より良い生活を送るために必要なのは、知識ではなく知恵なのですから。いかに新しいものでも 状況によっては老化しますしね」 でも知恵のある人って、最低限度の知識は持っているものだけどね。そしてこのBUSINESSの〆は「人には貫くべき道があることぐらい アナタもご存知のはず! 知らないふりなど最大の恥! 自分自身をナメてはいけない!!」 勿論この通りに生きたら、人に嫌われることもありますけどね。でも私は好きだなあ。

 42にも重たい言葉がありますぞ。「人の強さを計る尺度など存在しないでしょう。人はゲームのコマではないのですから。思い悩むことを捨てた人間は 確かに強く見えるかもしれません。しかし思考停止した人間ほど 足元が崩れやすく もろいものはない。 もしかしたらこの世で一番強い人間とは、自分の弱さに徹した人間かも知れない!!」 まったく同感ですな。でもまあ、中途半端なやつほど、自分がいかにも出きる人間ってかっこしたますし、弱みなどないかのように行動しますからなあ。

 ということでPhoto_2、今日はまだごまんと仕事があるので、仕事に戻ります。

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