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2009年7月 5日 (日)

弥生時代の香り

 久々に岡山市津島の、岡山県総合グラウンドに顔を出した。今日は何種目か試合が重なっているとかで、駐車場は満杯。どこにも停めるところがなかったので、まことにすまないことだが、津島モール駐車場をお借りした(ごめんなさい。でもその代わり、我々の集団の誰かが買い物をして帰ったはずである)。

 だいたいここは駐車場が少なすぎる。いや、決して狭いわけではない。空いた土地はいくらでもある。なんでこんなに空き地が多いのに、駐車できないのかわからない。現在の「桃太郎スタジアム(通称モモスタ)」が建設される前も、随分遺跡の保存とかで、すったもんだがあった場所だ。

 遺跡の保存は大切だと思う。でも今生きている人の生活は、もっと大事なんじゃないかな。だいたい岡山県は古代吉備王国があったところだ。一説によれば、一時は大和朝廷よりも勢力を誇ったのではないかと言われる。そんな場所なら、地面を掘ったらたいていは何か出てきても当たり前だ。

 私の親戚の田んぼのところだって、昔には何か値打ちのあるものが発掘されたらしい。でもそこは今は百間川の底になっている。江戸時代に川にされてしまったら、その遺跡は保護されなくてもよく、昭和になって発掘されたら、どんなことがあっても動かさないなんてえのは、どこかがおかしい。しかも「国指定」という面白い「葵の印籠」まで取り付けてしまっている。何か学問と関連ありそうで、その実なさそうな、権力の構造が見えてきそうである。

 せっかくそこまでして守ろうとする遺跡なのだから、ちょっくら見てやるべえと覗いてみた。Photo Photo_2 Photo_3 こんな感じで、いかにも遺跡公園でございます的な看板があったりする。もちろんこういうものをなくしてしまえとは、私は思っていない。私もこういう遺跡などというものは嫌いではないからである。ただ現実の生活と比べてみて、本当にここにこういった広大な施設(なければ車1000台は駐車できるのではないだろうか)を作る値打ちがあるかということだ。

 まして「国指定史跡 津島遺跡」とでかでかと書いてあるくらいなら、どのくらい真剣に遺跡の保護を考えているかを知りたくなる。熱意は人を動かす。熱意がなければ、人はしらける。わけもわからないで権力を振り回したあとが見えれば、人はいい感じを持たない。Photo_4

 これはまあ高床式の倉庫なのだろう。あまりに形が整いすぎているのが気に食わないが、少しばかり細かいところまで見てやろう。なにしろ今日の私は駐車場探しで若干機嫌が悪い。なんとなく「消火器」と書いた真っ赤な箱ばかりが目についてしまうのであるが…Photo_5 Photo_6 Photo_7

 本当はまだまだたくさんあったのだが、どの写真にも共通しているのは、金属製のネジで留めてある点である。これはちょっと許せんなと私は感じた。いいですか、遺跡を再現しているんでしょう? 再現というのは、可能な限り当時の状況に随って、当時の状況を作っていかなければならないのだ。こんなネジなんて弥生時代にあったはずがない。日本でネジが発達したのは、火縄銃が入って以降のことである。以後読み(1543)やすくなる戦の行方だからネジなんか絶対に使ってはならないはずだ。手抜きをするな、手抜きを。

 Photo_8 Photo_9 Photo_10 Photo_11 これも腹が立った。見てわかる通り、見事に木が切りそろえられてある。弥生時代に鋸があったとでも思っているんだろうか。ついでに屋根を葺いてあるのは萱ではなく稲わらであったが(稲作をしていたら、そういうこともあったかも知れない)、何でこんなに綺麗に切りそろえているんだ? まさか弥生時代に鋏があったと言うんじゃないだろうな? 鋸は綺麗に切っておかないと、粗忽な人が怪我をするのを恐れたのかも知れないが、本来粗忽な人が怪我をするかもしれないようなところに、こんなものを作って置くべきではない。ましてや高床式の外は板がわざとらしく石斧かなんかで削ったように見せてあったが、中は綺麗な板であった。弥生時代に鉋や円鋸盤があったと言うんじゃなかろうな。

