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2017年3月 3日 (金)

いなくなると、わかる

 昔、毎日ジョッグしていた頃の話である。ふと足元を見ると、小さなノネズミの死骸が転がっていた。苦しかったのだろうか、歯をむき出していた。そんなところに、ノネズミなんかがいるとは思っていなかったので、少し驚いた。

 そこから1㎞ばかり南に下ったところで、ヌートリアの死骸を見つけたことがある。ここにヌートリアが住んでいることは、だいぶ前から知っていたけど、目の前に転がっている死骸には、すこしは驚いた。

 生きていれば、人間を見かければ身を隠す。それが巧みだと、人間の側からは、そこにそんな生き物が住んでいることにすら気づかない。でも死んでしまうと、人間が近づいても逃げないから、はじめてそこにそんな生き物がいたことがわかる。

 人間でも同じだ。あるグループから誰かが消える。消えたことでそのグループがうまくいかなくなってしまったら、消えた人がとんでもなく大きな役割を果たしていたことがわかる。逆に誰かが消えることで、そのグループがうまく物事を進め始めたら、消えた人が妨害していたことがよくわかる。

 昔、本で読んだことがあるが、中国では20世紀の後半になりかけの頃、スズメが農作物に害を与えるからと、大量に殺したという。そうすると今度は病害虫の被害が大きくなって、大変な不作に陥ったという。

 確かにスズメは農作物を食べるが、プラスマイナスしてみたら、農作物の害になる昆虫なんかを食べるプラスの方が大きいと、初めてわかったという。

 北米でも似たことがあったらしい。オオカミがシカを食べるというので、オオカミを退治していたら、一時的にシカが増えたものの、すぐに減少していったそうだ。

 有名な食物連鎖で、シカが増えればシカがエサにしている植物が減る。エサが減ればシカは餓死するから、結局はシカも減るっていうんだけど、もっと大きな意味があったりもする。

 オオカミの狩りは芸術的なほど完成度が高いので、記録映像なんかは昔からよく見たが、健康なシカを食べたりはしない。弱いものを食べる。もちろんその中にも、子ジカがいたりするので、可愛そうなシーンはあったが、もしもこの子ジカが、群れと同じような速さで、同じような持久力を持ち、逃げ続けることができていたら、食べられることはなかったのではないだろうか。

 オオカミは、逃げ切る力を十分に持った個体を襲うような、エネルギーの浪費をしない。エネルギーの浪費が、速攻死につながるのが、野生だからだ。だからシカの子にとっては、一刻も早く、成体のシカと同じ速さで逃げ続けられるようならなければならない。これだって立派な「生存競争」だ。

 シカの成体が襲われる時は、何らかの理由で、本来の逃走ができなかったものだ。それはケガが原因かも知れないし、病気や老化が理由なのかもしれない。野生動物はケガを恐れる。それは自身の生存競争を生き抜く能力の低下に直結するからだ。

 老化はどんな生き物でも避けることはできない。動物だけではなく、植物でもちゃんと老化はする。子供の時にも、生き抜く力は弱いが、老化しても弱体化していく。そして老化の果てに待っているのは、たとえ捕食されなかったとしても、死である。

 病気の場合は、病との戦いを行わなければならないから、逃げ伸びる能力は低下する。当然、捕食されやすくなるが、もしもこの病が伝染性のものであった時には、捕食されることで、自分の所属していた群れに、病が広がらなくてすむことがある。

 オオカミなんかの捕食者は、こういった獲物の群れに、伝染性の病気が流行ることを防いだりもする。

 私は長年、魚を飼っているが、昔、ブリーディングに凝ったことがある。すると親魚が子魚を食べてしまうケースがあった(我が家ではあまり見かけなかったけど)。これはほぼ間違いなく、子魚が弱かった時だ。

 弱い子魚は病気に罹りやすい。もしも子魚が伝染性の病に罹ったとすると、その病は群れに伝染する(魚の病気って、けっこう伝染するんですよ)。すると群れ全体が滅びることにもつながる。

 だから親魚は、弱い子魚が潜在的に秘めたリスクが具現する前に、食べることで危険性を除去してたんだね。健康で元気な子魚が誕生した時(たいていの魚は卵生ですから、孵化するわけだけど)は、少なくとも私のところでは、親魚が子魚を食べたりはしなかった。

 いろんなところで、いろんな存在が、いろんな役割を果たしているようで、普段わからないことでも、いなくなれば、果たしていた役割が、嫌というほどわかるものなんだよね。時にそれで手遅れになることも、なくはないですが。

※ 今月の『○○を語る会』は、18日と25日の二日に分けようかと思っております。まだ決定ではございませんが……

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