Photo_12 Photo_13 Photo_14 もう一棟、高床式のものがあったが、これはまた立派な板が使われている。いくら縄文時代から近代にいたる複合遺跡かなにかしらないけれど、これが立てられているのは、竪穴指揮住居の隣だよ。竪穴指揮住居の頃に、こんなものはあったの。真ん中の写真の防鳥ネットは、鳥から守るためらしいので絡まないけど。Photo_15 Photo_16 Photo_17

 竪穴指揮住居がこれまた抱腹絶倒ものだった。この遺跡公園の中で最も古いらしく、見事に「私は古い」なんて色をしていたけど。でもね、入り口を支えるステンレスの鎖は止めてよね。それとその先にあるアルミの金具なんか。アルミがいつ頃精錬できるようになったかわかっているの? それとも古代のことばかり考えて、近代のことはわからなくなっちまったの?

 中でも私を激怒させたのは、数百台の車を駐車できそうなスペースを使って作っている、水田である。Photo_18 なんと土の上にコンクリを流して作った水田である。遺跡を復元するんだかなんだか知らないが、土は生き物である。様々な生物が土の中に住んでいる。その表面をコンクリで覆うことの愚を知らないのだろうか。川を殺したければ、光が届かないようにコンクリでふたをすればいい。土地を殺したければ、土が息ができないように、こういうふうにコンクリだのアスファルトだのを上に敷けばよい。なんという立派な遺跡なんだ! 涙も出てこないわ!!(怒りは噴き上げそうになるけど)こんなことにされるなら、駐車場にされるほうが、何倍も土地が喜ぶぞ。

 何を思って作ったのPhoto_20か意図が不明なPhoto_19小川があった。もちろんコンクリを流して作ってあった。そしてさらに嬉しいことに、その一番上流には塩ビ管で作ったトンネルがある。遺跡を保護するのかなんだか知らないが、根本的に自然を嘗めてないか? 弥生時代を言えば人間達は、今よりはもっともっと自然に近い生活をしていたはずだ。それがわからないで、形だけ作ってみたところで、何が遺跡だ。こんなものに国指定などと書くのは、その人間の理性を疑うよ。Photo_21

 そうそうこの横にはこんなものがありましたっけ。弥生時代に作っていた作物の様子とでもいいたいのかな? 言ったでしょ。もっと自然が身近にあったんじゃないかって。昭和時代の農村の畑じゃないんだよ。こんなろくでもないものを作って、遺跡を再現したなどという暇があったら、駐車場に変えてしまったほうがはるかに「今を生きる人たちの助け」になる。

 ここではいろいろと行事が行われているらしい。だが別に火を熾したり、勾玉を作ったりしなくても、現代人は生きていけるんだよ。大昔の人が与えられた環境で精一杯工夫して暮らしていたように、現代人も現代という環境の中で、精一杯工夫して暮らしていけばいいんだ。何も古代人の真似をしたからと言って、それが人生を豊かにしてくれるわけではないだろう。

 こういった広大な敷地を使って、形骸だけが似た、その実全く本質を捉えていないもので現代人の生活の邪魔になるものには、私は価値を認めないね。ただし最初にも言ったけど、私は遺跡が嫌いなわけではない。実際にあちこちの遺跡に行ったことはあるし、今でも気が向いたらふらりと出かけることもある。ただ現代人の生活の、邪魔をしてまで遺す値打ちがあるとは思わない。たくさんのゴルフ場を作るために、多くの古墳が破壊されたのは有名な話だが、人の生活の邪魔になっても、何か知らないもののために形骸化された形だけの遺跡を残すことも、まったく同じような愚行だとしか思えない。いったい何を考えてPhoto_22作ったんだ?

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